サリエルは月を支配し死を司るアークエンジェル。
ミカエル、ラファエル、ガブリエルと並ぶ四大天使とまで記された大天使です。
邪視を持つためと人間に知識を与えたことで堕天使となったと伝えられています。
死の天使と称されるには心優しい天使様に思えるサリエルに注目です。
意外な一面が垣間見えるサリエルという天使様とは
目次
サリエル、堕ちたアークエンジェル
サリエル(Sariel)は「神の命令」という名の死を司る大天使(アークエンジェル)。
旧約・新約聖書共に、正典の中にはサリエルは記載されていませんが、エチオピア正教会旧約聖書エノク書によると七大天使の一人であり、神の御前に立つことが許された十二人の天使(御前天使)の一人とされます。
サリエルは神の意志を執行する、神に忠実な天使。
けれど、サリエルの持つ邪視とその使命からキリスト教徒間では彼もまた堕天使であると考えられています。
サリエル、四大天使、あるいは七大天使のひとり
古代オリンピア・アケメネス朝時代に起源をもつ四大天使の概念は、ミカエル、サリエル、ラファエル、ガブリエルの順であつたものが、後にサリエル、ラファエル、ガブリエル、ミカエルの順。
エノク書の写本においてサリエルは四大天使としての役割をウリエルとイストラエルに譲り渡しています。
これは、
ヤコブとノアの子孫を自称するユダヤの民にとって、イストラエル(イスラエル、ヤコブの別名)はウリエルに勝る最高の天使。大洪水を告げる天使にイスラエルが最もふさわしいとした。
ウリエルに関しては、エノク書に記されたウリエルの役割「タルタロスの守護」をギリシア人が重視したものと考えられます。
サリエルの使命
サリエルは「神の命令」の称号を持ち、人間の霊魂を見守る役目を果たします。
また、神の背いた天使の運命を定める役目も担いました。
人の魂を管理することから「死の天使」の称号も与えられます。
人間がその魂を汚すことを防ぐという役目から死を司る天使とされ、大鎌を持ち、死者の魂を狩ると言われるようになります。
また、神の意思に背いた天使の罪を量り、時には堕天させる決断を下します。
そうして堕天させた仲間を想い血の涙を流しているのだと言われます。
一説ではサリエルは医療に精通し、癒す者としても知られていたよう。
サリエルはその力をもってラファエルの右腕として働いていたといいます。
月を支配する神
出典:deviantart
サリエルの霊魂を導き監視する役目は月とも深い関わりを持ちます
古代人に月は霊力を持つものと認識されていました。
月は暗い夜を照らし、潮の干満を支配し、満ち欠けで日々姿を変える。
これは古代人にとって成長と衰退という全ての生物の宿命を象徹しているように捉えられます。
月の霊力によって生死は支配され、月には人間の霊魂が保管され、人が生まれるときは月から霊魂が宿り、肉体が滅びてしまうとその霊魂は月に帰っていくのだと信じられていました。
そうして月は次第に魔力と結びつきます。
サリエルは古代人、カナンの女司祭たちに月の運行と干潮との関係についての知識を授け、魔力を行使する手助けをしたとされます。
それによってサリエルは月の秘密の魔力を人間に教えた罪により堕天使に堕とされてしまいます。その時のサリエルは何も語らず、自らの意志で堕ちたと語られています。
サリエルの邪視
出典:deviantart
彼の持つ邪視(Evil-eye)(邪眼・魔眼)の能力はサリエルが堕天使に見なされる原因の一つにもなりました。
邪視とは、相手の身動き封じ、場合によっては死に至らしめるという魔力。
ヨーロッパ・オリエント文化圏において邪視は恐怖の対象であり、サリエルの加護があればこの力から逃れられるとされ、魔除けにサリエルの名の記された護符が持たれるようになったサとか。
時の教皇が邪視の対策の為に護符を発布したと言われ、サリエルの邪視の力を手に入れようとした者もいたともされます。
こうしたこともサリエルに魔術的なイメージを持たせ、堕天の原因になってゆきます。
サルエル、現代ではダークなイメージが人気
人気アニメ『七つの大罪』のサリエルは一見少年っぽい。女神族(四大天使)の一人。3000年前の聖戦編で魔神族を一網打尽にするために登場。
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ソーシャルRPG「グランブルーファンタジー」のサリエルは星の民の敵対勢力を排除する役割を担った「刑死」を司る天司。
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「はたらく魔王さま!」では猿江三月は『センタッキーフライドチキン』幡ヶ谷駅前店の店長。魔王たちの命とエミリアの持つ聖剣を狙い日本に到来しています。
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サリエル まとめ
心優しい「死を司る神」サリエル、いろんな物語に繋がりそう。
けれど、火を人間に伝えたことで永劫の責苦を受けるギリシャ神話のプロメテウス、
月の知識を人間に伝え堕天されたサリエル。
ここでも神は無慈悲な存在のように思えてしまいます。