フィン・マックールはケルト神話に登場するエリン(アイルランドの古称)を守るフィアナ騎士団の首領。金髪(フィン)で色白な美形男子。
日本ではイマイチ馴染みが薄いようにも思いますが、そのエピソードは勇者クー・フーリンに並ぶ英雄として、アイルランドの神話『フィン物語群』で数多く語られています。
今回はそのフィン・マックールという英雄の人物像に焦点を当ててご紹介します。
フィン・マックールのその数奇な生涯とは
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フィン・マックールという英雄
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昔、エリンと呼ばれた時代、アイルランドは5つの小国に別れていました。国々のいさかいや他国の脅威からエリンを守るため、フィアナ騎士団は存在しました。
そしてその団長を務めるのが「白く輝く英雄」「黄金の騎士」という異名を持つフィン・マックール。ケルト神話の代表的な英雄物語として古くから語り継がれてきた、クー・フーリンと並び称される大英雄。
親指に魔法の力を宿すという不思議な能力を有します。
フィン・マックールの生涯
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フィン・マックールはヌアザの孫マーナとフィアナ騎士団の団長クール・マックトレンモーとの間に生まれます。名前はティムナ。フィンの名は金色の美しい髪、マックールはクールの息子を意味しています。
フィンの出生
父クールは騎士団の隊長の一人であったゴル・マックモーナに裏切られ死亡。母マーゴは追手を逃れフィンを出産。生まれて間もないフィンを侍女に託します。
荒野で育ったフィンは優秀な狩人となり、やがて育ての親に出生の秘密を知らされます。14歳になった頃、ゴルの捜索を逃れ、育ての親から貰った槍を手に、戦士としての経験を積む旅に出ることになります。
旅の途中、フィンは賢者のフィンネガスのもとで修業を行いました。その際、魔法の力を持つ知恵の鮭を食べたことがきっかけで、彼は2つの大きな力を得ます。
地位の奪回
その後、フィンはエリンの祭りを訪れます。ターラの王宮の上王コーマックに出生を明かし謁見、毎年祭りの夜に現れる『炎の息のアイレン』という怪物を倒したものに褒美を与えるという上王に騎士団長の地位を望みます。
怪物は竪琴の音を聞いたものを眠らせる不思議な力を持っていましたが、フィンは父に恩ある騎士から譲られた魔法の槍ビルガの効力に救われ怪物を倒し、団長の地位を取り戻します。
父の仇であるゴルもフィンに従い、その後は腹心の部下としてフィンに支える事になります。
最初の結婚
最初の妻のサーバは同族の黒いドルイドによって鹿に変えられた妖精。フィンに助けられ愛し合うようになり結婚。フィンは戦いや狩にも興味がなくなるほど深く愛し合っていましたが、フィンが団長の職務についているとき、ドイルにさらわれてしまいます。
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金髪のフィンが銀髪になる
サーバが連れ去られてしばらく後、エイネーとミルクラというダナン族の姉妹に出会います。ふたりはフィンを慕いますが、フィンにはサーバしか考えられません。フィンは想いが叶わないミルクラの策略と魔法によって老人に変えられてしまいます。
エイネーの黄金の杯によって魔法は解けますが髪だけは元に戻さず、この時より生涯銀の髪の姿を通す事になります。
息子オシーンとの出会い
7年間妻サーバを探し続け、ある日森で不思議な少年に出会います。そして、サーバには2度と会えないこと、そしてその少年がサーバと自分との子供であることを知り、少年にオシーン(ちいさな子鹿)と名付けます。
老年のフィン、権威の失墜
二人目の妻は長い年月が経った後に迎えたガラドの娘マーニサー。マーニサーが亡くなって老年になったフィンは、乗り気ではなかったものの、上王の娘グラーニアと結婚。
けれど、グラーニアは年老いたフィンを嫌い、騎士団のディルムッド・オディナに惹かれます。ふたりは結婚の祝宴から駆け落ち。激怒したフィンは追手を放ち、ディルムッドを殺害しようとします。騎士団の団員、そして育ての親の魔女を差し向けますが返り討ちに合い、死亡。
多くの団員や養い親を失ったフィンはディルムッドと和睦を結びます。けれどディルムッドが獣に襲われ負傷した際、癒しの水で助けることを拒否、ディルムッドを死に追いやります。
ディルムッドを失ったグラーニアは、生涯未亡人を貫いた、後を追うように死んでしまった、などの言い伝えが残っています。
フィンの最期
ディルムッドの死後、上王が代替わり、新王はフィアナ騎士団を恐れ、嫌います。そして騎士団に対して宣戦布告。騎士団内部でも騎士団を捨て上王に従う者とフィンに従う者に分裂。両派に分かれ戦争となり、フィンは最後の一人となって戦いますが、戦死。数奇な人生を終えます。
―フィン・マックールの能力―
若き日のフィンは旅の中ボイン川の近くで出会ったドルイド僧・フィネガスの弟子となります。7年がたった頃フィネガスに命じられ、あらゆる知識を与えるという『知恵の鮭』を調理。焼いている最中に脂が指にはね、火傷をした傷をなめます。フィネガスはフィンに鮭を食べさせ、以後、フィンには不思議な力が宿ります。
- 知恵の親指 親指をなめることで、どんな謎も解決。未来や遠くの場所も見通すことができるというもの。
- 癒しの水 手にすくった水を飲ませれば、どんな病人や怪我人でも助けることが出来ます。 ただし、死者を蘇らせることは不可。
―フィン・マックールが所有した魔法のアイテムー
- 鶴革の袋 フィアナ騎士団団長の証。腰につるす程度の大きさなのに様々な大きさの道具を収納することができるドラえもんの異次元ポケットのような宝袋。
- ビルガ ダーナ神族の鍛冶師レインが鍛えたとされる魔槍。 穂先に袋を被せておかないと勝手に血を吸おうとしますが、槍の穂先を額に当てると眠気が消える魔力を有します。
- マック・ア・ルーイン 「槍の息子」を意味するフィンの愛剣。
- マント 炎を防ぐことが出来る魔法のマント。
この他にもフィンは光の神ルーを救出する際に手に入れた隕石から生まれた剣やオルラスハラ(燃える黄金)、ムーインデルグ(赤い首)という名の槍など、多くの武器や宝物を所有していたと伝えられています。
英雄フィン・マックール、現代でも戦士
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「Fate」のフィン・マックールはランサーのサーヴァント。若い頃のフィンは英雄として人々のために働くイケメンなナルシスト。ちなみにFate/Zeroでは老年期の姿で登場しています。勝手ながらオヤジには興味ないんで、無視。
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超本格的 RPGカードバトル「バハムートブレイブ」でのフィン・マックール、「治癒の力も死地を打開する知恵も私を幸せにはしてくれない。大切なものは指の間からすり抜けてゆく」と嘆きます。
フィン・マックール まとめ
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若い頃のフィン・マックールとはまるで別人のように、年老いたフィン・マックールは強欲なジジイと成り果てているように思います。まあ、「成すべき」と思うことと行動が一致するとは限りませんが。けれど、やはり和睦した相手の命は助けるべき。
話は逸れますが、大人や年配の方は敬うべきと諭されますが、年をとっているからといって全ての人が「こうべを垂れるほど、賢い稲穂になる」とは限らない。
筆者は「常識を振りかざす、良識のない大人は多い」そんな印象を持ちます。