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むじな(狢)、実在する日本古来の妖怪。人をばかすドジ雷獣?

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鳥山 石燕作

むじな(狢、貉)は、動物園に行けば見ることの出来る実在の動物。

けれど、古来から人を騙す妖怪として知られ、妖怪のっぺらぼうとの関連も語られています。

そんな妖怪むじなの正体を探ります。

 

 

むじな(狢、貉)とは

竹原春泉画

むじな主にアナグマをいいますが。時代や地方によってはタヌキやハクビシンをいい、これらの種を混同してむじなとして扱う場合もあります

関東ではササムジは狸をいい、背中に黒い十字のある本狢は十ムジと言われます。
長野県では農作物を荒らすたぬきをムジナ、本狢は万福といい、毛が白く、腹に毛がない万福は良く化けるといわれています。

むじなはキツネやタヌキと同様に、人を化かす妖怪として多くの言い伝えが残ります。

地域によっては人の三倍の速さで走る事が出来るといわれ、雷獣として、落雷とともに現れる妖怪としても知られていました。

そのため関東から東北にかけての地域では、10月10日の十日夜(とおかんや)では「狢ばったき」という藁(わら)鉄砲を用いる狢追い行事が行われています。

また福井県では、小正月に狢狩りという予祝行事が行われてきました。

 

妖怪としてのむじな

鳥山石燕 作

民話でのむじなは、人を化かす妖怪。

砂を掛けたりするたわいないいたずらや、高僧に化けて犬に噛(か)み殺されるなどいささかドジな妖怪としても扱われています。

文献に残るもっとも古い記録は、日本書紀の推古天皇35年(627年)の条に記載
「春2月、陸奥国にむじな有り、人となりて歌う」と書かれており、この時代すでにむじなは人を化かす妖怪だと認識されていたことがわかります。

千葉県、茨城県の下総地方では短い着物を着たおかっぱ頭の小僧に化けたむじなを「かぶきり小僧(かぶきりこぞう)」といい、人気のない夜道や山道を歩いていると「水飲め、茶を飲め」と声をかけるとか

神奈川県のむじなは「オーイオーイ」と呼びかけてくるといいます。

返事をしてしまうと、余命の短い人間は死ぬとも伝えられています。

人を化かす時、狐は人の前で相手を導くように化かしますが、むじなは人を後ろから追って来るので逃げ惑い危険な目に遭うのだそう。

アイヌの叙事詩ユーカラには「モユㇰ キムンカムイ」は「むじなと熊」という言い伝えがあります。

熊と暮らしていたむじながアイヌモシリ(人間の世界)に行って言いつけを破ったためにカムイモシリ(神の世界)へ戻れなくなってしまいます

そして、チセ(家)の入り口を守る神・病を治す神になったと記述されています。

むじなの化かす腕前はの七変化、狸の八変化、貂の九化け」といわれ、狐や狸に勝とか。

 

むじなの特徴は

『和漢三才図会』

犬ほどの大きさで、毛の色は茶色、
齢をとると背中に白色の毛が十字に生え、人を化かせるようになるといいます。
基本的には人を化かすだけですが、人を殺す凶悪なむじなもいて、これらはおおむじな、と呼ばれることもあります。

むじなの化かし方は大きく3つに分かれます

  1. 田や道を深い川のように思わせる。
  2. 馬糞をまんじゅうに、肥溜めを風呂のように思わせる。
  3. 方向感覚をなくし、道に迷わせる

というもの

ちなみに、小泉八雲の「怪談」の「むじな」というお話では、登場するのっぺらぼうの正体はむじなだとされています。

 

同じ穴のむじなということわざは

一見すると違って見えても、同類;仲間であることの例え、悪事を働く同類の意味で使われます。

悪いイメージのことわざとして使われる理由は、むじなは、仲間と同じ穴で生活する習性があり、穴を掘れないたぬきが、穴掘りの上手いむじなの穴を利用することがあるのです。

人を化かすという悪いタヌキと同じ穴で生活する習性をもつため、悪いイメージで使われるのだと言われています。

 

小泉八雲のむじな

むじなは小泉八雲の怪談「狢(むじな)」に登場する妖怪としても知られています。

あらすじ
東京紀伊国坂には「むじな」がでるという噂がありました。

ある、夜すっかり暗くなった紀伊国坂を一人の男が歩いていると女がうずくまって泣いています。
男が声をかけても、女はただうつむいて泣くばかり。
必死になだめ、なんとか、顔をあげさせると、そこにいたのは目も鼻も口もない、のっぺらぼうです。

男は腰も抜かさんばかりに驚いて、あわてて逃げ出します。
走りに走ってたどり着いたのが、四谷見附のあたりにある屋台の蕎麦屋。
屋台に駆け込んだ男は、屋台の主人に事の顛末を語ります。

主人は「それは怖ろしゅうございましたな、ところで、おまえさんが見たというのはこんな顔かい?」 そう言った蕎麦屋の顔は目も鼻も口もなかったそう。

 

のっぺらぼうとむじなの関係は

竜斎閑人正澄 作

のっぺれぼうは外見は人に近いが目も鼻も口もない妖怪

民話や落語に登場しの中では繰り返し人を驚かせるということが多いといわれています。

狸や狐、むじなが人を驚かす場合、そののっぺらぼうに変化することが多いようです

 

 

むじな 今や強者(つわもの)女子

神羅万象チョコ ~七天の覇者~』では、絶滅したと思われていた隠神刑部(いぬがみぎょうぶ)の末裔黒刀のムジナとして登場。メインキャラクターの一人として活躍しています。

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SSSS.DYNAZENON』のむじなは敵グループ『怪獣優生思想』紅一点。巨乳で白い軍服のような衣装

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犬夜叉』のむじなは妖刀・奪鬼を持った妖怪の少女。七宝をだまして仲間に引き入れ、犬夜叉と戦って鉄砕牙の妖力を奪っています。

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むじな まとめ

古来から人を化かす妖怪として知られるむじな。
それほど悪い妖怪ではなく、人を驚かせる、いたずら好きな妖怪。

けど、狸も狐も狢も、最近では数も少なくなって、人を化かすほどの勢いがなくなってしまったのか。

少し、寂しくもあります

 

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