日本の歴史を語るなら、影の立役者としての忍者は欠かせない存在です。
実際に超能力のような忍法を駆使し、影で世の中を動かしたのか、謎に包まれたその実態については興味深いところです。
世界でも注目される日本のアサシン「忍者」、その実像に迫ります。
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目次
日本のダークヒーロー、忍者とは
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忍者とは日本の歴史の裏舞台で活躍していた集団。
主には室町時代から江戸時代にかけて領主や大名に仕え、また独立して、身を忍び、破壊工作や暗殺、敵陣諜報・偵察などを行なっていました。
一般的には、「忍者は小太刀や手裏剣のような特殊な武器と忍術という不思議な術をもって任務を遂行する刺客。超人的な忍耐力と精神力を有し、闇夜を音もなく忍び寄り、諜報活動や暗殺に従事する影の存在。侍が忠義に命を賭けるのに対し、忍者は生死をかけ任務を遂行する存在」であるイメージが定着しています。
忍者の起源
忍者の起源については、多くの説が存在します。
最古の説としては、飛鳥時代、聖徳太子が大伴細人(おおとものほそひと)という人物を「志能備(しのび)」として用いたと伝えられます。
忍法のひとつ「九字法」が、古代の山岳宗教の「修験道」に起源を持つといわれるところから、修験道の山伏、または山林の原住民族が起源であるともいわれます。
他説、忍者・忍術は、源平時代以後が発祥であるともされ、定かではありません。
忍者は大きくは伊賀と甲賀に大別されますが、かつては日本国内各地に分かれ、それぞれに集団を形成していました。「根来流」「雑賀流」「戸隠流」など、文献上にその名が残る流派は71流以上も存在しています。
忍者の使命
忍者の雇用形態や身分もその役割によって様々です。ドラマでは大名のお抱えの忍びの者であることが多い忍者ですが、一般的には領主に仕えずに戦毎に雇われる傭兵のような存在。
伊賀・甲賀のような土豪もあれば、ただのごろつき集団もある。戦いで破れた残党や悪党が忍者となっていった例も少なくありません。
戦には「足軽」として参加し、戦の中では夜討ち朝駆けといった奇襲撹乱を得意とします。
実際の活動は情報収集や諜報活動、破壊工作が主な役割。社会的には裏仕事と呼ばれる任務を果たす存在が忍者と呼ばれるようになってゆきます。
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忍者の呼び名
忍者の呼び名は数多く存在します。聖徳太子が大伴細人(おおとものほそひと)を「志能備(しのび)」と呼んだことから始まり、武田信玄は「乱派(らっぱ)」、上杉謙信は民家の軒に猿のように忍び寄って諜報活動するところをイメージした「軒猿」、豊臣秀吉陣には木陰に隠れて活動するのを意味し「木陰衆」と呼ばれます。
そのほか、江戸時代まではその呼び名は地方によって様々。
「素破(すっぱ)」・「水破(すっぱ)」・「出抜(すっぱ)」、“スッパ抜き”という俗語の語源になっています。
「竊盗(しのび)」「草(くさ)」「伺見(うかがみ)」「突破(とっぱ)」「奪口(だっこう)」「軒猿」「郷導(きょうどう)」「物見」「間士(かんし)」「聞者役(ききものやく)」「屈(かまり)」「早道の者」「細作(さいさく)」などがあります。
戦前は一般的には「忍術使い」と呼ばれていましたが、戦後は漫画家の白土三平、小説家の司馬遼太郎によって、「忍者」「忍びの者」「忍び」という呼称が出来上がります。
女忍者くノ一
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女忍者を「くノ一」といいます。これは“女”という文字を「く」「ノ」「一」と三文字にわけて表現したという説、陰陽道の房術「九一ノ道」に起源しているなどの説があります。
主な仕事は女中や小間使いに扮して諜報活動を行います。史実として武田信玄に仕えた『歩き巫女』のくノ一が有名です。
忍者の装束
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忍者の出で立ちでまずイメージするのが黒装束。
けれど普段は武士や農民、商人や修験僧など様々に変装し、活動していました。
当時の夜は灯りが乏しく、破壊工作や暗殺などを行う際の黒装束は、闇に紛れられる効果の高い扮装でした。
ただしその姿は、忍者でイメージされる黒装束に頭巾、刀を背中に抱えたというものではなく、実際の装束の色は紺や柿色で、刀は腰に帯刀していたということです。
忍者の生活
忍者の多くは辺鄙な山野で暮らしていました。日常の生活の中で地の利を用い、平地とは違う術や剣法を編み出していったものと考えられます。
それらの技能を活かし、傭兵として各流派の集団を形成し、各地の有力者に仕えました。
伊賀と甲賀はかつて「甲伊一国」とされ、ともに都に近く、それでいて険しい山々に取り囲まれた、ある種「隠れ里」のような場所で暮らしていました。
戦国時代、両地には多くの落ち武者がそこに身をひそめます。また多くの修験者(しゅげんじゃ)たちも集います。彼ら様々な人・文・物に接することで、忍者は情報を吸収し、技を磨き、祈祷(きとう)や薬物・科学など様々な知識も取得してゆきます。
忍者の活動
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文献に残る忍者の活躍は、初見として、室町時代、将軍・足利義尚の幕府軍と六角氏・甲賀・伊賀連合軍との戦いが記されています。
戦国時代には、甲斐武田の「透破」、奥州伊達の「黒脛巾組」、越後上杉の「鳶加当他」、紀州「根来衆」、相模北条の「風魔党」、出雲尼子の「鉢屋一党」、加賀本願寺の「修験」など、忍者らしき存在の記載が多く残されています。
江戸時代に入って、本能寺の変から徳川家康の脱出を助けた伊賀の忍者は、以降服部半蔵の配下として徳川家に仕えます。
8代将軍徳川吉宗は御庭番として忍者を抱え、情報収集活動に従事させています。
江戸幕府最後に確認できる忍者は、幕末にペリー艦隊に潜入して諜報活動を行ったともいわれています。
忍者、現代でも時代ものには欠かせない存在
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傑作時代劇漫画「カムイ伝(カムイ外伝)」は白土三平の代表作にして未完の大作。最下級の身分である「非人」の身の上に生まれた主人公カムイが忍者、そして「抜け忍」となって自由を求めて生きる壮大なストーリー
カムイ伝全集 カムイ外伝(1) (BIG COMICS SPECIAL) [ 白土 三平 ]
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山田風太郎の小説『甲賀忍法帖』を原作としたアニメ「バジリスク〜甲賀忍法帖〜」。
共に服部半蔵に率いられる甲賀と伊賀は長く敵対し、そんな中、甲賀の首領の孫弦之介と伊賀の頭目孫娘朧は愛し合うようになります。忍者の実態が垣間見れる人気作品。
バジリスク〜甲賀忍法帖〜1巻【電子書籍】[ せがわまさき ]
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人気アニメ「銀魂」に登場する主な忍者は
- 服部全蔵(服部半蔵)摩利支天(まりしてん)の異名をもつ服部一族の次期族長。
- 地雷亜(児雷也)元は『蜘蛛手の地雷亜』の異名で恐れられた凄腕の忍。吉原自警団"百華"の初代頭領
- 百地乱破(百地三太夫)傀儡術を極め、付き添いのメイドになりすます、車椅子に乗る全身が包帯姿の女性
などなど。
忍者 まとめ
忍者という存在は、ジェームス・ボンドやイーサン・ハントのような人物が戦国時代の日本にいたとイメージするとすんなり受け入れられます。
煙とともに姿を消せる忍法も、当時の科学を駆使すれば楽勝だったろうし、イーサン・ハンドはどんな鉄壁の防御も掻いくぐることができる凄腕。
黒装束なコスチュームもインパクトがあります。
「忍者(ニンジャ)」が実在したヒーローとして人気キャラになることに納得です。