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歴史上、秦の始皇帝、メソポタミア神話の英雄・ギルガメッシュなど、実際に不老不死を求めた人物は多く存在します。
それだけ、人は永遠の命を望むもの?
今回は、そんな不老不死にまつわる日本の民話をご紹介します。
人魚の肉を食べたら、不老不死の身体になってしまった八百比丘尼とは、
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目次
八百比丘尼 不老不死になった長者の娘
八百比丘尼(やおびくに)は、。人魚の肉を食べたことで不老不死になったと伝えられる伝説上の比丘尼(仏門に入った女子修行者、尼僧)
800歳まで生きた後に入定 (仏教で煩悩を捨て去り、無我の境地に入ること) したといわれています。
八百比丘尼の伝説は北海道と九州の一部を除く全国、121ヶ所、その数は166に及びます。
その姿は生涯17~18歳の様に若々しく、椿の花を愛し、八百比丘尼を象徴する花として今も言い伝えられています。
八百比丘尼伝説
出典:Wikipedia
不思議な生き物の肉を食べた娘
飛鳥時代、若狭 (現在の福井県) の漁村に住んでいるお金持ちの長者は、村に住み着いていた見知らぬ男から夕食に招かれます。
長者が男の家に行くと、なんとそこは大豪邸。
圧倒されつつも家の中に入った長者ですが、食堂に通される前、偶然台所で料理人が調理しているところ見てしまいます。まな板の上には人魚のような不思議な生き物がおり、実際にご馳走として、その生き物を調理した肉料理が出てきました。
気味悪がった長者は「お土産として持ち帰りたい」と言って難を逃れ、肉を家に持って帰ります。
肉から香るおいしそうな匂いに、長者の娘は彼の目を盗んで、肉を食べてしまいました。
不老不死になった娘は
それ以降、娘は若返ったように美しくなり、まったく老いることがなくなりました。
娘は、地元の若者と結婚しましたが、死に別れます。別の男と再婚、再々婚しますが、娘は不老不死になったため、いつも夫に先立たれてしまいました。
絶望した娘は出家し、尼となって全国をめぐりました。椿が好きだった彼女は各地に植え、自分が訪れた証を残したといいます。
800歳になったとき、若狭に戻ってきた娘は洞窟にこもり、入定しました。
彼女が入定したという洞窟は、小浜市の空印寺と伝わっており、今でも洞窟は残っています。
ちなみに、八百比丘尼は洞窟に入る前に植えた椿を指差し、「この椿が枯れたら、私が死んだと思ってください」と言ったそうです。
そして、その椿は、今でも美しく咲き誇っているとのこと。
なぜ、不老不死になった?
人魚の肉を食べて不老不死になった八百比丘尼ですが、「なんで人魚の肉を食べて不老不死に?」という疑問が残りますよね。
八百比丘尼伝説にはいくつかのバリエーションがあり、見知らぬ男の屋敷が竜宮城や異界にあるパターンがあります。その場合、出される食事はこの世のものでないのです。
ギリシャ神話のペルセポネの冥府下り話 (冥府の食べ物を食べたため、地上に帰れなくなった)、日本神話のイザナミの黄泉戸喫 (ヨモツヘグイ) 話 (イザナギが死んだイザナミを黄泉の国から救い出そうとするが、イザナミは黄泉の国の食べ物を食べていたため、地上に帰れなくなった) など、世界中に「異界の食べ物を食べると、戻れなくなる」という話が伝わっています。
八百比丘尼は、人魚という異界の食べ物を食べたため、自らも異界の存在になってしまったのではないでしょうか。
八百比丘尼、今も不可思議な存在としておなじみ
本格幻想RPG「陰陽師」の八百比丘尼は、運命の人を鳳凰林で長い間待ち続けている、人魚の肉を食べ不老不死となってしまった名高い占い師。
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2017年に木村拓哉さん主演で実写映画化もされた、漫画『無限の住人』では、主人公を不老不死にした人物として登場します。ヒロインに主人公を紹介したのも八百比丘尼で、物語の元凶として描かれています。
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手塚治虫の漫画『火の鳥 異形編』では、男装した主人公の父親の病気を治す存在として出ています。父親を嫌う主人公は、八百比丘尼を殺そうとするのですが……?
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八百比丘尼 まとめ
出典:Wikipedia
不老不死は人類の永遠の憧れですが、夫や身内に先立たれたり、決してよいことばかりではありませんよね。
けれど、歴史に名を残すような英雄や巨万の富を築いた富豪など、人生の勝ち組は最後には永遠の命を望む様になるのかもしれません。
これまでの人生が思いのままに進んできた人間にとってはここで老いて死んでゆくのは納得できないのかも。
けれど、3Dプリンターで臓器が作れるようになれば、人間の寿命ももしかしたら変わるのかも。
これからの未来が加速して変わってゆくのだとしたら、怖いような、楽しみなような。。。
話がそれてしまいました、すみません。