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ゾンビとは。起源、作り方や身体能力、フィクションの中では

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映画やゲームの世界で、今やゾンビは王道をゆくキャラ。

現実に起こることもあるようなリアリティさえ持っています。

 

かつてブードゥー教の信者たちは、ゾンビを作り出し、未来永劫、奴隷として従わせたのだとか。

 

それは、あり得るかもしれない未知の領域?

 

 

ゾンビ、転生を許されない生きる屍

ゾンビとは

ゾンビ( zombie)とは、死体が蘇った状態の総称

生きる屍をいいます。

その原型はヴードゥー教の元となったアフリカの精霊信仰から生まれました

ゾンビの名はコンゴで信仰されている神「ンザンビ(Nzambi)」(不思議な力を持つもの)に由来します。

コンゴの民が中米や西インド諸島に奴隷として売られ、ンザンビ神が「ゾンビ」と変化してゆきます

 

ブードゥー教においてのゾンビは、意図的に死亡したと見せかけられた生きた人間

毒を与えられたことによって脳に障害を負った、死体でもなければ、腐ってもいない状態をいいます。

 

ゾンビ化は犯罪者や嫌われ者、異端者に対して行われた一種の制裁や刑罰のようなものでした。

ブードゥー教には仏教の『輪廻転生』のような概念が存在しました。

死者の霊魂は導かれ再び生まれ変わると信じられていたのです

犯罪者や異端者に与えられた刑罰はその「生まれ変わる」という資格を剥奪するというもの

やり直しの利かない、永劫の罪を背負いながら生き長らわなければならないという、恐ろしい仕打ちであったのです。

 

起源

ゾンビの起源はアフリカの精霊信仰『ヴォドゥン(Vodon)』が、奴隷として売られた民によって『ブードゥー教(ヴードゥー教:Voodoo)』と変化し、その信者が崇めた神ヴォドゥン「ンザンビ(Nzambi)」に由来します。

 

ヴォドゥンの教えでは「ゾンビ(ンザビ:Nzambi)」とは神の名

人知を超えた存在を総称していました

それが奴隷として虐げられた民が慕う神に、虐げた者に天罰を望み、「ゾンビ(ンザビ:Nzambi)」神は次第に「憎い存在を呪い殺す手段」となり、その結果の『ゾンビ=生きる屍』と変化してゆきます

 

になった伝承については奴隷貿易が行なわれていた16世紀〜18世紀。

ちなみに、ゾンビとしてのイメージが浸透したのは20世紀後半。

作品群の中でさまざまな偶像が生まれています。

 

ゾンビの作り方 

実際にゾンビを作る過程で『ゾンビパウダー』なるものを使用します。

 

ゾンビ・パウダー 
―材料―

人骨、腐肉、トカゲ・ヒキガエルの干物、フグ(に含まれるテトロドトキシン)、チョウセンアサガオなど

 

ゾンビパウダーにはテトロドトキシンが含まれているといわれています

傷口に塗布することで体内に浸透し、仮死状態を作ります。

その配合量が適量であれば蘇生も可能、濃度が高ければ死に至ります

毒が体内に浸透し、仮死状態になると脳は酸欠状態に陥り、ダメージを負うことで自発的な意思のない人間となり、ゾンビ状態になります。

ゾンビ化した人間は奴隷として農園などに売られ、永劫に働かされることになります。

 

―作り方―

ゾンビパウダーが塗布され、その効果が表れると身体は心肺停止、仮死状態となります

死亡したか、仮死状態であるかは時間が経たないとわからないので、とりあえず埋葬

術師が死者に呼びかけ。

身体に動きがあったら掘り出し

蘇生しないよう再び幻覚剤を与え、身体と思考の自由を奪い、奴隷とします

 

この施術はヴードゥー教の司祭『ボコ』によって行われます

ちなみに、『ボコ』の主な仕事は呪術によって人を呪い、おとしめることとされています。

 

ボコはゾンビにする身体が蘇生する頃に墓から掘り出し、死者の名前を呼び続けます

身体が起き上がったところを、魂は壷に封じ込め、蘇生後の処置を行います

そして両手を縛り、自由を奪い、奴隷として売り飛ばします。

ゾンビとなった身体は永劫に奴隷として働き続けることになります。

そのためゾンビの存在を信じる人々は家族に死人が出ると、ゾンビにさせまいと埋葬後36時間は墓を監視し続けたといいます。

蘇生させないよう死体を傷つけたり、死体に刃物を持たせ、死体を奪いにくる『ボコ』を刺して返り討ちにさせるように施した例もあると伝えられています。

 

 

フィクションの中のゾンビ

ゾンビの誕生

作品の中でのゾンビの登場は

・1929年、ハイチでのブードゥー教の体験を記したWBシーブルック著『魔法の島』

・映画では1932年の『恐怖城』(ホワイトゾンビ)。

ゾンビは吸血鬼の召使というような役割で登場しています。

 

そして

1968年のジョージ・A・ロメロ監督作品『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』で

  • 動きが緩慢
  • 人間を襲い、肉を食う
  • 噛まれた人間も感染し、ゾンビになる
  • 増殖したゾンビで世界の終焉をむかえる

という現在のイメージが出来上がりました。

 

生態

特徴

多くの作品が生まれる中でゾンビの特徴も作品によってさまざまです。

ただし死体であるために

  • 呼吸していない
  • 痛覚がない

ところは共通しています。

 

発生原因

ロメロ作品や多くの作品では不明。

その他

  • 空気汚染(『ゾンビマックス(2016年)』、他)
  • ウィルス感染(『バイオハザード』、他)

人工的に作られたウィルスを吸収した(『バタリアン』(1985年)、他)、食した(『ゾンビスクール!』(2015年)、他)、感染者に噛まれた(『ゾンビ』(1978年)、他)ため

 

弱点

基本的には

  • 動きが緩慢。
  • 知能がない あるいは著しく低下している
  • 陽の光に弱い(『アイ・アム・レジェンド』(2007年)、他)種も存在

 

脅威

・痛覚がない

体が損傷しても痛みで力が鈍ることがない

・呼吸していない

水中や宇宙でも変わりなく活動できる(『サンゲリア』(1976年))

・不眠不休で動ける

動きが鈍くても疲れないために持久戦では圧倒的に有利

・集団で行動することが多い

音に反応し、集まる

 

身体能力

最近は高い知性や優れた運動能力を持つさまざまなハイブリット種も登場していますが、基本的な身体能力については

知能

ゾンビ化すると(死亡した後)知能は動物程度に低下し、本能で動く

感情

『ウォーム・ボディーズ』(2013年)の主人公のゾンビは人間の女性に恋をしますが

通常は食欲のみがあり、それ以外の感情はない

記憶

習性としての記憶が残っているものも多い『デッド・ドント・ダイ(2019年)』。

けれど、通常はゾンビになると我が子でも獲物に化してしまう

筋力

人間を襲う力があるので、生前とほとんど変わらない

血流

腐敗した状態で体内にあり、損傷すると流血はしないものの、腐敗の状態によってはドロドロとしたものが飛び散る

ただし例外には、『ブレインデッド(1985年)』のように集団のゾンビを破壊すると血みどろになることもある

繁殖能力

基本的にはないはず。

けれど、ブレインデッド1985年)ではゾンビ同士が恋愛。

ゾンビ赤ちゃんも誕生しています。

治癒力

破壊された部位の再生はされません。

ただし、流血もなく、痛覚もないので、損傷しても変わりなく活動が可能

消化・吸収

内臓の機能は停止しているので、消化機能はないものと想像されます。

ゾンビが食べた肉はおそらく体内に溜まっている(?)

腐敗

最終的には土に帰るものと考えられます。(『28日後』(2002年)、他)

視覚

視覚は生前の頃の機能が残っているものも多いよう。

けれど、車に跳ねられる、障害物を避けない、など、機能はかなり低下している (?)

聴覚

ゾンビは音に引き寄せられるという特徴があるので、かなり優れた聴覚がのこされている(?)

嗅覚

同類(ゾンビ)は襲わない(『ウォーキング・デッド』、他)ので、生肉かどうかを嗅ぎ分けているものと思われます。

触覚

ゾンビは手探りすることはないので、触覚はないものと考えられます。

味覚

ゾンビは人間(生物)を襲うことしかしない怪物ですが、人間を襲う理由が語られている作品はほとんどありません。

けれど『バタリアン』(1985年)の中で、「脳を食べると苦痛からほんの少し解放される」のだとか。

食欲や味覚の問題ではなさそうです

 

スラングになったゾンビ

現代、ゾンビはスラングとしても使用されています。

その意味は「機能停止すべきであるにも関わらず活動しているもの」

 

  • 「ゾンビ企業」、事実上倒産状態であるにもかかわらず優遇処置の恩恵を受け存続している会社
  • コンピューターウイルスに感染して乗っ取られたパソコン
  • サバイバルゲームで、被弾したのにプレーし続けるプレーヤー。
  • 実行終了中のプロセス
  • 保守が終了済みにもかかわらず使い続けられるオープンソースソフトウェア、など

 

ゾンビもの、見逃せない名作

映画

『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』1968年公開、ジョージ・A・ロメロ監督の代表作

ホラー映画の新時代を築いたといえる作品です。

バーバラと兄のジョニーは父の墓参りでゾンビに遭遇。

兄は殺され、バーバラは近くの民家に逃げ込みますが。

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『デモンズ』1985年公開、 ダリオ・アルジェント監督作

大学生のシェリルは友人と試写会に出かけ、ジョージとケンに出会います。

4人は会場で。。。

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サンゲリア1979年公開。ルチオ・フルチ監督

ある日、ニューヨーク湾内に漂流するクルーザーがみつかり、警官2人が乗船。全身が腐乱した男に襲われます。

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『死霊のはらわた1981年公開、サム・ライミ監督作品。

バカンスに向かう途中、山小屋を訪れた若者たち。

その地下にあった『死者の書』を録音したカセットテープを再生したことから、山に潜む死霊を蘇らせてしまいます。

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『バタリアン』1985年公開、ダン・オバノン監督作品。

コミカルな展開、オバンバ、タールマンなどスターゾンビも誕生し、一斉を風靡した人気作。

医療会社に勤めるフレディは倉庫に保管されている軍のドラム缶を壊し、密封されていたガスが流出。その中に保管されていたゾンビが蘇生されてしまいます。

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『バイオハザード』1996年サバイバルホラーゲーム発売以来、ドラマ、アニメ、映画など、そのシリーズは200点近くにも及びます。

1998年夏、アメリカ中西部のラクーンシティで住民が謎の集団に襲われ、食い殺されるという事件が発生。

その原因は製薬会社アンブレラが開発したウイルスが漏出したことで引き起こされた「バイオハザード」であったことがわかってゆきます。

 

実写映画では2002年に初作品が公開。

監督はポール・W・S・アンダーソン 主演:ミラ・ジョヴォヴィッチ

ウィルス兵器、『T-ウィルス』がアンブレラ社内に漏洩、バイオハザードが発生。

アンブレラの特殊部隊であったアリスとゾンビと化した感染者の戦いが描かれてゆきます。

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『REC/レック』2007年の初作品以来、4作のシリーズが公開されています。

取材に訪れたレポーター一行は未知の感染症に侵され、凶暴化した人々に遭遇。

 

ドラマ

『ウォーキングデッド』2010年〜2022年まで11シーズンが放映された超人気シリーズ。

ゾンビによる世界の終末を迎え、荒廃したアメリカで安住の地を求める一行の苦難の日々が描かれています。

 

アニメ

『がっこうぐらし!2015年放映。

ゾンビによって崩壊した社会。学園内で難を逃れる “学園生活部”の女の子たちの活躍が描かれます。

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ゾンビ まとめ

ゾンビ社会になった映画やドラマを見ていつも思うのですが、

私は、

世界が崩壊してゾンビ社会になった世の中で生き残る根性は無いんで、

早くに、楽に、静かに、

死なせて欲しいと思います。

 

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