出典:deviantart
吸血鬼・ヴァンパイアの代名詞であるようにイメージするドラキュラ伯爵。
けれど紀元前から存在するヴァンパイアに対し、ドラキュラ伯爵の誕生は18世紀の後半。
そこで、ドラキュラ伯爵がなぜヴァンパイアになったのか、その経緯を辿ります。
実際のドラキュラ伯爵も紳士なイケメンだったのかも気になるところ
ご覧ください。
目次
ドラキュラ公がヴァンパイア・吸血鬼になるまで
アンブラス城のヴラド3世の肖像画( 1560年頃)
ドラキュラ伯爵とは
ドラキュラ(Dracula )伯爵とは、アイルランドの作家ブラム・ストーカーの怪奇小説、1897年著「吸血鬼ドラキュラ」に登場する吸血鬼。
主にルーマニアのトランシルバニア地方に古くから伝わる吸血鬼伝説を基に作られました。
「ドラキュラ」の名前はトランシルバニアの領主であったヴラド3世(ヴラド・ドラクリヤ)の異名。
ドラキュラのモデル像として大きく影響を与えたヴラド公の名が付けられたもの。
物語は手紙や日記、新聞記事の中でストーリーが展開する書簡体小説。
イギリスの若い弁護士がトランシルヴァニアの貴族で吸血鬼のドラキュラ伯爵の城を訪れたところから始まります。
ドラキュラはイギリスへと渡り、エイブラハム・ヴァン・ヘルシング教授たちがそれに立ち向かい、伯爵を倒すという内容。
多くの演劇や映画の原案となり、吸血鬼ドラキュラ伯爵の名は世界中で語られるようになります。
ドラキュラのモデルとは
1499年のドイツの木版画
ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」には、古くから伝わる伝説や歴史上の人物、またはそれまでの作品の中に登場する怪物など、幾人かのモデルが存在します。
そのひとりはアイルランドのジャーナリスト、ジョセフ・シェルダン・レ・ファニュの著書、1872年刊行の『吸血鬼カーミラ』。
これは当時禁忌とされた同性愛の女吸血鬼の物語。
古代の伝説としてのラミアやリリスなどのイメージも重なって、男の精を食らいつくす吸血鬼としての女性像が描かれています。
そして、ブラム・ストーカーはルーマニア地方に実在した中世の武将、15世紀に生きたヴラド串刺し(ツェペシェ)公の伝説と出会い、「吸血鬼ドラキュラ」が誕生します。
吸血鬼カーミラ (創元推理文庫) [ ジョーゼフ・シェリダン・レ・ファニュ ]
実在したドラキュラ公
ヴラド・ツェペシュの等身大の肖像画、17 世紀
実在したドラキュラ公、ヴラド3世は、串刺し公の異名を持った15世紀のルーマニア南部ワラキア公国の君主。
父ヴラド2世がハンガリー王国のドラゴン騎士団に所属し、ドラクル(Drăcule)はこのドラゴン(ドラコ)(Dragon)に由来します。
ドラキュラはドラクレア(Drăculea)「竜の息子」を意味し、ヴラド3世は自らも「竜の子(ドラキュラ)」と称されることを好んだと伝えられています。
けれど、ドラクルという語は悪魔を意味する場合もあり、後にヴラド2世は「悪魔公」とも呼ばれます。
息子ヴラド3世も「悪魔の子」であるドラキュラと解釈されるようになり、ドラキュラ伯爵のイメージにつながってゆきます。
本来のヴラド3世は勇猛果敢な武士。
けれど苛烈な性質から多くの処刑を行い、「串刺し公」の異名で恐れられています。
1462年メフメト2世との戦いでは、捕虜となったオスマン兵を串刺しにして城塞の外に晒し物にし、メフメト2世の戦意を喪失させます。
自国の貴族であっても反逆者は串刺しに処して君主の権威を表し、ある時は貴族を酒宴に招いて虐殺。
また、貧民や病人、浮浪者のような弱者を集めた家に火を放ち焼殺するなど、非道なエピソードが多く残されています。
実在するドラキュラ城
「吸血鬼ドラキュラ」にも登場するドラキュラ城として知られるのは、ルーマニアの南部、トランシルヴァニア地方の山中にある古城ブラン城。
この城は、ヴラド3世の祖父が14世紀に居城として建てていますが、ドラキュラ公であるヴラド3世がそこに実際に暮らしたことはないとのこと。
伝説の中のドラキュラの実態
ハマーホラー製作の『ドラキュラ』( 1958年)
小説に登場するドラキュラは一見、「燃えるような赤い目」を持つ、長身で痩せた紳士。
超人的な身体能力を持ち、コウモリなどの小動物を操り、雷や嵐を起こすことも可能。
最初は白髪の老人なのが、血を吸うことで若返ります。
精悍な顔つき、血色のない肌色には不釣り合いに唇だけが赤く、閉じた唇の間からは尖った犬歯が見えます。
十字架や聖水などの聖なるものやニンニクを嫌います。
壁をトカゲのように這い、影が無く、鏡に映らない。
他人の家には家人に招かれなければ入ることが出来ないという習性を持ちます。
ちなみにルーマニアに伯爵という称号はなく、『吸血鬼ドラキュラ』の中でもドラキュラは貴族という身分であっても、伯爵という称号は付けられていません。
吸血鬼ドラキュラ あらすじ
出典:deviantart
イギリスの弁護士ジョナサン・ハーカーはロンドンに移住を希望するトランシルヴァニアの貴族ドラキュラ伯爵の城を訪れます。
滞在中、ジョナサンは3人の女吸血鬼と出会い、伯爵が不死の怪物あることを知ります。
けれど、伯爵はすでにイギリスに旅立っていました。
数ヶ月後、イギリスの港に無人のロシア船「デメテル号」が入港。
ドラキュラはロンドンでジョナサンの婚約者のミナとその友人ルーシー・ウェステンラを狙います。
ドラキュラは夜毎ルーシーの部屋に忍び込み、その生き血を吸い、獲物になったルーシーはは日毎に衰弱。
ルーシーの婚約者アーサーたちは彼女を助よけようと手を尽くすものの原因が判らず、老学者エイブラハム・ヴァン・ヘルシング教授を頼ります。
教授はこれが吸血鬼の仕業であると見抜きます。
アーサーたちは、ヘルシングの助言に従い、ニンニクをルーシーの家に飾りますがドラキュラは家人を殺害、ルーシーの血を吸い尽くし、死に至らしめます。
その頃、城から脱出したジョナサンはブダペストの病院に入院。
ジョナサンの消息を知ったミナはジョナサンと再会。ふたりは結婚し、帰国。
ヘルシングやアーサーたちは帰国したふたりから伯爵の正体を教えられます。
そして、すでにルーシーは吸血鬼と化したと判断し、怪物となったルーシーを討伐。
その頃ドラキュラはロンドン各所に故郷の土を持ち込み、隠れ家を増やしていました。
そして、ミナを襲います。
けれど、ヘルシングたちはそれを阻止。
ドラキュラは黒い霧に姿を変えてその場を逃亡、トランシルヴァニアに帰国します。
ジョナサンの案内でヘルシングたちは伯爵の城を訪れます。
そして、城に運び込まれる間際のドラキュラの棺にたどり着きます。
ドラキュラの棺の蓋を開け、ククリ刀で首を切り落とし、その心臓にボウイナイフを突き刺します。
その瞬間、ドラキュラの身体は粉々に砕け、塵となって消え去ります。
吸血鬼ドラキュラ (創元推理文庫) [ ブラム・ストーカー ]
ドラキュラ伯爵、現代でも不動のキャラ
映画でもはずせない不朽の名作「吸血鬼ドラキュラ」。ブラム・ストーカー原作1958年公開作品。
主演は当時の名優クリストファー・リー。監督はホラーの名匠テレンス・フィッシャー。
ホラー好きにはたまらないドラキュラの原点となる名作です。
ーーーーーーーーーー
「ドン・ドラキュラ」は巨匠手塚治の作品のひとつ。現代社会に生きるドジでお人好しなドラキュラ伯爵の姿をコミカルに描くという内容のもの。
ーーーーーーーーーーー
ドラキュラは「怪物くん」の中でも怪物くんのお供のひとりとして馴染みのキャラ。語尾に「ざます」が付く由緒正しい家系の出。
ーーーーーーーーーー
アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」でも初代、二世、三世、四世と四代にわたっての登場です
ーーーーーーーーーーー
コナミ制作、人気シリーズ「悪魔城ドラキュラ」は、ドラキュラを倒すため、悪魔城を進むゴシックホラーアクションゲーム
ーーーーーーーーーーー
ドラキュラ まとめ
出典:deviantart
実在したドラキュラ公、串刺し公。
「串刺し」という処刑がなんとも残酷です。
生きたままジリジリ焼かれる「火あぶり」や、
両手足を杭で打ち付けられる「十字架に掛けられる」、
首だけが晒し者にされる「晒し首」も怖いですが、
「串刺し」は人間の尊厳を無視している、まるで「犬畜生」な死に様です。(犬を畜生とは思っていませんが)。
実在したドラキュラ公、たとえ勇敢な武将であったとしてもマジ怖い、吸血鬼ドラキュラ伯爵以上に怖いかもしれない、です。