麒麟は龍・鳳凰・亀とともに四霊獣として崇められる聖獣。
日本でもビールの銘柄としてお馴染みの麒麟。
平和を愛する仁獣で、権力や富の象徴する瑞獣でもあります。
名君の出現と共に現れ、凶苦から人々を守る麒麟のご紹介です
目次
麒麟とは
麒麟は聖人や仁の心を持つ君主が出現する前兆に現れるとされ、麒麟から諸獣が生まれたともされる紀元前から中国に伝わる伝説上の聖獣です。
中国語ではチーリン(Qilin)、広東語ではケイロン(Keileon)
土と徳に属した殺生を行わない瑞獣です。
雄が麒、雌が麟。
鳳凰と対、四神の長である黄龍と同一視されることもあり、龍・鳳凰・亀とともに四霊獣のひとつ。また黄麟として黄龍とともに、五神獣ともされます。
仁獣かつ瑞獣(ずいじゅう)。
権力や富の象徴としても扱われ、王朝では官位の象徴としても麒麟が用いられています。
平和を愛する聖獣ですが、敵に対しては鳴き声が焔となり、蹄とツノを武器として勇猛果敢に戦う戦獣と化します。
伝承では
麟之が長と為す(りんこれがちょうとなす、麒麟が百獣の長)
麒麟は毛皮のある360種の動物の頂点に立つ幻獣。
長寿で1000年、2000年も生きるといわれ、麒麟がいるところには必ずいいことが起こるといわれる瑞獣。
太平の験(たいへいのしるし、平和の象徴)
麒麟は良いことがある前触れとして姿を現し、幸せを招く、穏やかな日々をもたらす幸福の象徴とされています
麒麟の姿や性質、特徴は
容姿や特徴については時代や地域によっても異なり、様々な言い伝えが残されています。
- 麕身 牛尾 一角(きんしん ぎゅうび いっかく、身体は鹿、牛の尾、一本の角)
初めは鹿に似た一角獣であったのが、しだいに複雑怪奇な姿になってゆきます。
獅あるいは狼の頭部、鹿の角、虎の目、鹿の胴体、龍の鱗、馬の蹄、牛あるいは龍の尻尾。
額に肉の鞘で覆われた一本の角を持ちます。
全体の毛は黄色く、ウロコで覆われ、背中の毛は五色に彩られています。
ちなみに、青い毛を持つ麒麟は「聳孤」(しょうこ)、赤い毛は「炎駒」(えんく)、白い毛の「索冥」(さくめい)、黒い毛は「角端」(かくたん)。
一般的な意味での「麒麟」はこれらの中でも黄色い毛の種を指すといわれます。
雄を麒、雌が麟といわれますが、一説には雌には角がなく、麒麟と呼ばれるのは雄のみともされています。
焔の翼を持ち、よく飛び、武器である角は先端が肉で覆われているため、相手を傷つけることがないとされます。
「一日に千里も走る馬」という意味合いでも用いられ、この場合は騏驎とも表現されます。
性格は
- 仁獣(じんじゅう、仁徳、思いやりをもった動物)
麒麟は他を慈しむ “仁獣”。
そして、「仁の心を持つ聖人や王が出現する前兆として現れる」と語り継がれています。
「麟は仁獣(じんじゅう)なり、王者あれば則(すなわ)ち至る」
麒麟は聖天子の治世に限って出現する瑞獣(ずいじゅう)とされます。
- 不履生蟲不踐生草(せいちゅうをふまずせいそうをふまず、生きている虫を踏まず、生草を折らない)
麒麟は優しく慈愛に満ち、足元の虫を踏んだり、草を折ったりすることのないよう地に足を下ろさず、雲に乗り、空を翔けています。
中国書物の中の麒麟
麒麟は孔子著「春秋」をはじめ、歴史書、辞典などに記録が残されています。
🔸漢の学者・許慎著『説文解字』には、「古くは『麟』と呼ばれた仁の神獣」とあります。
🔸明の洪武帝が制定した『大明会典』には、高い身分の者は補服に麒麟をあしらうことが決められています。
🔸漢の時代の思想書「淮南子・地形訓」には、毛犢は応龍を産み、応龍は健馬を産み、健馬は麒麟を産み、そして麒麟は庶獣を産んだ”
麒麟が応龍の孫で庶獣を生んだ祖であることが記されています。
日本でも下記のように記されています・
「背中は赤、黄、青、白、黒の五色で、腹部は茶か黄のいずれか。
声は旋律的で美しく、穏やかで繊細なので、動物であれ植物であれ命あるものは決して食べない。(中略)この獣はまた、万物組成の5元素と言われる土、火、金、水、木の精髄でもある。心優しい生物で、平和と繁栄の時代のもたらし手であり象徴である。」
『世界の怪物・神獣事典』
「中国の一角獣、麒麟はシカに似た動物で、全身を麟で覆われ、雄牛の尾をもち、額には毛の生えた角が伸びている。そしてシンボルとしては慈悲、幸運、恵み、特に子宝(男児)に恵まれることをあらわす。」
『図説世界シンボル事典』
麒麟と孔子
麒麟は教えの根本概念に「仁」を据える中国の思想家・孔子とも深い関わりがあったとされます。
麒麟は孔子が誕生する前と亡くなる前に出現。
一説では孔子の誕生前、”水精の子孫、周の衰退に関わる素王である”と記された書を持った麒麟が現れたとされます。
風水と麒麟
麒麟は道教に取り入れられ、風水においても青龍、白虎、朱雀、玄武の天之四霊と同様に天から指名を受けた神獣。
- 玄武:北方を守護する生命を司る霊亀、真武大帝となった玄冥
- 青龍:東方の霊獣神君「孟章」と呼ばれ「龍族」の始祖
- 白虎:西方の神様、邪を沈め、権勢や尊貴の象徴となる戦神
- 朱雀:南方を守護し「火」を象徴する、長生の神
風水学での麒麟の最大の特徴は運気を上げ、災いを防ぐことです。
自宅を災いから守る力は麒麟が最も強いとされ、家に飾ると、凶神を鎮め、財を成し、子宝に恵まれるとされます。
善人には守護神となり、悪人の侵入を許しません。
麒麟送子
麒麟は吉祥の象徴で仁義を兼ね備えていることから、中国各地には自身の子の育成に麒麟に参拝する風習、いわゆる”麒麟送子”が残っています。
これは徳の高い人の家には麒麟がいると信じられ、その恩恵を受けるためその家に子供を参拝させるというものです。
麒麟、現代でも聖なる獣(?)
『十二国記』の麒麟は獣の姿と人の姿の両方を持つ最高位の神獣。その国の民意が具現化した存在とされ、天帝の命として王を選び、王に仕え、運命を共にする聖獣
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『鬼灯の冷徹』の麒麟は白澤の薬局「極楽満月」によく来る瑞獣の一人。ビールも好きだけど、最近はプリン体を気にして控え気味にしている老人。
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『妖怪ウォッチ』の麒麟はポカポカ族の古典妖怪として登場。聖獣と崇められ、生命を守護する神聖な妖怪。その声には邪気をはらう効果があり妖魔界では音楽サイトでダウンロード配信されている。
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麒麟 まとめ
私は『十二国記』が大好きでした。
主に従い、寄り添い、運命を共にする聖獣。
そんな存在がいることがたまらなく羨ましいです。
ところが私はただの凡人なんで、今、私を下僕と思うインコ系悪魔に傅かされてます😭