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オェングス、ケルト神話の妖精国の王、美と若さを司る男神

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美と愛の神といえば、まずギリシャ神話のアフロディテ。メソポタミアのイシュタルやエジプトのハトホルをイメージします。

どの神も愛や美をつかさどるだけあって、恋愛には積極的で奔放な性格の女神。

 

けれど、美と若さや愛をつかさどる神で、恋愛には臆病で義理堅いという、他の神話の神々とは全く違った性格、しかも男神がいるのです。

ケルト神話の妖精王、オェングス。

そこでオェングスのご紹介

 

オェングスの切なく一途な恋物語、ご覧ください

 

妖精王オェングス

作者不明

オェングス(Aengus 、アエンガスAengus、オエンガスOengus、アオンガス Aonghus)は、アイルランドのダーナ神族(トゥアハ・デ・ダナン)美と若さ、愛を司どる神です。

その名は「一人(aon)」と「選択(gus)」が組み合わされ、「選ばれた者」を意味します。

 

聞く者全てに抗い難い魅力を与える魔法の竪琴を持つ、頭上には4羽の小鳥が舞うという美貌の持ち主

彼の口づけは小鳥になり、人々の胸に飛び込んで恋心を燃え上がらせるといいます。

 

オェングスは古代ケルトの神マポノスと同一視され、5 つのアイルランド神話で中心的な役割を果たしています。

 

オェングスの家族

両親: 父はトゥアハ デ ダナンの王ダグダ(ダクザ)、母はボイン川の女神ボアン ダグダの息子で義兄弟でもある地下の神ミディールが養父としてオェングスを育てます。

兄弟はオグマ・アン・サーメイト

妻・子:ミディールの妻でもある馬の女神エーティン、カエル・イボルメスを妻とし、英雄ディルムッド・オディナを養子に迎えています。

 

他説、スコットランドの民間伝承では

オェングスは冬の妖精女王ベイラの息子であり、知恵と癒しの女神ブリジッドの夫とされています。

 

オェングスの誕生

ベアトリス・モス・エルベリー作

オェングスは、ダーナ神族の主神・ダクザとボイン河の女神・ボアンの間に生まれます。

けれど、ボアンには河の神ネフタンという夫がおり、2人はいわゆる不倫関係でした。

 

ネフタンに隠れてボアンと逢瀬を重ねていたダグザは、ボアンの妊娠を知ると、翌日仕事から戻る予定のネフタンから子どもの誕生を隠すため、9ヶ月もの間太陽を沈ませず、1日で出産が終わるようにしたといいます。

 

無事、ネフタンに知られずに誕生したオェングスは、同じくダクザの息子で兄にあたる、地下の神・ミディールに預けられ、養育されました。

 

妖精郷の王となる

オェングスは、幼少の頃から武勇に優れた勇敢な神。

けれどある日、その優秀さを妬んだフィル・ボルグ族の少年に父親がいないことを指摘されます。

オェングスは、ミディールに本当の父親を尋ね、そこで初めて自分がダクダの息子だと知ります。

 

オェングスはダクダを訪ね、息子としての権利を主張します。

けれど不義の子のオェングスに堂々と財産を分けることができず、ダクダは一計を案じ、「水の女神ネフタンから領土を奪えばよい」とオェングスに告げました。

 

オェングスは、夏の祭りを祝うサウィン祭のためにやって来たネフタンに領土を譲るよう交渉。

こうして、ネフタンからブルー・ナ・ボインというボイン河流域にある領土を譲り受け、そこにある妖精郷の王となります

 

オェングスとエーディン

養父ミディールは国中で一番美しい女性を新しい妻に迎えたいと考え、オェングスに相談します。

オェングスは、コノート王アイルの娘エーディンがふさわしいと考え、娘の父アイルを訪ねます。

アイルは、12の平原、12の川、そしてエーディンの体重と同じ重さの金と銀を要求。それに応えたミディールはエーディンと結婚

 

けれど、ミディールの正妻であるフゥーナッハは、夫が美しい花嫁を連れ帰ったことに嫉妬し、呪いでエーディンを蝶(あるいはハエ)に変え、大きな風を起こして吹き飛ばしてしまいます

 

幸いにもエーディンが吹き飛ばされた先は、オェングスの宮殿でした。

オェングスは、エーディンの呪いを解こうとしましたが、夜だけ人間の姿に戻すだけにとどまりました。

その頃オェングスとミディールは敵対関係にあったためエーディンはオェングスの元で暮らすことになります。

 

エーディンと暮らして行くうちに2人は惹かれあっていきます

しかし、怒りが納まらないフゥーナッハは、オェングスの留守中にエーディンを再び吹き飛ばします

これに怒ったオェングスは、フゥーナッハを追い回して首をはねるほどでした。

 

オェングスとカエル(オェングスの夢)

ジョアン・フィンドン作1996 年

オェングス自身の恋愛にまつわるエピソードで有名なものにアイルランドの神話 「オェングスの夢」があります。

 

ある夜、眠っていたオェングスの元に美女が現われます。

彼女を気に入ったオェングスは一夜を共にしようとしますが、美女はすぐに消えてしまいます

次の夜から、美女はオェングスの元に現われ続け、竪琴で美しい音色を奏でます。

一年以上続いた夢の中で、美女はオェングスが触れようとすると消えてしまいます。

 

美女に恋焦がれたオェングスは衰弱し、病気になってしまいます。

心配したボアンとダクダは、トゥアハ・デ・ダナンの赤の妖精ボブの援助を求めました

ボブはアイルランド全土を捜索し、ついに竜の口の湖で夢の美女ナハト地方の妖精郷の領主・エタルの娘カエル・イボルメスを見つけます

 

オェングスは早速竜の口の湖に行き、焦がれた美女カエルも含まれる長い黄金の髪で繋がった150人の少女たちに出会います

カエルはエセルという名の妖精の娘でしたが、エセルはアエンガスに娘を連れ去られることを拒みます。

オェングスは、自分が愛する女性がサムハイン(収穫期の終わりと冬の始まり、一年の半分の暗期を告げる11月1日のゲールの祭り)の日、日没から始まる 1 日の間だけ人間の姿になり、次のサムハインまでの1 年間白鳥に変身する乙女であることを知ります

 

そこで、オェングスは11月1日に竜の口の湖に行き、湖のほとりに立って、愛するカエルに自分の感情を告白します。

そして自身も魔法で美しい白鳥に変身し、アエンガスの宮殿ブルー・ナ・ボインに向かって共に飛び立ちます。

二人が上空を飛ぶ時、美しく魅惑的な妖精の音楽が奏でられ、それを聞いたすべての人が3日3晩眠りに落ちたほどでした。

カエルはオエンガス と結婚、英雄ディルムッドの養母となります。

 

オェングスとブリギッド

スコットランドの民間伝承では、ェングスは冬を統治する神ベイラの最も美しい息子

冬の間はティル・ナ・ノーグに留まります。

オェングスは夢でブリギッドと出会い、夏のある日ブリギッドを探すため白馬に乗ってティル・ナ・ノーグを旅立ちます。

ブリギッドは彼女の美しさを妬む妖精の女王ベイラによって監禁され、不可能な雑用を強要されていました。

そしてついに春が始まったばかりの頃、ベイラの地下宮殿でブリギットを見つけます。

春の初日インボルグ(春の始まりを告げる聖ブリジットの日)ふたりは出会い、その時花々の蕾は開花、草が生い、ブリギットの粗末な服は華やかな白いローブに変わり、彼女の髪は春と夏の花で飾られました

オェングスはブリジットと結婚、けれどその祝賀はベイラの操る嵐の雲によって妨害されてしまいます。

やがてベイラは老いて、若返りのために青春の井戸に戻る時、ベイラは眠りに落ち、オェングスと花嫁は夏の王と女王になりました。

 

 

オェングス、創作物では、まだまだマイナーな存在

ソーシャルゲーム『百神』のオェングスは可愛いけれど愛と若さ、美を司る神で妖精国の王。得意の竪琴や弾き語りで聴く者を癒す力があります。

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蒼穹のスカイガレオン」では、Rのカードで登場。スキル名などが彼の逸話になぞらえて、名付けられています。

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オェングス まとめ

正直、小鳥が舞うような美男子というところが驚異です。

イケメンなら ブラピやジョニデをイメージしますが、イケてる男子と美男子は違いますもんね。

そんな、花々が咲き誇る、非の打ちどころのない美しい男子、思い浮かびません。

ぜひ、目の保養にお目にかかってみたいです。

 

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