ロビン・フッドと聞くと、一般的には「イギリスの森に隠れ住む、弓の名手で緑衣のシーフ」というイメージがあります。ですが、そんなイメージとはうらはらに、その実像は、よく知られていません。
今回は、ロビン・フッドの伝承やイメージだけに捕らわれない、実際の姿について触れていきたいと思います。
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ロビン・フッドの実像は
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残念ながらロビン・フッドは、実在の人物とは言いがたく、幾人もの人物の伝承をまとめて作られた存在です。そのため、時代によって、ロビン・フッドの敵や設定が変化していたり、仲間ができていたり…… なんてことが多数あります。
ロビン・フッドは、12~13世紀に伝承として生まれ、14世紀に「農夫ピアズの夢」という長編詩にひとつの物語として収録されます。
最初の伝承では、イングランドという国が誕生するきっかけになったノルマン・コンクエスト後、ノルマン人に抵抗する現地の農民として登場。その後、ノルマン人に所領を奪われた貴族の娘・マリアンとの恋愛が追加されます。
16世紀、十字軍で遠征に行ってしまったリチャード1世に代わり、政治を取り仕切った弟・ジョン王の悪政に反対した人物として描かれています。現在では、この設定が一般的で、ロビン・フッドを題材にした映画は、ジョン王時代を舞台にしているものが多いです。
19世紀以降、「弓の名手」「緑衣」「シャーウッドの森に住む」などの設定が追加され、現在に至る〈ロビン・フッド〉ができあがります。
ちなみに、何人かいるロビン・フッドのモデルとして有名なのが、ヘリワード・ザ・ウェイク。
元は領主でしたが、ノルマン・コンクエスト後、ノルマン人に抵抗し、攻撃・略奪を行っていました。ですが、拠点としていたイングランド東部のイーリー島を奪われてしまい、その後は湿地帯に潜み、抵抗を続けていました。
ロビン・フッドの初期像である、「ノルマン人に抵抗する」や「森に隠れる」といった要素は、彼から誕生したのかもしれませんね。
1人じゃない? はたまた、キツネなロビン・フッド
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「Fate/EXTRA」
主人公の敵側のサーヴァントとして登場。
Fateシリーズのロビン・フッドは、1人の人物ではなく、それぞれの時代の名もなき小さな英雄が〈ロビン・フッド〉という名前を使って活躍していたものの集合体。そのため、召喚されたロビン・フッドは、その中の1人にすぎません。
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ディズニーアニメ「ロビン・フッド」
1973年に公開されたディズニーのアニメ映画「ロビン・フッド」では、なんとキツネになっています。暴政を敷くライオンの王に抵抗し、仲間と共に戦っています。
子供の頃に映画を観て、〈ロビン・フッド〉と聞くと、キツネをイメージする方も多いかもしれませんね。結末は、よく知られているロビン・フッドの伝承と違い、ディズニーらしくハッピーエンド。
まとめ
時代にあわせて変化し続けたロビン・フッド。
彼は、ノルマン・コンクエストやジョン王の暴政など、辛い世情に対抗して、人々の「こんな英雄がいてほしい」という願いのもと、生まれたのかもしれません。