ウンディーネは四大精霊の中の水の精霊。人間と同じ容姿を持ち、愛を得て初めて魂が宿るとされる女性。小説や歌劇、バレエなど多くの作品の題材にもなっています。
魂を得ても、悲しい定めのもと、辿る結末は大人版「人魚姫」を思わせます。
水の精霊ウンディーネの定められた結末とは。
ウンディーネ、人間になった水の精霊
四大精霊は、16世紀の医師であり錬金術のパラケルススによって提唱された四大元素(風・土・水・火)を象徴する精霊。ウンディーネはそのうちの水の精霊。
ラテン語の unda (ウンダ、波)と女性形の形容詞語尾 -ineが組み合わさって「波の乙女」「波の娘」を意味します。
フランス語でオンディーヌ(Ondin)、英語でアンダインまたはアンディーン(hUndine)、イタリア語でオンディーナ(Ondina)。
目に見えないアストラル界の住人、あるいは湖や泉を住まいとし、人間には見えない、ただし霊能力者には虹色に輝く姿が見えるといいます。
四大精霊には基本的には性別も魂もありません。けれど、水の精霊ウンディーネに限っては、多くの場合美しい女性の姿をし、人間の愛を得ること、あるいはその人間との子供を持つことで不滅の魂を得ることができます。
ただし、
- 水のそばで夫に罵られると、愛を失ったとされ、水に帰らなければならない。
- 夫が他の女性を愛した場合、裏切った夫を殺さなければならない。
- 水に帰れば魂を失う。
の定めを受けます。
作品になるウンディーネ
パラケルススの『妖精の書』でのウンディーネは、シュタウフェンベルクの町に現れ、男を誘惑し結婚、けれど男はやがて水精を悪魔だと冷たく扱い、別の女と結婚してしまいます。
ウンディーネは婚礼の宴の席に現れ、眠ると死に至る呪いをかけ、3日後男は死んでしまいます。
1811年、ドイツの小説家フリードリヒ・ド・ラ・モット・フーケが、この伝承を元にウンディーネという小説を執筆。後の多くの作品に影響を与えています。
ウンディーネを題材とした作品としては
- 1939年に フランスの戯曲家ジャン・ジロドゥは戯曲『オンディーヌ』を発表、ブロードウェイで上演。
- チャイコフスキーのオペラ『ウンディーナ』、
- ホフマンのオペラ『ウンディーネ』、
- ドビュッシーのピアノ曲『プレリュード』第2集第8曲「オンディーヌ」、
- ラヴェルはピアノ曲『夜のガスパール』の中で第1曲「オンディーヌ」、
- バレエ『オンディーヌ』、ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ作曲、フレデリック・アシュトン振り付け
など。
日本でも劇団四季による公演が行われています。
ウンディーネ あらすじ
出典:ウィキペディア
「ウンディーネ」は作品によってそれぞれに描写や設定に違いがあります。フゥケー著「水妖記 Undine, eine Erzahlung」(1811年)でのあらすじは
ある時、幼い子供を亡くした夫婦の家の前に赤ん坊が置き去りにされていました。
夫婦はその子を引き取り育てます。子供は成長し、真珠のような肌と緑の目をした美しい娘になります。ある日騎士ヒルデブラントが訪れ、娘を見初め、結婚します。
けれど、ウンディーネの通るところすべてに水が湧き出し、やがて周囲の噂となってしまいます。そのことに嫌気がさした夫はウンディーネを遠ざけ、他の女性ベルタルダに心変わりしてしまいます。
水の妖精たちがベルタルダにとり憑いて復讐、ウンディーネは妖精たちを止め、和解しようとします。けれど、夫はウンディーネに「お前は水の妖精だから人間界にいるべきではない」と拒絶、ウンディーネは悲しみの中海の民の元へ帰ります。
夫ヒルデブラントとベルタルダの婚礼の日、ヒルデブラントが井戸に近づくとそこにウンディーネが現れ、夫を抱きしめ、魂を連れ去ってゆきます。
そして、そこには身体だけが残されています。
ウンディーネ、敵にも味方にもなる水の妖精
「オオカミ姫」のウンディーネはドラゴンリーグの世界からやってきた水の精霊。湖に棲み、人間を魅了。 戦いでも全ての敵を誘惑して攻撃を受け付けない異質な存在感を放ちます。
出典:gamerch
「ロマサガユニバース」のウンディーネは知力の高い、冷属性のアタッカ―。冷弱点の敵にトップクラスのダメージを与えます。
出典:gemakomi
「アナザーエデン 時空を超える猫」のウンディーネはボスキャラ「オンディーヌの幻霊」として登場。
ウンディーネ まとめ
ウンディーネもよくある、『男に愛され裏切られ復習する』物語の主人公。
愛されることで魂を与えられる、最近ドールやロボットでそんなストーリーの映画やアニメがあります。もしかしたら「ウンディーネ」をモデルにして生まれているのかもしれません。
けど、もし逆に、男性の魂のない精霊がいたとしたら、女性に愛され、捨てられ、けど、復習するかなぁ〜(する男もいると思うけど)。
その辺り、男と女の愛情に対する受け止め方の違いが微妙にあるように思うのですが。。。