メシアとは日本語では救世主。
ヒーローも救世主になるのかな、なんて
けっこう、気軽に使っています。
けれど、元は旧約聖書に登場する「神に祝福されし、偉大なる指導者」
具体的には誰をいうのか、これまでにメシアって現れたのか?
いろいろ疑問も湧いてきそうなメシア、「救世主」とは
目次
メシア、旧約聖書の救世主
メシアとは
メシア(Messias)救世主は、ヘブライ語でマシアフ(マシアハ מָשִׁיחַ)「油を注がれた者」を意味します。
旧約聖書では、英知と能力をもってイスラエルを治める王、あるいは大司祭。
新約聖書では、イエス‐キリストをいいます。
ギリシャ語で「ハリストス」、「キリスト」を意味するところから由来しています。
旧約聖書、出エジプト記には祭司、サムエル記には王がその就任の際に油を注がれたと記されています。
後に、油を注がれた者は、理想的な統治をする者、救済者を指す言葉となってゆきます。
旧約聖書の中でメシアの表現は、偉大なる者、ユダヤの王、ラビ(宗教的指導者)、預言者を指す表現となってゆきます
油を注ぐとは
聖書の中で油を注ぐという表現には「宗教的役割を与え、とり分ける」というニュアンスがあります。
「油を注がれる」行為は神の祝福や召しを受けることを示しています。
油を注がれる者は「選ばれし者」。
王や司祭、預言者、偉大な建造物の制作を担う建築家など、指導者は特別な役割や目的のために油を注がれました。
メシアとは誰?
ユダヤ教のメシア
ユダヤ教のメシア「救世主」は「ハマシアフ המשיח」。
ダビデやその子ソロモンの父方の血統を受け継いだユダヤの指導者をいいます。
ユダヤ教では、メシアは神の子とはみなされていません。
ダビデ王の子孫である偉大な指導者、メシア・ベン・ダビデ「ダビデの子メシア」と呼ばれています。
けれど、現代のラビ(司祭)のメシアの解釈は、どの世代にも潜在的な救世主がいるというもの。
アガダー(道徳的な・説話)を示すタルムードには次の内容が記されています。
あるラビが救世主に出会い「いつ来られるのですか」と尋ねます。
救世主は「今日です」と答え、ラビは喜びと期待で一日を過ごします。
けれど救世主は現れず、翌日、ラビは失望と困惑を感じながら何故かを尋ねます。
救世主は答えます。
「聖書には『今日、彼の声に耳を傾けるなら』と書いてある」と。
キリスト教のメシア
キリスト教のメシアは、英語でキリストとなるギリシャ語訳の「クリストス」。
キリスト教徒はナザレのイエスが救世主であると考えます。
イエスはダビデの子孫であり、ユダヤ人の王と宣言されています。
教徒は主なるイエスを「メシア」と呼び、イエスをメシアとして認めた場合の呼称がイエス・キリストであるとされます。
また、キリスト教ではイエス・キリストは神の子であると考えます。
旧約聖書にある救世主の預言の中で イエスは「使命、死、復活において成就し、イエスの再臨において救世主の時代と来世をもたらす」とされます。
イスラム教のメシア
イスラム教でもイエスはアラビア語で「マスィーフ」(masīḥ)と呼ばれ、イスラエル人に遣わされた預言者であり救世主。
クルアーンにはマスィーフ(救済者、メシア)はダビデの子孫から出現する、人々を苦難から救済し、アッラーフ(神)の支配を確立する者(=イエス)と記されています。
終末の時、神の代理人としてマフディーとともに出現し、偽りの救世主であるアル・マシフ・アド・ダッジャルを倒すとされます。
ここで挙げられている
- マフディーはムハンマド(神の言葉を人間に伝えた(クルアーン)預言者)の子孫。
- アル・マシフ・アド・ダッジャルはイスラム終末論で語られる悪の人物。 自分が欺いた者たちを集めて大軍を作る偽りの救世主。
ただし、イスラムの伝統でのイエスは神、あるいは神の子とは見なさず、預言者、あるいは、預言者に先行する神(アッラーフ)の使徒。
クルアーンでのイエスは最後から2番目のメシアとして位置づけられる、ノア、アブラハム、モーゼ、ムハンマドと共に最も重要な預言者のひとり。
ダッジャルを滅ぼした後、イエスはムスリムの主導者となると記されます。
その他のメシア
⚫️仏教では、
弥勒(マイトレーヤ)が「次に来ると約束されている「仏陀」であると考えられています。
ブッダの教えが衰退した後、弥勒は仏教の法を刷新するために現れるとされます
⚫️ゾロアスター教では、
サオシャント呼ばれる3人のメシアが語られています。
その出現によって、悪が滅ぼされ、すべてのものが神(アフラ・マズダー)と一体となるフラショケレティが訪れるとされます。
⚫️エチオピアの皇帝ハイレ・セラシエ1世は(1892年〜1975年)、ラスタファリと呼ばれるアブラハムの宗教の信奉者から救世主として信仰されています。
日本にもいたメシアを名乗った人たち
⚫️出口王仁三郎 (明治4年- 昭和23年)、
新宗教「大本」の二大教祖の一人。
キリストの再来と自称。肩書きを「教主輔」、尊称を「聖師」としています。
⚫️麻原彰晃
オウム真理教の教祖。
自分だけが世界を救済することのできる「救世主・キリスト」であると主張。
地下鉄サリン事件や拉致事件等で世間を騒がせ、2006年死刑確定、2018年7月6日刑が執行されています。
⚫️又吉イエス
日本の政治活動家、宗教家、教育者
1997年から沖縄県知事選挙、野湾市長選挙党に出馬。選挙演説などでキリストの再来と主張しています。
メシア、現代でも語られる救世主の存在
人気漫画『私の救世主さま』では異世界の「救世主」となった男子高校生・弓樹真弥が成長してゆくラブファンタジー
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『悪魔くん』では歴代の悪魔くんはそれじれメシアと呼ばれ、松下一郎、山田真吾、埋れ木真吾を総称してトリプルメシアとされています。
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『デューン・メサイア』は現在公開中の作品『デューン 砂の惑星 PART2』の基となった小説、デューン三部作の2作目の原題。
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メシア まとめ
ひねくれた見方ですが、メシアが「油を注がれた存在」なら、厳密には神の祝福を受けなければ救世主にはなれないことになります。
民の指導者でもある者がメシアなら、やはり異教の神のソーや、指導者には慣れそうにないスパイダーマンやバットマンは救世主ではないようで。。。。