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スケルトン(骸骨男)はマミー(ミイラ男)やゾンビと並ぶメジャーなモンスターキャラ。
様々なゲームやメディアに登場したり、ハロウィンのコスプレでも一番人気な怪物。
ヨーロッパの伝承では、ドラゴンの歯を大地に撒いて誕生させるとも伝えられる、元は戦士であるとか。
旧約聖書にも登場する由緒正しい怪物です。
目次
スケルトン、世界で言い伝えられるアンデッド
ギュスターヴ・ドレ作「乾いた骨の谷の幻影」
スケルトンとは
怪物としてのスケルトン(Skeleton)は世界各地で伝えられる、人間のように動く骸骨。
そのスケルトンの起源については各国様々です。
中世ヨーロッパでは死が擬人化された存在。
旧約聖書、エゼキエル書第37章の預言『乾いた骨の谷の幻』では捕囚のイスラエルの民であるスケルトンが登場しています。
黙示録の騎手の一柱である死神は「馬に乗った骸骨」とイメージされています。
様々な伝承
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◾️ 中世ヨーロッパの古戦場では骸骨となった騎士の亡霊が現れることがあると伝えられています。
そして、ヨーロッパにおいてのスケルトンは、一説にはギリシャ神話に登場する『スパルトイ』を原形に持つモンスターであるとも伝えられています。
◾️ 15世紀以降の大航海時代には、幽霊船の存在が信じられていました。
幽霊船に出会うとかつて船員であった白骨死体が動き出し、生者の船を襲い沈めると恐れられていました。
◾️ メキシコの11月1日と2日に行われる『死者の日』はヨーロッパでいうハロウィン。
この日、スケルトンは「カラカス』と呼ばれる生命の象徴となります。
ギリシャ神話のスケルトン 「スパルトイ」
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スケルトンの原型とも伝えられるスパルトイはギリシャ神話で語り継がれる「蒔かれた者」を意味する戦士。大地に蒔かれた竜の歯から誕生したテーバイ人たちです。
テーバイ人の始祖カドモスは、牡牛を女神アテナに捧げるための水を汲ませに軍神アレスの泉に家来を行かせます。けれど泉を守る竜に家来が殺されたためカドモスはその竜を退治。
アテナから退治した竜の歯を大地に撒くよう勧められ、そうして大地から戦士たちが生まれます。
彼らは互いに殺し合う事になり、生き残ったのが最初のスパルトイとなったエキーオーン、ウーダイオス、クトニオス、ヒュペレーノール、ペローロスの5人たちでした。
フィクションの世界の中で、彼らはしばしば竜牙兵(ドラゴン・トゥース・ウォリアー)と呼ばれます。
日本のスケルトン 『髑髏(しゃれこうべ)』
歌川国芳 作
日本においてのスケルトン・骸骨は死の象徴、死神や魑魅魍魎などが骸骨の姿で描かれることが多く、様々な妖怪として登場しています。
《 がしゃどくろ 》
がしゃどくろは戦いで敗れた者や野垂れ死にした者など、埋葬されなかった死者達の怨念が集まってできた巨大な骸骨。
新鮮な人肉を求め、夜中にガチガチという音をたててさまよい歩き、人間を見つけると襲いかかり、握りつぶして食べてしまいます。
《 骨女 》
鳥山石燕 作
骨女は骸骨の姿をした女性の妖怪。
牡丹の柄の入った提灯を持ち、生前恋した男の家に通って交わります。
浅井了意の著書『伽婢子』の中の1編『牡丹灯籠』では、主人公萩原新之丞が弥子という美女と愛し合い、毎晩のように逢瀬を重ねますが、ある老人がそれを覗き見ると、美女弥子は骸骨の姿をした妖怪だったのです
小説家山田野理夫著書『東北怪談の旅』にも骨女が登場します。安政時代、周囲から醜女と蔑まれた女が、死後の骸骨の姿を気に入り、町中を骸骨の姿で歩き回ったという物語です。
《 狂骨 》
鳥山石燕 作
狂骨は江戸時代の画家鳥山石燕によって描かれた日本の妖怪の一種。
京極夏彦の小説『狂骨の夢』に登場することでも有名です。
凄まじい恨みを持って、井戸の中から釣瓶に吊られて現れる、白い衣を纏った幽霊のような白髪の生えた骸骨として描かれています。
作品の中のスケルトン
ミヒャエル・ヴォルゲムート作 『死の舞踏』1493年
骸骨戦士としてのスケルトンは、巨匠レイ・ハリーハウゼンの映画作品によって広くそのイメージが広まっています。モデルとなったのはギリシャ神話のスパルトイ。不気味な存在感を感じさせる迫力の戦いは、今でも見応えのある作品。
《 アルゴー探検隊 》
『アルゴ探検隊の大冒険』は1963年公開、ギリシア神話の英雄イアソン率いるアルゴ探検隊(アルゴナウタイ)の冒険を描いています。
黄金の毛皮を手に入れるために旅をするイアソン一行を、毛皮を守る7本の首を持つ竜ヒュドラが襲いかかります。イアソンはそれを倒し、金羊毛を入手。
けれど追ってきたアイエテス王は女神アテナに祈った後、ヒュドラの歯を地に撒くと骸骨剣士となってイアソン一行を襲います。
《 シンドバッドの冒険 》
同じくレイ・ハリーハウゼンは先の1958年『シンバッド七回目の航海』を製作。
シンバッドは、黒魔術師・ソクラにさらわれ小人に変えられてしまったパリサ姫を助けるため、冒険の旅に出ます。
そして、サイクロプスやドラゴン、ソクラが操る骸骨剣士に阻まれながらも、魔法のランプの助けもあって、ロック鳥の卵の殻でパリサ姫を元の姿に戻し、助け出す事に成功するのでした。
スケルトン(骸骨男)、ちょっと昔も今もモンスターの定番
「黄金バッド」は1930年(昭和5年)紙芝居の作品として誕生。
その後、漫画、アニメや実写作品としても登場しています。
スケルトンの衣装をまとった黄金バットは日本最古のスーパーヒーローのひとりでもあります。
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仮面ライダーシリーズ、『仮面ライダーストロンガー』ではデルザー軍団の殺し屋ドクロ少佐。
『仮面ライダー剣』ではアンデッドと上城睦月の細胞を組み合わせて造られたトライアルG、
『仮面ライダーSPIRITS』ではFBI捜査官滝和也が、骸骨のマスクとボディスーツを装着します。
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スーパーマリオシリーズではノコノコの全身が骨になったカロン、ペーパーマリオRPGでは骸骨の海賊コステス。
そして、溶岩に溶けたクッパ「ほねクッパ」が登場します。
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「それいけ!アンパンマン」のホラーマン。ドキンちゃんに惚れているため、ばいきんまんに味方することが多いけれど、基本的には良い人(?)です
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「境界線上のホライゾン」では神父のようないでたちの動く白骨「クリストファー・ハットン」。
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「ベルセルク」では髑髏と骸骨を模した甲冑をまとった「髑髏の騎士」。
1000年もの間、使徒やゴッド・ハンドと敵対しています。
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「ポケットモンスター」ではローブをまとった骸骨のようなポケモン。
ヨマワルがレベルアップするとサマヨール、ヨノワールに変わってゆきます。
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『ドラクエシリーズ』ではアンデッド系、骸骨系モンスター。
、アンデッドマン、がいこつけんし、スカルゴン、スカルサーペント、ボーンプリズナーや、その他が登場しています。
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スケルトン(骸骨男) まとめ
トーマス・ローランドソン 作
スケルトン、骸骨男、あまりにメジャーになりすぎて、正直、怖いという恐怖心が全く湧いてこないモンスターです。
まずイメージするのは、ハロウィンの可愛い子供のスケルトン。ご褒美にたっぷりお菓子をあげたくなります。
で、大人のスケルトンといえば、害にならないのなら見ていて退屈しないんで、家にひとり(?)くらいなら居候してくれてもいいかな、って思えるモンスターくんです。