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個人的には、ケルト神話でイメージするのは、羽根のある妖精や、魔女や魔術の本場の地。
そんな妖精は、ティル・ナ・ノーグやマグ・メルなどの冥界に住む、戦いに敗れたダーナ神族たち。
その妖精の王で冥界を治るのがマナナン・マク・リールです。
マナナン・マク・リールは3本の足を持ち、誰よりも早く走ることのできる美しい戦士です。
いかにもケルト神話、妖精の王らしい風貌のマナナン・マク・リールのご紹介です。
目次
マナナン・マク・リール、ティルナノーグを治める海神
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マナナン・マク・リールとは
マナナン・マク・リール(Manannan Mac Lir) は、ケルト神話で語られる冥界の支配者でダーナ神族、妖精族の王。
ミレシア人(人間)との戦いに敗れたダーナ神族の故郷と シーダ(妖精の塚)を不可視の霧(フェス・フィアダ)で隠蔽。
ダーナ神族の生き残りを冥界のどの地に定住させるかを定める役割を担いました。
マナナン・マク・リールは海神・リルの息子で、自身も海を司る神。
マク・リルは「海の息子」を意味します。
絶世の美女神ファンズを妻とし、自ら目的地まで進む船と水中でも陸でも風のように走る馬(あるいは戦車)を使い、世界中を旅します。
海を荒らしたり鎮めたりする能力を持つ、水夫と漁師の守護神。
「波立つ海を乗り行く者」として崇拝され、海が荒れるときは「マナナンの妻の髪が投げられている」と表現され、水夫たちは「岬の神様」マナナンに加護を祈ります。
マナナンは三本の足を持ち、誰よりも速く走ることがでる、高貴で美しい戦士です。
生者の国を訪れた際のマナナンの動きは風や鷹に例えられ、その足の動きは地表を転がる車輪のようと伝えられています。
アイルランドとブリテンの間にあるマン島という島は、マナナン・マク・リールに由来し「マナナンの島」という意味を持ちます。
マン島のピール城には今でもマナナンの巨大な墓があり、車輪の軸のように放射状に伸びた3本の足が描かれています。
家族
マナナン・マク・リールはアイルランド神話の多くの物語で語られ、その家族についても幾つもの物語が語られています。
父
・海神リル
養父
・ダグザ ダーナ神族の最高神(『アルトラム・ティゲ・ダ・メダル』)
妻
・ファンド(『セルグリージュ・コン・クーリン』(「クー・フーリンの病床」) 美しい妖精の女王
・アイネ 夏、富、美、豊穣を司る女神
子

ベアトリス・エルベリー作『ニアヴ』1914年
・黄金の髪のニアム オイシンをティル・ナ・ノーグに招いた、オイシンの妻
・クリオドナ 愛と美の女神でバンシーの女王
・クルコグ 愛の神オェングスの養女
・聖アトラクタ ガラ湖の底に住む
・モンガン・マク・フィアシュナイ フィン・マックールの生まれ変わりとされるアイルランド・クルティン王国の王子。
・イベル その死を悲しんだマナナンがルイディ湖、クアン湖、ダカエック湖を作ったとされます
養子

『ディアドラの嘆き』J・H・ベーコン作、1905年
・ルー ダーナ神族の太陽神
・ディルムッド・オディナ フィオナ騎士団の騎士
・ディアドラの子供たち ディアドラはアイルランド神話で語られる悲劇のヒロイン。美しいために戦いの原因となる悲しい運命を辿ります。
神格、能力
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マナナン・マク・リールは多くの魔術道具を持つ魔術や治癒の神でもあります。
⚫︎魔法の胸当て 決して壊れない黄金のどんな攻撃も跳ね返す
⚫︎黄金の兜 海上を照らす
⚫︎アオンバール 水上も走れる馬
⚫︎フェス・フィアダ 姿を消したり自由に変身することができる、彼が魔法を使う際に必ず用いるのが極彩色のマント。
このマントを振ることで姿を変えることも、嵐を起こすこともできるうえ、会いたくない相手と縁を切り、二度と出会えなくすることも可能であったとか。
⚫︎杖 地・水・火・風の四元素を自在に操る
⚫︎杖 振れば美しい音楽を奏で、聞くものを眠りに誘い、どんな人間も一日の間決して目覚めない眠りにつかせることができる
⚫︎真実の器(ゴブレット) 3度偽りを言うと壊れ、3度真実を言うと元に戻る
⚫︎『難破号』 持ち主の思うがままに海の上も陸の上も走る船
⚫︎槍 「黄の柄」「赤き投げ槍」
⚫︎魔剣 「小さき怒り」「大いなる怒り」
⚫︎フラガナッハ 決して的を外さない十字剣
このフラガラッハは見たものの力を失わせ、剣に誘われるように切り伏せられるという魔法がかけられており、この剣によって斬られた者は決して生き残れないとされています。
⚫︎魔法のブタ 何度屠殺しても蘇る
マナナンとルー
フォモール族とダーナ神族との戦いにおいて、マナナンはルーに様々な武器を提供しています
- 決して的を外さない十字剣・フラガラッハ
- 愛馬アオンバール
- 兜
- 胸当て
また、槍「黄の柄」「赤き投げ槍」と魔剣「小さき怒り」「大いなる怒り」は後にフィン・マックールが率いるフィオナ騎士団に与えられています。
冥界の王

スティーブン・リード作
マナナン・マク・リールは、現存する最古の物語(8世紀)『ブランの航海』 や「コーマック・マック・エアトの冒険」の中で語られています。
その中で彼は
・ティル・ナ・ノーグ(「約束の地」)
・エメイン・アブラク(「リンゴの木の島」) アーサー王伝説において、カムランの戦いの後、アーサー王がモルゲンとその8人の姉妹に連れられた地(アヴァロン) と同一視されます。
・マグ・メル、(「歓喜の平原」)
などの異界の支配者。
ミレシア人との戦いに敗れたダーナ神族をフェス フィアダ(あるいは目に見えない霧の中)に隠し、永遠の若さを与えるゴイブニウ (エール) 、生命力を与えるマナナンの豚でもてなします。
(あるいは、マナナン・マク・リールに感謝したダーナ神族は、永遠に若さを保つ酒、いくら殺して食べても生き返る豚、人間から姿を隠すフィフ・フィアザ魔術を贈ったとされます。)
ブランの航海
マナナン・マク・リールが治めるティル・ナ・ノーグ (常若の国) は大地の底にあるとも、海の果てにあるともいわれている妖精郷、楽園として知られ、ここを訪れたことで有名なのがブリテンの王・ブランです。
ブランはある日、岸辺で美しい娘に「冬も貧しさも悲しさも何もない、マナナン・マク・リールが治める国でずっと楽しく暮らしましょう」と誘われました。
仲間と共に娘について行ったブランは、ティル・ナ・ノーグに向かう途中にマナナン・マク・リールと出会います。
マナナン・マク・リールが魔法の杖を一振りすると、海が花咲く野原に、魚を羊の群れに、鮭を牛に変えたといいます。
ティル・ナ・ノーグは、色とりどりの豊かな場所で、ブランは楽しく暮らしました。
しかし、一か月ほど経った頃、故郷が恋しくなったブランは帰ることを決意しましたが、船から降りて故郷の土を踏んだ瞬間、灰となって消えてしまいました。
マナナン・マク・リール、創作作品での知名度は低め?
ゲーム「マビノギ」では、褐色の肌に銀色の美しい髪を持つ青年として登場しています。少しひねくれた性格をしていますが、善良な神です。
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アニメ「銀河英雄伝説」では、艦船としてマナナン・マクリルが登場。アスターテ会戦時の第2艦隊フィッシャー分艦隊の旗艦です。
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マナナン・マク・リール まとめ
世界にはいろいろな異形の神々がいます。
エジプトの神々は頭部が動物。
インドのブラフマー神は4つの頭。
一つ目は同じケルト神話フォモールの邪眼バロールやギリシャ神話のサイクロプスなどがいます。
けれど足が3本というのはビジュアル的にオドロキです。
車輪のように走る姿というのは昔のマンガによくあったアレをイメージしてしまいます😅💦




