ヒルコ神はNarutoや妖怪ハンターではお馴染みの悪役キャラですが、元はイザナミ、イザナギの間に生まれた神。
アマテラスやスサノオの兄弟神にあたります。
不具の子として生まれ、そのために海に流され捨てられるという生い立ちを持ち、そしてなんと一説には恵比寿神になったというサクセスストーリーの持ち主でもあります。
目次
ヒルコ(水蛭子・蛭子)神 不具の子
ヒルコの生い立ち
ヒルコ(水蛭子・蛭子)はイザナギ(伊耶那岐命)・イザナミの(伊耶那美命)の間に生まれました。
🔳「古事記」では
二柱の最初に生まれた神。
「水蛭子」としているところから、水蛭のように手足が異形であったのではないかと推測されています。
🔳「日本書紀」では
アマテラス(天照大神)・ツクヨミ(月詠命)の次に生まれる神。スサノオ(素戔嗚)の兄になります。
女神であるイザナミから先に男神のイザナギに声をかけた事が原因で、不具の子として生まれています。
葦の舟に入れられオノゴロ島から流され、アハシマ(淡島神)と共に二神の子の数には入れないと記されています。
まずアハシマ、次に蛭児(ヒルコ)が生まれます。けれど蛭児(ヒルコ)が三歳になっても脚が立たなかったため、天磐櫲樟船(アメノイワクスフネ)に乗せて流されたと記されています。
ヒルコ(水蛭子・蛭子)神の謎
ヒルコ神の正体については謎に包まれ、出自に関しても文献によって様々な説があり、今なお多くの専門家の調査対象となっています。
名前についてもヒルのような容姿であるためという説と、日の子(太陽の御子)を意味とする説があります。
物部神道の『旧事記』には、妹に当たる天照大神の別名大日孁貴神(おおひるめのむちのかみ)・大日霊女貴尊(おおひるめむちのみこと)のひるめを「日の女」と解釈。
ヒルコは大日霊子貴尊(おおひるこむちのみこと)、ひるこ=「日の子」(太陽の男子)
ヒルメという太陽女神に対する、男性の太陽神としてヒルコ神が描かれたといわれています。
書物での記録として捨てられた後のヒルコの話については残ってはいませんが、流された蛭子神が流れ着いたという伝説は日本各地に残っています。
西宮神社に伝わる伝説によると、流されたヒルコは摂津国西の浦(兵庫県西宮)にたどり着き、地元の民が「夷三郎(えびすさぶろう)」と呼んで育て、のちに戎大神(えびすおおかみ)として祀られるようになったとされています。
また、西宮の漁師が御神像を釣り上げたというお話も残されています。
漁師はこれを持ちかえり大切にお祀りします。
ある晩、御神像が漁師の夢に現れ「吾は蛭児。ここより西の地に宮を建て吾を祀れ」と告げます
西宮神社の源流となる神社はこうして創建されたと伝えられています。
恵比寿神になった(?)ヒルコ(水蛭子、蛭子)神
ヒルコの別称には蛭子神、蛭子命(ひるこのみこと)、恵比寿、恵比須、戎大神(えびすおおかみ)、西宮大神(にしのみやおおかみ)などがあります。
ヒルコと恵比寿のつながりは、
- ヒルコ神(蛭子神)は神話の中で、海に流されており、海からやってきた恵比寿神と符号する
- エビスは漢字で「蛭子」と書く場合もあって、これは「ヒルコ」とも読める
日本沿岸の地域では、漂着物を神聖なモノ・神だと考え、えびす神(漁業の神)として信仰するところも多く、ヒルコとえびす(恵比寿・戎)を同一視するようになったといわれます。
ヒルコはこうして蛭子神として海と漁業の神、恵比寿神として商業や農業も司る神。
神徳として、大漁祈願、航海の安全、交易、商売繁盛などが授けられると敬われます。
ヒルコ(水蛭子、蛭子) やっぱり敵キャラ登場が主流?
1991年制作、塚本晋也監督映画「ヒルコ/妖怪ハンター」では『遊星からの物体X』をモデルとした怪物として登場。
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「naruto」ではかつて忍びだったが、サソリに敗れ傀儡となってしまった、「暁」のサソリの人傀儡。
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ヒルコ(水蛭子、蛭子) まとめ
今の時代のヒルコはかなり残念な存在にイメージされています。けれど、もし不具の子として生まれ、それでも恵比寿様になったとするなら、これってスゴイと思います。
障害があるとはいえ、親に捨てられることの不幸を自分の中で消化して笑っていられる。まさに対照的な存在にまで成れたのだとしたら、これは賞賛に値します。
これぞ、まさに神業。そんな神の与えたもうご利益にはぜひあやかりたいです。