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マミー(ミイラ男)、呪いの怪物、意外な誕生

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出典:deviantart

マミー(ミイラ男)はモンスターとしてホラー界には欠かせない存在のひとつ。 

いかにも古くから呪いを持った怪物として語り継がれているようにも思います。 

けれど意外にもモンスターとしてのマミーは近年の創作物で誕生しています。 

そこで、ミイラ男・マミーについて再考です。 

恐ろしいミイラ男の意外な誕生と、その正体とは。 

 

 

マミー(ミイラ男)呪いの屍

アーサー・コナン・ドイル『競売ナンバー二四九』挿絵

マミー(ミイラ男)とは 

マミー(ミイラ男)はポルトガル語の mirra が英語 mummyになったもの、同じミイラを意味しています。 

包帯を巻いたアンデッド. 

人間に呪いをかける、人間を襲う恐ろしい存在というイメージがありますが、人間を襲うマミー(ミイラ男)は意外にも神話や伝説の中からではなく、創作物から生まれた架空の存在です 

またその誕生もホラー作品からではなく、ラブ・ロマンスの女性のミイラとしての登場です。 

 

特徴

出典:deviantart

マミー(ミイラ男)は乾燥し、干からびた死体が蘇ったアンデッド 

ゾンビスケルトンと同等の基本的には思考能力に乏しく、単独では行動しない雑魚モンスター。 

乾燥しているためか、アンデッドでありながら火には弱いという者もいます。 

 

全身を汚れた包帯で巻かれ、乾燥保存された動く死体 

エジプトや古代遺跡に登場することが多く、王家の財宝を守る守護者としての役割を果たす場合もあります。 

死に至る恐ろしい病気や呪いで相手を狂死させる能力を持つ場合もあり、一般的にはあまり知性の高くない雑魚モンスターですが、中には高い知性と能力を持つ者も出現しています。 

 

王家の呪い、ミイラの呪い

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ファラオあるいはミイラの呪いは、ファラオの墓、ミイラを乱した者にかけられる呪い 

不運や病気を招き、最悪の場合死に至るとされるもの。 

 

ツタンカーメン墳墓の発掘に携わったカーナヴォン卿を初めとする発掘調査団のメンバーが次々と謎の死を遂げ、それがファラオの呪いであると伝えられた史実があります。 

20世紀、多くの作家や研究者は、この呪いは「本物」であると主張。 

そのことで、ミイラ男には呪いという武器があるというイメージが定着しています。 

 

ただし、事実では墓の開封に立ち会った人で実際に急死したのはカーナヴォン卿だけ。 

その原因も髭を剃っていた時に誤って蚊に刺された跡を傷つけ、熱病に感染し、肺炎を誘発したことが死因であると究明されています。 

作家で心霊術師でもあるコナン・ドイルは、カーナヴォン伯爵の死はツタンカーメン王の墓を守るために司祭が作った「精霊」によるものだとしています。 

ミイラが死から蘇るとされる特徴も実は作品の中で生まれています 

ジェーン・C・ラウドン作品、1827年に出版されたミイラ再生! あるいは 22 世紀の物語』で記されています。 

 

マミー(ミイラ男の誕生

出典:deviantart

怪物としてのマミー(ミイラ男)はエジプトがフランスやイギリスの植民地とされた19世紀に生まれています 

作品の中で生まれた初期のミイラの多くは主人公の恋愛対象とされる主に女性 

 

ミイラが怪物となったのはアメリカ映画の創作によるもの。  

1932年のユニバーサル・ピクチャーズ制作ミイラ再生(The Mummy)」 

後年にはリメイク版として「ハムナプトラ」シリーズが制作されています。 

ちなみにハムナプトラも原題は「The Mummy」。 

 

作品の中のミイラ

「Some Words with a Mummy」挿絵

◾️ エドガー・アラン・ポーのミイラとの談話』(ミイラとの論争)(1845年) 

エジプトから運ばれ電気ショックで復活したミイラと主人公との論争を描く風刺作品。 

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◾️ アーサー・コナン・ドイルの『ロットNo.249』(1892年) 

これが「蘇ったミイラを邪悪で危険な生き物として描いた最初の作品」と呼ばれています。 

医学生のアバクロンビー・スミスは、気を失っている同級生のエドワード・ベリンガムを蘇生。

ベリンガムがエジプトのミイラに異常な執着を抱いていることを知ります。 

 

ミイラはドイル1890年作品『ポールスター号の船長 下』の短編『トートの指輪』にも登場しています。 

 

◾️ HP ラヴクラフトとヘイゼル・ヒールド著作「Out of the Aeons」(永劫より)(1935 年)では、クトゥルフ神話の中で謎のミイラが語られています。 

ある貨物船の船長が海図に載っていない島を発見。そこでミイラと巻物が入った円筒を見つけます。 

 

 

ミイラ男(マミー)、今もバリバリ現役の大スターなモンスター

ミイラ男、マミーを語るならやっぱりドラクエ 、初登場はグールと同様『ドラゴンクエストⅡ 悪霊の神々』から。ミイラ男の上位種族がマミー。薬草や呪文が貴重になる洞窟や地下に出現することが多いので、扱いづらいモンスターというイメージがあります。

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1963年〜1964年に刊行された水木しげるの代表作のひとつ「悪魔くん」。その第3話「ミイラの呪い」ではミイラにさらわれた子供を助けるため、真吾とメフィストはエジプトに向かいます。

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ドラゴンボール」のミイラくんは占いババの戦士のひとり。通称「闘う干物ミイラくん」。 、包帯を使ったトリッキーな戦法でヤムチャに勝利するけれど、孫悟空にはあっさり負けてしまいます。

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ソウルイーターノット!』のミーラ=ナイグスは本体が魔ナイフの死人=バレットのパートナー。全身に包帯を巻いたアフリカ系の謎の美女。

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マミー(ミイラ男) まとめ

出典:deviantart

ミイラがラブ・ロマンスのヒロインというのは、全身を汚い包帯で巻かれた干からびた死体という今のイメージで考えると無理があります。 

もちろん、ラブ・ロマンスの中のミイラは、夢の中で出会ったり、生前の姿で蘇っていたりする美しい女性なのですが。 

現実の姿=ロマンス、と直結すると成り立たない図式です(-.-;) 

 

まあ、最近は恋愛するゾンビも増えてるし、近い将来はわかりませんが(^ ^;) 

 

 

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