ブラフマーは「創造神」。ヒンドゥー教において維持を司るヴィシュヌ神、破壊を司るシヴァ神と三神一体(トリムルティ)とされる最高神です。
仏教思想に取り入れられ梵天として、日本では帝釈天と一対像となって東大寺や法隆寺など多くの仏閣で祀られています。
創造神にして最高神、一見馴染みの薄いブラフマーですが、ヴィシュヌ神やシヴァ神に並ぶスゴ味があります。
目次
ブラフマー、宇宙の創造神にして最高神
ブラフマー(ヒンディー語: ब्रह्मा Brahmā)はヒンドゥー教の最高神の一柱。
ヒンドゥー教の前身であるバラモン教の教えの中心となる神様であり、インド哲学のブラフマン「梵(ब्रह्मन् brahman)宇宙の根本原理」の思想を神格化したもの。
人や生物、自然、現実に存在する全てを創造する神。
神学的哲学の根元とされています。
プラーナ(古典伝承)の一つではブラフマーは時間を創造する神。ここでのマハーカルパ(宇宙の寿命)はブラフマーの一昼夜であるとされています。
創造神ブラフマーは、維持を司るヴィシュヌ神、破壊を司るシヴァ神と三神一体(トリムルティ 最高神の3つの様相)の一柱。
その存在は紀元前10世紀に編纂された宗教文書『マイトリー・ウパニシャッド』で記されています。
10人の宇宙万物の創造神プラジャーパティを生み出し、学問と音楽を司るサラスヴァティを妻とします。
仏教に取り入れられたブラフマーは、天部の一尊「梵天」として、最高位の一つ梵天界の主神となります
ブラフマンとは
ブラフマンとは、現存する伝承のうち、最も古いヒンドゥー教の聖典であるヴェーダ時代から存在する概念。
その内容については多義な意味づけがなされているのが特徴です。
ブラフマンは宇宙で最初に存在した、宇宙や自然界を活動させる原動力。
全ての生命に宿るアートマン(真の自分)と同一であるとされます。
ひとは「梵我一如」(自然的世界の根本原理であるブラフマン(梵)と、人格的な自我の原理であるアートマン(我)が同一であるという思想)の境地を得ることで永遠の至福へ到達できるとされています。
トリムルティとは
トリムルティとは最高神の3つの様相、三神一体をいいます。
ブラフマーとヴィシュヌとシヴァは同一であり、三柱は宇宙の創造、維持、破壊という3つのサイクルが神格化されたもの。
顕現する機能を異にする3つの様相であるとされます。
紀元前1700-1100年の古代インドの聖典リグ・ヴェーダでは、ヒンドゥー教の最古の最高神・神と人との仲介人である火の神アグニの持つ3つの性格がトリムルティとして神格化されたものとされています。
ブラフマーの誕生
ブラフマーの出生については多くのプラーナ(古典伝承)が存在しています。
主なものとしては、
- 宇宙の卵(黄金の子宮)と呼ばれるヒラニヤ・ガルバから生まれた
- 時間と宇宙が生まれた瞬間にハリ(ヴィシュヌ神)のヘソから生える蓮の中から現れた
その他
- シヴァの様相のひとつ
- 原初の海から生まれた
- ブラフマーとヴィシュヌはアルダナーリーシュヴァラ(シヴァとパールヴァティの融合した神)から誕生したルドラ(シヴァの前身)がブラフマーを創造した
- 「宇宙の母」パールヴァティがブラフマーを含む神々と3つの世界を創造した
など
ブラフマーの容姿
ブラフマーは4つの顔と4つの腕を持ち、それぞれの顔は東西南北の四方を向いています。
4つの口のそれぞれから4つのヴェーダ((梵: वेद、Veda)「知識」の意。バラモン教とヒンドゥー教の聖典)を紡いだとされます。
手に持つものはヴェーダ聖典、時間を象徴する数珠、ヤジュニャ(yajña, 火の儀式)に使われる杓、生命の源である水の入った器。
多くの肖像画のブラフマーは擬人化され、蓮の上に座り、白い服をまとい、水鳥ハンサに乗り、白いひげを蓄えた老人の姿で表されます。
これはリシ(聖仙)のように膨大な経験と知識を備えていることを象徴しています。
けれどその抽象的過ぎる性格からか、シヴァやヴィシュヌに比べると一般に受け入れられにくく、人気という点ではイマイチな感は否めません。
ブラフマーと梵天(ぼんてん)
ブラフマーは仏教においては正法護持の神、梵天(ぼんてん)となります。
色界の初禅天の王にして、十二天・八方天の一柱。右の帝釈天(たいしゃくてん)と相対し、大梵天・梵輔天・梵衆天の三天からなる総称。淫欲を離れた清浄な天として知られています。
密教においての梵天は、四面四臂で右手に払子左手に蓮華をもち、ガチョウの上に鎮座します。
釈迦の涅槃の際には彼を迎え、釈迦が悟りを開いた際には人々にその教えを広く広めるように釈迦に諭したとされています。
このことから、天部のほぼ最高の存在として扱われ、帝釈天と一対の梵釈(ぼんじゃく)として、仏教の守護者として崇められています。
ブラフマー、現代では戦士・超人として登場
「ファントムオブキル」ではユニット(キャラ)、キル姫ブラフマーストラとして登場しています。
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TVアニメ「ベータマン」のブラフマンは種としての人類の限界を超えるため魔門麦人が生み出した超人。
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人気ゲーム「モンスターストライク」のブラフマーは火属性 ★6 宇宙万物の創造主。「パズル&ドラゴンズ」では降臨ダンジョン「ブラフマー 降臨!」として登場。
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「神姫プロジェクト」のブラフマーは宇宙から力を得て世界の再構築に尽力する神姫
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まとめ
ブラフマーは10の化身を持つヴィシュヌ神や死人の上で踊るシヴァ神と比較して、そのビジュアル的な特異さからいっても負けていないスゴ味があります。
けれど個人的な感想でいえば、ビジュアルイメージがイマイチ。これは存在としてイメージしにくい。
偉大な神として崇めるには異様すぎるように思います。いかがでしょう?