美人薄命、歴史上の美女は若くして亡くなっている人が多いといわれます。
美しいが故に、政治の道具にされたり、夫から狂った感情を向けられたり……。
今回は、日本の歴史上、美女と名高い、静御前・細川ガラシャ・お市の方をご紹介。
運命という大きな渦に巻き込まれた3人の物語とは
静御前・細川ガラシャ・お市の方、美女の定めは過酷すぎ!?
静御前
静御前は鎌倉時代の歴史書『吾妻鏡』や『平家物語』、室町時代の書物『義経記』(創作)に記されています。けれど確かな生没年はわかっていません。
平安時代末期、京都府丹後で出生。
歌を唄いながら芸をする、白拍子の磯禅師の娘として生まれました。
『義経記』によると、後白河法皇の時代、日照りが続き、法皇は100人の僧に読経、容顔美麗な白拍子99人に舞を披露させます。
けれど効験がなく、最後に静御前が舞い、その瞬間黒雲が現れ、3日の間雨が降り続いたとされます。その後、大阪住吉での雨乞いに義経に見染められ寵愛を受けることになります。
源平合戦の後、兄・源頼朝から疎まれていた義経は九州へ逃れることを計画し、静御前も同行。
けれど義経一行が乗っていた船が嵐にあい、沖へ戻ることになります。
静御前は義経と京都の吉野山で別れ、京へ向かう途中、頼朝の追手に捕らわれて鎌倉に送られます。
その時の静御前は、義経の子供を妊娠していました。
頼朝に白拍子として踊ることを命じられますが、静御前は義経を慕う歌を唄い、頼朝を激怒させてしまいます。
静御前は、
「吉野山 峰の白雪 ふみわけて 入りにし人の 跡ぞ恋しき」(吉野山の峰の白雪を踏み分けて行ってしまった人が恋しい)
と唄います。
その時、頼朝の妻の北条政子が「私が御前の立場であっても、あの様に謡うでしょう」と取り成し、静御前を助けたと伝えられています。
義経の子を身篭る静御前に、頼朝は「女子なら助けるが、男子なら殺す」と告げ、静は男子をを出産。赤子は現在の鎌倉市由比ヶ浜に沈められます。
その後静御前と母・磯禅師は京に帰され、その後の消息は不明。
静御前の死については諸々の伝承がありますが、はっきりしたものはありません。
いずれにせよ若くして逝去したとする説が多く残されています
細川ガラシャ
永禄6年(1563年越前国で、明智光秀と妻・煕子の間の三女として誕生。
名は、明智 玉(子)あるいは明智 珠(子)
天正6年(1578年)父・光秀の主君・織田信長のとりなしで細川忠興に嫁ぎます。
けれど、天正10年(1582年)、父の光秀が本能寺の変で織田信長を討ち、その後の山崎の戦い後に没したため、「謀叛人の娘」となり、夫から幽閉されることになります。
幽閉生活の中でキリスト教に興味をもち、豊臣秀吉がバテレン追放令を出したこともあり、自宅でひそかに洗礼を受けます。
慶長5年1600年、徳川家康を怒らせた上杉景勝を征伐するため、夫・忠興が会津へ向かいます。
その際、忠興は「もし妻の名誉に危険が生じたなら、まず妻を殺し、全員切腹すべし」と家臣たちに命じます
豊臣側の石田光成は、機会を狙い、まずガラシャを人質にとろうとしますがガラシャはそれを拒否。
石田光成は兵に屋敷を囲ませます。
家臣たちがガラシャに全てを伝えると、ガラシャはまず屋敷内の親族・侍女を逃します。
その後、家老の小笠原秀清(少斎)がガラシャを介錯(自殺はキリスト教で禁じられているため)。
小笠原秀清はガラシャの遺体が残らぬように屋敷に火を放ち、自刃しています。
お市の方
お市の方は聡明で戦国一と賞される美女。
名は「市姫」、織田家系譜には「秀子」とも記されています。
織田信長の13歳離れた妹。通説では、父織田信秀の五女と伝えられています。
織田信長の妹として生まれたお市の方は、政略結婚によって永禄10年(1567年)浅井長政に輿入れ。
浅井長政との間に3人の娘をもうけます。
後に
- 長女・茶々は、秀吉の側室となり、秀吉の三男で跡継ぎとなった豊臣秀頼を出産。
- 次女・初は、京極高次に嫁ぎ、徳川と豊臣の和睦に尽くしています。
- 三女・江は、2代将軍・徳川秀忠に嫁ぎ、3代将軍となる家光を生みます。
元亀元年(1570年)、信長が浅井家と縁の深い朝倉義景を攻めたため、浅井家と織田家の友好関係は断絶、戦となり、長政の敗北に終わります。
天正元年(1573年)に浅井家の小谷城が陥落し、長政とその父は自害。
お市の方は3人の娘茶々・初・江(江与)と共に織田家に帰ります。
信長の死後、天正10年(1582年)、柴田勝家と羽柴秀吉が会合、織田家の後継問題が討議された清洲会議で承諾を得て、お市の方は柴田勝家との再婚が決まります。
婚儀は信長が討たれた本能寺の変の4か月後に行われています。
けれど、翌年の天正11年(1583年)、勝家は羽柴秀吉と対立。
賤ヶ岳の戦いで敗れ、お市の方は夫・勝家と共に自害しています。享年37歳。
美女の描き方もいろいろ
歴史上名高い美女ということで、日本史をテーマにしたゲーム・アニメなどに高頻度で出ています。
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ソーシャルゲーム「クリスタルオブリユニオン」の静御前は見た目に合わない凛とした態度で周囲を導く多くの才能に愛された英雄少女。
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「戦国無双」シリーズの細川ガラシャでは、ゴスロリをまとった少女。幼さが残る容姿に似合わず、古めかしい姫様言葉で喋る美少女。西洋のドレスを意識した衣装は史実でキリシタンだったことに由来している。天真爛漫な性格で旺盛な好奇心の持ち主点)
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「戦国BASARA」のお市の方は、「これも市のせい……」が口癖の悲劇的な女性。若干不幸に酔っているようで、相対した武将達からは冷たく当たられる事も多いとか。
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静御前・細川ガラシャ・お市の方 まとめ
女性なら誰しもキレイになりたいと思うかもしれませんが、それが過酷な人生になるとしたら、貴方ならそれでも美女でいる人生を選びますか?
美女に生まれ運命に翻弄されるか、平凡で幸せな人生に満足するか。
どちらにしても、最終的には本人の気持ちの持ち方のような気もしますが。。。。