ドラクエ世代にとってはメジャーなキメラはギリシャ神話では由緒正しい血統の怪物キマイラ。
怪鳥になったり、ハエ人間、獅子になったり、今やいろいろに変化するキマイラのルーツを辿ります。
なるほどと納得するキマイラのその正体とは
目次
キマイラ、獅子の頭と毒蛇の尻尾を持つ怪物
キメラ 英語(Chimera)、ラテン語ではキマエラ(Chimaera)」、フランス語でシメール(Chimère)。
最強の怪獣神テューポーンと怪物たちの母で半人半蛇の怪物エキドナの子。兄弟にはケルベロスやヒュドラなど、ギリシャ神話の有名な怪物たちが名を連ねます。
獅子の頭と山羊の胴体、毒蛇の尻尾を持つ(それぞれの頭を持つとする説もある)怪物。
口から火炎を吐く強靭な肉体の、なんと雌。
ペガソスに乗る英雄ベレロポーンに倒されます。
** キマイラの外見 **
出典: Wikipedia
キマイラ(キメラ)はギリシア語で「牡山羊」を意味する怪物。
獅子の頭、山羊の身体、蛇の尻尾を持つ、複数の獣が組み合わされた複合生命体。
竜の頭や人間の顔を持つなど、その姿はいくつもの説が伝えられています
ホメロスは、著書「イリアス」の中で、キマイラを「神族に属する」「前がライオン、後ろが蛇、中間は山羊」の「奇妙な動物」と記しています。
ヘシオドスの『神統記』では、兄で双頭の犬オルトロスとの近親相姦で人間の頭部と獅子の体を持つスフィンクスとネメアの獅子を出産。この中でのキマイラは水蛇の怪物ヒュドラの子、雌山羊・獅子・大蛇(もしくはドラゴン)の頭を持つとされています
** キマイラのルーツ **
太古、キマイラはヒッタイトの神話に登場する季節を表す聖獣として崇められていました。
あるいは、活火山として有名だった西トルコのリュキア火山(キマエラ火山)を動物化したもの。
その風貌も、山中に棲む動物3種、頂上のライオン、中腹の山羊、ふもとの蛇を組み合わせたもの。または、獅子は春、山羊は夏、蛇は冬の三季を表すと伝えられています。
他説、ギリシャ語で「ケイマ(cheima)という冬の寒気を怪物に見立てたという説も今に伝えられています。
神話の中のキマイラ
ギリシア神話の中のキマイラは、リュキア地方を荒らす怪物。
そのために、天馬ペガサスに騎乗する英雄ベレロフォンによって倒されます。
ベレロフォンは屈強な怪物と戦うための一計を案じます。
槍の先に鉛の塊を取り付け、ペガサスに乗り、空中から急降下。
そして、まさに火を吐く瞬間の怪物の口に、その鉛を差し込みます。
キマイラは炎を噴射し、その熱で鉛の塊が口の中で溶けて口腔を塞ぎ、怪物は窒息死。
ベレロフォンは強敵キマイラの討伐を成し遂げます。
宗教上、あるいは象徴としてのキメラ
キマイラは、見た目の恐ろしさや獰猛さから、「淫欲」や「悪魔」を象徴するものとして、中世のキリスト教の説話に登場するようになります。
雌であるためか、不可解な容姿を女性の性格と結びつけてのことか、その時代、売春婦や女性そのものを「キマイラ」と呼ぶこともあったようです。
また、獅子の頭を「恋愛で生まれる強い衝動」、山羊の胴体を「速やかな恋の成就」
、蛇の尻尾を「失望や悔恨」をそれぞれ表すとされる恋愛の象徴。
獅子と山羊と蛇という不自然な組み合わせの複合体であるところから「不可解な夢や幻影」を表すこともあります。
フランスの画家ギュスターヴ・モローは「キマイラ」というタイトルの幾つかの作品の中で、翼を持ったケンタウロス(ケンタウロスに翼はありません)や、不可思議な怪物を描いています。
生物学上のキメラ
キメラは生物学上では、「異質なものの合成」の意味。
1916 年にH. Winkler がトマトとイヌホオズキで作り出した接木体をキメラと呼んで以来、生物学上の術語となります。
複数の生物が組み合わさった合成生物を称するものとして使われ、「キメラ細胞」「キメラ生物」などの用語が生まれています。
有名なキメラの例として、山羊と羊を掛け合わせた「ギープ」、ライオンとヒョウの「レオポン」などがあります
キメラ、様々に変貌する合成生物
出典;d-quest-10
「ドラクエ」に登場するキメラは鳥と蛇が合体したザコモンスター
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「バイオハザード」では、人間とハエの遺伝子を組み合わせた合成生物がキメラと呼ばれています
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同じカプコンの「ドラゴンズドグマ」やスクウェアエニックスの「ファイナルファンタジーシリーズ」では、ギリシャ神話に沿ったキメラがボスモンスターとして登場します。
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「ダンジョンズ&ドラゴンズ」のキマイラは3つの頭と宝物を見逃さぬドラゴンの目を持つ、凶暴な肉食獣
キメラ まとめ
今更ですが、生物学上のキメラが複数の遺伝子の集合体を意味すると改めて認識しました。
そういえば、バイオハザードやその他の幾つのもの作品の中で確かに「キメラ細胞」なるものを聞いた憶えがあります。
ひとつ、賢くなりました(苦笑)