神話の中の物語は現実社会のようなルールに縛られない分、特異なストーリーをしばしば目にします。勇者シグムンドと妹シグニューの生涯もそのひとつ。
狼も噛み殺したと伝えられるシグムンドは「竜殺しジークフリート」の父。
狼や竜も恐れない親子の血筋と、一族の名誉に命を捧げた兄妹の壮絶な生き様をご覧ください。
目次
子殺しの妹シグニューと狼人間になった兄シグムンド
シグムンド (Sigmund) とは、竜殺しの英雄シグルズ(ジークフリート)の父。
北欧の英雄伝説「ヴォルスンガ・サガ」で語られる英雄です。
シグムンドとシグニーの誕生、そしてシグニーの結婚
シグムンドとシグニーは、フーナナンドの王ヴォルスング、女戦士フリョーズの10人の子の中の最初の子、双子の兄妹として生まれました。兄妹共に際立って美しく、シグニーには予言の力、シグムンドには毒も効かない強健な肉体が与えられていました。
あるときガウトランドを支配するシゲイル王が、シグニューに求婚のために国を訪れます。シグニューが止めるものの婚約は結ばれてしまいます。
オーデーンの剣を手に入れる英雄シグムンド
結婚式の日に片目の老人に扮したオーディーンが訪れ、広間のリンゴの大樹バルンストックの木に1本の剣をつきたて 「この剣は、抜き取ったものに与えよう。その者は、これに勝る剣を一度も握ったことがないことを知るであろう」と告げます。
他の誰も抜くことが出来ないその剣をシグムンドは容易に抜き、手中に納めます。
シゲイル王が黄金を代価に交換を迫りましたが、彼はこの剣にふさわしくないと断ります。
シゲイルに惨殺される王と兄弟達、そして狼を咬み殺すシグムンド
侮辱に感じたシゲイル王は、その場は何事もなく帰国。その際非礼を詫びるためにも自国へ招待したいと申し出ます。そして自国ガウトランドへ着たヴォルスング王を殺し、シグムンドと兄弟達も捕えて毎晩ひとりずつ牝狼の餌食とします。
最後にひとり残ったジグムンドはシグニューの助力で顔に蜂蜜を塗ります。牝狼はまず蜂蜜をなめ、口の中に舌を入れた瞬間、ジグムンドに舌を噛み切られ殺されます。
我が子も殺す!兄と交わる、シグニー
窮地を脱したシグムンドはシッゲイル王に復讐を誓い、シグニューの助けで森の地下室に隠れ住みます。
シグニューはシゲイルとの間に産まれた2人の息子が自分の一族の復讐を果たせるか試みますが、彼らに見込みが無いと分かるとシグムンドに殺させ、姿をかえシグムンドとの間に息子シンフィヨトリを産みます。
人狼になるシグムンド
シグムンドと息子シンフィヨトリは森に隠れ住みますが、ある時呪われた狼の毛皮をまとったことで人狼となってしまいます。
けれど、オーディーンの使いのカラスから与えられた不思議な薬草によって助けられたと伝えられています。
復讐の果てには
シグムンドと息子シンフィヨトリ親子はシゲイルの館に忍び込み、シグニューとシゲイル王との間に生まれた二人の幼い息子を殺し、館に火をかけます。
この時、シグニーは復讐のために兄との間に息子をもうけたことや我が子を殺した罪の意識から、生き長らえることを望まずシゲイル王とともに焼死します。
ジークフリートの父となるシグムンド
復讐を果たしたシグムンドは自国に戻って王となりボルグヒルドを妃に迎えますが、息子シンフィヨトリをボルグヒルドに毒殺されたために追放。
後にエイリミ王の娘ヒョルディースの間にジークフリートと同一起源のシグルスをもうけます
やっぱり聖戦士がお似合い? シグムンド
シグムンドといえばやはり「聖闘士星矢」。アンドレア派の聖戦士、グラニルのシグムンドはアルファ星ドゥベのジークフリートの兄として登場しています。
その他現在も多くのバトルゲームで活躍中。
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スマホ対応のRPG采配バトルゲーム『ブラウンダスト』でも攻撃型傭兵の聖戦士として登場しています。
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「機巧少女は傷つかない」のシグムンドは主人公のひとりシャルロット・ブリューの先祖が退治した竜から作られたといわれる、四枚の翼を持つ鋼色ドラゴン。シャルロット・ブリューの良き理解者として登場しています。
シグムンド まとめ
神話の中の物語とはいえ、一族の名誉のために我が身を犠牲にする凄まじい兄妹の生き様に驚きです。今の世の中、一族や家名に縁の薄い生活をしているとその重みが理解できないでいるのかもしれませんが。
まあ、とにかく、格式の高い名家に生まれてこなかったことを喜ぶべきと思いました