プーカはアイルランドに伝わる妖精。
様々に姿を変えるシェイプシフターとして知られています。
その中でも、ツノのある牡山羊の頭部と人間の体をした、まさに悪魔のような様相で描かれた姿が有名。
姿と同じように性格も悪魔のような妖精なのか、実は恩恵をもたらす妖精なのか
ハロウィンとも関わりを持つとされるプーカに注目です。
プーカ、悪魔のような妖精(?)
出典:deviantart
プーカ、プカ(púca, pooka, phouka, púka)はアイルランドの妖精。
その存在はケルト地方、イギリスの民間伝承の中でも語り継がれています。
アイルランド語で妖精を意味し、ウェールズ地方では Pwca、コーンウォールでは Bucca。
妖精パックの起源とされます。
その他、古英語のpuca はゴブリン、古アイスランド語 はpúki(いたずらな)悪魔、ノルウェー語では悪霊を意味します。
プーカは幸運と不運の両方をもたらすと考えられており、ハロウィンにも関わりを持つ11月の妖精。
本来は動物の精霊であり、「自然の精霊」を指す古北欧語のpook に由来していると伝えられています。
プーカの能力と容姿
出典:deviantart
プーカは様々に姿を変えることができる妖精。
流れるようなたてがみと輝く金色の目をした黒い馬や、ヤギの頭に人間の体で表現されることが多く、その他、巨大な犬、荒れ狂う雄牛、猫、ウサギ、カラス、キツネ、オオカミなどに変わると伝えられています。
北アイルランドの一部の地域では、プーカは収穫物の分け前を要求する、背が低く醜いゴブリンの姿で現れます。
東アイルランドでは、巨大なブギーマンや大ワシ、コノート地方では黒ヤギとして現れます。
けれど、動物の種類は違っても、その毛皮はほとんどの場合黒色。
人間になることもありますが、その場合、耳が動物のものであったり、尻尾やひずめがあったりもします。
また、プーカは人間の言葉を話すことができきるとされ、プーカから様々な助言を得たという言い伝えも残されています。
プーカの性格
プーカは邪悪な妖精であるとも、恩恵を与える妖精であるとも伝えられていますが、多くの場合恐ろしい存在として認識されています。
プーカと出会うのは、真夜中。多くの場合、人里離れた場所。
プーカも妖精らしくイタズラ好き。
けれど、そのイタズラは悲惨なもの。
馬となったプーカは人を背中に乗せて走る事を好みます。
プーカを怒らせると、その仕返しに真夜中に待ち伏せし、言葉巧みに声をかけ、背中に乗せて連れ去るのであるとか。
その背中に乗せられてしまうと命がけの乗馬となり、プーカは一晩中走り回って、どこか遠くへ連れ去ったあげく、犠牲者を頭からふるい落として置き去りにし、高笑いしなが去って行きます。
また、一晩振り回された挙句、戻ってきたときには別の姿となって二度と元には戻れないという言い伝えも残されています。
変身でイタズラできなかった場合、柵を破ったり、作物をダメにしたり、家畜を切り裂くような危害を加えたりもします。
プーカの姿を見ただけで、牛は乳を与えなくなり、鶏は卵を産まなくなるとか。
プーカの伝承は北ヨーロッパ全域で語られていますが、アイルランドでは、乗り手は鋭い拍車を身に着けることでプーカを制御できると伝えられています。
他の対抗策として、窓辺にコルカノン(アイルランドの伝統料理)用の皿を置いてなだめるのだとされます。
他の伝承では、プーカは旅行者の前に現れ、彼らの将来の大惨事を予言。その出来事を笑いながら眺めるのだといいます。
プーカは夢魔の一種であるともされ、プーカが軒下で眠ると、住人は悪夢にうなされることになります。
また、プーカの中には人肉を食べる、血に飢えた吸血鬼のような者も存在するとか。
その中には犠牲者を追い詰め、殺し、食べる者もいるとされます。
けれど、その一方で親切にしてくれた者に対しては恩恵をもたらしてくれる義理堅い一面もあるよう。
一説によれば、生前怠け者だった人がプーカに成るともいわれています。
そのようなプーカに親切にすると、夜中にこっそり家中を掃除したり、お皿を磨いたりというような家事仕事を手伝い、怖いイタズラは余程のことが無い限りしないとされています。
そして、家事仕事のお礼に服を新調してあげると、生前の行いが許され昇天できるといわれています。
プーカの習性、ハロウィンとの関わり
プーカは山や丘の精霊。
アイルランドの辺鄙な場所に生息していると考えられています。
晴天に降る雨は夜に彼らが現れる前兆であるといわれ、曇った秋の日、霧のかかった夜明けと暗い夕暮れを好みます。
そして、ハロウィンの翌日の11月1日だけはイタズラ好きなプーカも大人しいとされます。
プーカはハロウィン(サムハイン)と関わりのある妖精です。
ケルトの暦でのサムハインは10月の最終日。秋の終わり、収穫期の終わりを告げる催事です。
現世と霊界が近づくサムハインの夜、アイルランドの農家では妖精たちをなだめ、害を及ぼさないようにするために、またプーカ族の祝宴が行われる11月1日のための供物に作物を残します。
プーカはハロウィーンの夜、残っている果実に唾を吐きながら歩き回ります。
その日以降、サンザシ、スロー、ブラックベリーなど、畑や野原に残っている果物はプーカの唾で腐ってしまい、食べてはいけないと伝えれれています。
プーカ、現代でも怖い存在?
「ドニー・ダーコ」2001年製作のアメリカ映画。ウサギがシンボルとなった難解な映画として話題になっています。このウサギはプーカであると解釈されています。
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ソーシャルゲーム「オーディンスフィア」では兎に似た獣として登場。その正体はバレンタイン王が編み出した最強の術で変化した人間たち。
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人気RPGゲーム『ソードアート・オンライン -ロスト・ソング-』でのプーカは舞台となる「アルヴヘイム」でプレイヤーが分類される9つの種族のうちのひとつとなっています。
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『アサシン クリード ヴァルハラ』『ドルイドの怒り』拡張版では、プーカは角のある狼男の一種として描かれています。
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プーカの谷 アイルランドのこわい話 (こぐまのどんどんぶんこ) [ 渡辺洋子 ]
まとめ
出典:deviantart
ヤギの頭部を持つプーカは見るからに悪魔。
人肉を食うのはいただけませんが。
けれど、そのイタズラは、果物に唾を吐きかけて腐らせたり、人の不運を知らせて面白がったり、引き回して遠くで置いてきぼりにしたり。
被害者当人にはなりたくないけど、なんか笑える。。。
怠け者が受ける罰としてなる妖精っていうのは説得力があります。