晩秋に入る寒露、朝露が冷たく感じられるころ。
いよいよ秋も深まり、スポーツや芸術に興じるのが好まれる頃。
山間の紅葉以外、街にもバラやダリア、コスモスなどの花々が咲き誇っています。
こもりたくなる冬の到来も間近。それまでの猶予、去りゆく秋を存分に満喫しておきたいところです。
「寒露」
寒露(かんろ)は二十四節気の17番目。
現在の定気法では太陽黄経が195度のとき。
2020年の寒露は、10月8日(木)、および霜降(10月23日の前日)までの期間をいいます。
『暦便覧』でも「陰寒の気に合つて露結び凝らんとすれば也」冷たい露の結ぶ頃。
「秋の日は釣瓶落とし」寒露の頃の夕暮れを表現しています。「釣瓶」(つるべ)とは、井戸から水をくみ上げるときに使う桶のようなもの。手を離すと瞬間に井戸の底へと落ちる、その様が秋の夕日が沈む速さを例えています。
月の呼び名
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秋には観月も似合います。
季節の移り変わりや満ち欠けによって様々に表情を変える月は、呼び名もその時々によって変わります。
気候を表現する呼び名
- 朧月(おぼろずき): 霞のかかった月
- 薄月(うすづき):薄く雲がかかった月
- 無月(むげつ):十五夜に雲がかかり、見えない月
- 雨月(うげつ):雨の日の月(雨で月が燃えない時)
- 寒月(かんげつ):寒さでしばれるように見える月
ひと月の満ち欠けによって変わる呼び名
- 1日目:新月(しんげつ)
- 2日目:二日月(ふつかづき)
- 3日目:三日月(みかづき)
- 7日目:上弦の月(じょうげんのつき)
- 13日目:十三夜(じゅうさんや)
- 14日目:小望月(こもちづき)
- 15日目:十五夜(じゅうごや)
- 16日目:十六夜(いざよい)
- 17日目:立待月(たちまちづき)
- 18日目:居待月(いまちづき)
- 19日目:寝待月(ねまちづき)・臥待月(ふしまちづき)
- 20日目:更待月(ふけまちづき)
- 23日目:下弦の月(かげんのつき)・二十三夜(にじゅうさんや)
- 26日目:有明の月(ゆうめいのつき)
- 30日目:三十日月(みそかづき)
「寒露」の頃、七十二候
初候(10月8日頃〜10月12日頃) 鴻雁来(こうがん きたる):越冬のための冬鳥、雁が渡ってくるころ
夏鳥のツバメが去り、冬鳥の雁やオオハクチョウが渡来するころ。これより約半年の間その優美な姿を楽しませてくれます。
次候(10月13日頃〜10月17日頃) 菊花開(きくのはな ひらく):菊の花が咲くころ
日本の国花でもある菊が旬を迎えます。菊には不老長寿の薬効がある重陽の節句には欠かせない花。毎年各地で菊を愛でる様々なイベントが催されます。
末候(10月18日頃〜9月23日頃) 蟋蟀在戸(きりぎりす とにあり):戸の辺りで鳴くキリギリスがの声が耳に残るころ
このころのキリギリスやコオロギは、鈴のような音色を響かせるツヅレサセコオロギ、秋の夜長に似合います。
「二十四節気」とは
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二十四節気は、一年を春・夏・秋・冬の季節に分け、それぞれをさらに6分割した24の期間に名前をつけたものです。現在でも季節の節目を示す言葉として使われています。
二十四節気の名称は、中国で考案された当時のものがほぼそのまま使われています。考案当時の文明の中心であった黄河の中・下流域の気候を反映しており、日本よりも寒冷で大陸的な気候のため、日本の気候とは多少ずれがあります。
太陽黄経が30の倍数であるもの(春分・穀雨など)を中(中気)、そうでないもの(清明・立夏など)を節(正節、節気)と言い、節気から次の節気の前日までの間を一ヶ月とする月の区切り方を節切り、その月を節月と言います。季語の分類も主として節切りで行われています。
夏至・冬至の二至、春分・秋分の二分を併せて二至二分といい、立春・立夏・立秋・立冬を四立、二至二分と四立を併せて八節と言います。二十四節気をさらに約5日づつの3つに分けた、七十二候という分類もあります。
寒露の頃の行事
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えびす講(えびすこう)
えびす祭やえべっさんとして親しまれる祭礼。主には旧暦の10月20日催されます。
えびす神(かまど神)は、神無月(旧暦の10月)に出雲に赴かない「留守神」。
その神無月にえびす神を祀り、無病息災、五穀豊穣、商売繁盛を祈願します。
地域や社寺によっては、秋と春の2回や、十日えびすとして、新春1月10日や15日に行なわれています。
誓文払い
年末恒例の特売行事。
江戸時代、旧暦 10月 20日の戎講 (えびすこう) の日に、京都の商人や遊女が官者殿(祇園社の末社)に参詣し、その年の商売上の嘘(うそ)の罪を払ったことが始まり。
商店などが日頃の虚言の罪滅ぼしとして、商品を格安に売り出すことを誓文払い,夷(えびす)講と呼ぶようになります。
季節の花
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寒露の頃には各地で菊花展も催され、休日に出かけるオススメのスポットです。
** 菊 **
「菊」は「桜」と共に日本をイメージさせる国の花、「国花です」。
元々は薬草や観賞用植物として中国から伝来した外来種。食用とする品種もあります。
花言葉は「高貴」。
奈良時代末か平安時代初めに渡ってきたと推定されます。
鎌倉時代、後鳥羽上皇が定めて以来、「菊紋」が皇室の家紋となっています。
菊供養
下町文化の中心的存在東京「浅草寺」では、観音薩捶の縁日である10月18日「菊供養」を行います。
これは、信徒の献菊を供養し、交換して信徒が持ち帰るというもの。供華会(くうげえ)ともいいます。
寒露 まとめ
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秋刀魚、栗、松茸、サツマイモ。秋の味覚を挙げてゆけば、いろいろな食材ががイメージできます。
ホクホク出来立ての石焼き芋、食卓に並ぶ焼きたての秋刀魚、松茸の土瓶蒸しも外せません。。。高いけど(苦笑)。
やっぱ、芸術や、スポーツも魅力ですが、秋の味覚だけは外せない楽しみですよね♩