吉祥天はヒンドゥー教のラクシュミーが仏教に取り入れられた仏名。
美・幸・富・豊穣を司る護法神(ごほうしん)。
日本でも七福神の1尊であったこともある、おなじみの仏神です。
現在の七福神の弁財天が芸術を司る神なら、比較すれば、やっぱ、吉祥を司る吉祥天に肩入れしたいところです。
で、その吉祥天って、どんな仏神?
目次
吉祥天とは
吉祥天は福徳の女神様。多くの功徳を積む仏神として別名、功徳天、宝蔵天女とも呼ばれます。
ヒンドゥー教のラクシュミー(Lakṣmī)が仏教に取り入れられた天部(デーヴァ(神))の1尊。
梵名(サンスクリット語)は吉祥を意味する「シュリー」。
かつては七福神の1尊でもありました。
父は徳叉迦(とくさか)、母は鬼子母神、夫は毘沙門天。共に毘沙門天の脇侍を務める善膩師童子(ぜんにしどうじ)が娘とされています。
妹は黒闇天(アラクシュミー)。
吉祥天はラクシュミー同様、幸・美・富・豊穣を司る神とされ、仏教聖天のひとつ「金光明経(こんこうみょうきょう)」によれば、前科に対する謝罪の念(吉祥悔過・きちじょうけか)を持つ仏神としても崇拝されます。
お釈迦様の脇侍、千手観音をお守りする二十八部衆の一員も務めます。
天部、護法神(ごほうしん)
天部とは、仏教での天界に住む者の総称。他国の神話から仏教に入った神々をさしていいます。
天部が仏教での役目は仏法を護ること。仏法および仏教徒を守護するという意味で護法神(ごほうしん)とも呼ばれます。
仏像の像容(容姿)
吉祥天は、日本では 8世紀頃(奈良時代)に到来したとされ、唐服の貴女のような立像が多く残されています。
その像容は「頭には宝冠、衣は瓔珞(ようらく)で飾り、左手は宝珠を持ち、右手は与願印と呼ばれる形をしている」と表現されます
- 「瓔珞」は古代インドの装身具。
- 「宝珠」とは「如意宝珠」。「どんな願いでも、意のままに叶える」ための道具
- 「与願印」とは仏法の手の形のひとつ。「どんな願いも聞き入れる」という意思を表しています。
家族構成
■ 夫:毘沙門天
天部の仏神。武神多聞天として表わされる四天王の一尊
■ 父:徳叉迦
徳叉迦(タクシャカ )は仏法を守護する八大竜王の一神、インド神話の蛇の王、あるいは竜神(ナーガラージャ)。
■ 母:鬼子母神
仏教を守護する天部の一尊。子供を喰う悪神が釈迦にさとされ、仏教に帰依し、仏法、子供と安産の守護神となります
■ 姉妹:黒闇天(アラクシュミー)
サンスクリット語では「カーララートリ」。インド時代の性格を受け継ぎ、容姿は醜悪で、吉祥天と常に行動を共にし、不幸や災いを司ります。密教では閻魔大王の三后の1柱とされます。
吉祥悔過会(きちじょうけかえ)
毎年正月に行われる、災禍を払い、福徳を招く祈願の法会をいいます。
「悔過」とは言わば懺悔。毎年正月に吉祥天を本尊に頂き、懺悔をすると同時に五穀豊穣や国家の安穏を祈願。この行事は今も薬師寺で行われています。
七福神と吉祥天、弁財天と吉祥天
かつては七福神の一角であったことは広く知られています。
その席を福禄寿に譲った、あるは弁天様が毘沙門天に恋をして、吉祥天が七福神の座を譲ったとも伝えられています。
弁財天はヒンドゥー教ではサラスヴァティーを起源とする仏神。芸術を司る女神様ですが、水神の側面を持ちます。
吉祥天が弁財天にその座を譲った理由については、水田による稲作によって糧を得る日本人が、弁財天の重要性を重視したところに起因しています。
吉祥天、現代でも絶対的な美女
オンライン対戦型RPG「モンスターマスターX」の吉祥天は回復魔法を得意とする妖怪。
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美少女ファンタジーカードバトルRPG「精霊ファンタジア」の吉祥天は幸福をもたらすことを得意とする萌え擬人化美少女精霊として登場します。
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吉祥天 まとめ
ラクシュミーのときにも思いましたが、美と富と幸、の全部を司ってくれる、これほどありがたい神様は、世界中を探してもいないのではないかと思います。
その上、過去の過ちも懺悔すれば許されて、どんな願いも叶えてもらえる。
これは、もう、怖いくらい文句の付け所がない。
だから、黒闇天(アラクシュミー)が付いてくる。
ん〜〜〜、なんか、やっぱ、ヘタには手を出せない、女神様、です。。。。