ウーサー・ペンドラゴンはアーサー王の父。
敵国から国を守り、ストーンヘンジを建設するなどの功績をあげながらも、敵王の妃への道ならぬ恋のために命までも落としてしまうことになります。
そんなブリテンの「火の竜」の王、ウーサー・ペンドラゴンの生涯を辿ります
アーサー王の父たる偉大な王であったのか、ご覧ください
出典:ウィキペディア
イングランド王ウーサー・ペンドラゴン
出典:ウィキペディア
イングランドの王ウーサー・ペンドラゴン(Uther Pendragon、ユーサー、ウーゼル)は「ブリタニア列王伝」で 記されるコンスタンタン11世の末の子、アーサー王の父とされる伝説的な人物です。
サクソン人の謀略で兄を殺され、ウーサー自身も一旦は敗れ、ブルターニュに亡命。魔術師マーリンを伴い、ストーンヘンジを建築。イングランドへ戻った後サクソンを破って戦いに勝利し、イングランドの王位に就きます。
アーサー王が実在したかどうかについては定かではありませんが、ウーサー・ペンドラゴンの父コンスタンタン11世は実在したスコットランドの王。ノルマン人やサクソン人と戦い、原住民ピクト族とも友好関係を結び、900年から942年までの間即位。952年に没し、スコットランドのセント・アンドリュースに葬られます。
ウーサー・ペンドラゴン王の誕生
出典:pinterest
当時の王ヴォーティガンは、異民族であるサクソン人を率い暴政を強いる暴君。そのため反乱軍によって倒され、ヴォーティガーンは討ち死にします。
ヴォーティガーンの死後、弟のアンブロシウス・アウレリアヌスが新王に即位し、イングランドを統治します。けれど新王アンブロシウスも毒殺され、その時ウーサーはサクソンとの戦いの最中にいました。
ある日、空に輝くふたつの大きな星が現れます。その星は燃える火の竜のように輝き、光の尾を引き、そのひとつはガリア、他のひとつはアイリッシュ海を指していたと伝えられています。
ウーサーはマーリンにそれらの星にある意味を尋ねます。マーリンはアウレリアヌス現王の死と、これからウーサーに生まれる息子が偉大なイングランドの王となり、その子孫がブリタニアを治めていくことを告げていると予言します。
ウーサーは当面の戦いに勝利。 新たなブリテンの王となり、この時に見た火の竜の星を見立て、それ以降「ペンドラゴン」という称号を名乗るようになります。
イグレーンとの出会い
ウーサー・ペンドラゴンはブリテンの王に即位。その頃のブリテンはサクソン人やアングロ人、ビクト人、海賊などの外敵やブリテン内部の諸侯にも不穏な動きがあり、ペンドラゴンの支配体制は危うい状態でした。
マーリンは新体制を強固なものにするための策として、ブリテン西南のコーンウォールを治めるゴルロイスという領主との和睦を図ります。そしてゴルロイスと妻のイグレーンを城に招き、盛大な宴を開いてもてなします。
その時ペンドラゴンは、ゴルロイスの妻イグレーンに出会います。
ペンドラゴンは一目でイグレーンあまりの美しさに目を奪われ、激しい恋心が芽生えてしまいます。宴の間、ペンドラゴンの行動は終始イグレーンに注がれます。このありさまにゴルロイスは憤慨し、挨拶もしないまま妻を連れ帰り、イグレーヌを自身の城に閉じ込めてしまいます。
ペンドラゴンはマーリンにこの恋情を叶えてくれるよう懇願します。
マーリンはペンドラゴンとイグレーヌの間に生まれる子を託してくれることを条件に手助けすることを提案し、ウーサーはそれに同意します。
アーサーの出生
ゴルロイスは妻とともに城にこもり、防御を固めました。その城は海辺に建つ難攻不落な城。
マーリンは一計を案じ、一旦ぺンドラゴンの軍が敗走したようにみせかけ、ゴルロイスに追撃させるよう仕向けます。
その隙に、ペンドラゴンはマーリンの魔法でゴルロイスの姿に変身し、城の中に入り込みます。イグレーンはそれとは気づかずペンドラゴンと一夜を共にし、ペンドラゴンの想いは叶えられます。
一方、本物のゴルロイスは戦場で待ち構えていたペンドラゴン軍の罠にかかり討ち死。
こうしてイグレーンはペンドラゴンの妻になり、やがてひとりの男の子が生まれます。
出典:ウィキペディア
ペンドラゴンは約束通り、生まれた子をマーリンに託します。マーリンはアーサーと名付け、エクター卿に養育を任せます。アーサーは出生の秘密を知らぬままにエクター卿のもとで成長し、やがてブリテンの王となります。
けれど、ウーサー・ペンドラゴンはゴルロイスを騙し、イグレーンを無理やり自分の妻としたという経緯で評判を崩し、民衆の信頼を失ってしまいます。
敵が召使いになりすまし侵入し、ペンドラゴンを毒殺。あえない最期を遂げることになります。息子が即位しアーサー王となる姿を見ることなく亡くなります。
ウーサー・ペンドラゴン まとめ
出典:ウィキペディア
この時代、ケルト(日本でも多分に)の妃は、城と同じに、領主となったもののモノになる宿命を背負っていたようです。
貧しくても、裕福でも、美形でもイマイチでも、女性は自分の意思のままには生きられなかった。
可哀想かどうかと考えるのは別の次元のお話になるようにも思いますが。今の時代の女性は自由に生きられるということは間違いないようです。