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エッダとサガ、北欧の神話や英雄の物語です。
映画やゲームでは聴き慣れてはいるけれど、どういうモノなのかはっきりしないという方も多いのでは?
そこで、あらためて、エッダとサガの内容やそれぞれの特徴を探ります。
なぜロマンシングなの? そんな謎にも納得の答えが見つかるかも。
目次
北欧神話(ゲルマン神話)のエッダ、ヴァイキングの物語サガ
エッダとサガ、共に北欧に伝わる神話と伝承。
エッダには北欧の神々の物語、サガにはアイスランドやノルウエーに伝わる歴代王やヴァイキングの歴史が綴られています。
「エッダ」ゲルマン神話を伝える詩篇
北欧神話の主神・死と戦いを司るオーディン、北欧神話最強の闘神・雷神トール、巨人族でひねくれ者のロキら神々と竜殺しのシグルスやヘルギなどの英雄たちが様々な物語を彩ります。
エッダには「新エッダ(韻文エッダ)」と「古エッダ(散文エッダ)」があります。
古エッダ(韻文のエッダ)
古エッダは北欧神話について語られた写本。おおよそ8世紀から13世紀の間につくられた、作者未詳、約30〜40篇から成る散文や叙事詩の作品集です。
北欧の世界の創世からラグナログにいたる神々やシグルズら英雄の物語。
神話詩と英雄詩に大別されます。
代表的な神話詩
◾️『巫女の予言』 巫女ヴォルヴァが世界の創造からラグナログ、世界の再生までを予言
◾️『高き者の言葉』(ハヴァマール) オージンの訓話、女性遍歴、ルーン文字にまつわる話などが綴られています
◾️『ロキの口論』 バルドルの死後、海の神エーギルの館で催された宴で、ロキが神々を告発
英雄詩
◾️「ヒョルヴァルズルの息子ヘルギの歌」 英雄ヘルギの物語
◾️『シグルドリーヴァの言葉』や『シグルズの歌 断片』 「ジークフリード」のモデルとなった英雄シグルスの物語
などが綴られています。
新エッダ(散文のエッダ)
13世紀アイスランドの詩人スノッリ・ストゥルルソンが神話を編纂した歌謡や神話集。スノッリのエッダとも呼ばれます。
◾️序文 スノッリの神話観。
◾️『ギュルヴィたぶらかし』魔術王ギュルヴィが姿を変え、アースガルズで神々から伝承や予言を受ける内容。天地や人間の創造、北欧の世界ユグドラシルや神々の出来事、ラグナロクまでが語られています。オーディンを主神とするアース神族の物語、フェンリル捕縛、フレイの結婚、ヴァルハラ、トールとロキの旅、バルドルの死、ロキの捕縛など。
◾️『詩人の言葉』 詩の神ブラギがエーギル神に詩の技法を説明。
◾️『韻律一覧』スノッリがノルウェー王ホーコン4世とスクーリ公の偉業を讃えて贈った詩102聯(れん)。
「サガ」初期中世ヨーロッパを伝承
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サーガ、サガ(saga)とは、古アイスランド語のsegja(言う)に由来。英語のsayとドイツ語のsagenから派生した「語られたもの、物語」を意味します。
12-13世紀に発達した、アイスランド人のサガ文学(散文作品群)の総称で、百数十編が現存しています。
「エッダ」はゲルマン民族の神話を扱っていますが、「サガ」はノルウエーやアイスランドの歴代王やバイキングの歴史、人々の生活や信仰を伝承しています。
その構成は、大きく「王のサガ」「宗教・学問のサガ」「アイスランド人のサガ」「古代・伝説のサガ」に分かれます。
️王のサガ
9-13世紀のノルウェー王家の歴史を語っています。
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主な作品は
- 『ヘイムスクリングラ』 歴代ノルウェー王、初代統一王ハーラル美髪王〜マグヌス5世までのの生涯を描いた16編
- 『ヨームのヴァイキングのサガ』 バルト海のバイキング集団の物語 他
️宗教・学問のサガ
アイスランドの聖職者を扱った”歴史記録”
️アイスランド人のサガ
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- 『エギルのサガ』詩人でヴァイキングの勇者エギルとその一族の物語
- 『エイルの人々のサガ』エイルの首長たちの数世代に渡る抗争を描く
- 『ニャールのサガ』賢人ニャールと戦士グンナルとの友情と死を描く
- 『グレティルのサガ』アイスランドを追放された男の生涯
- 『ラックサー谷の人々のサガ』
の5大作品の他に、『赤毛のエイリークのサガ』『ストゥルルンガ・サガ』他、などが収められています。
️古代・伝説のサガ
『ヴォルスンガ・サガ』(ニーベルンゲン伝説)など、ノルド人の伝承やゲルマン民族の伝説を扱っています
現代のエッダとサガ
エッダ
エッダの代表的な古典作品はワーグナーの戯曲「ニーべルングの指輪」
現代ではゲームや映画の題材として数多く取り入れられています。
マーベルの「マイティー・ソー」
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ゲームの世界では「バルハラクロニクル」
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「進撃の巨人」などがお馴染みです。
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サガ
今、サガをイメージするのはやはりゲームの世界。
スクウェア・エニックスのRPG.「ロマンシング サ・ガ」「サガ フロンティア」「アンリミテッド:サガ」などのシリーズをイメージします。
で、サガ(サ・ガSa・Ga)シリーズが中世の神話「サガ」と関連があるかといえば、実は単なる「語呂合わせ」であるとか。中世の物語「サガ」とは別物なのだそうです。
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映画「トワイライト・サーガ」の意味するサガとは「壮大なファンタジー」を意味していると捉えるのが正解?
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NHK放送アニメ「ヴィンランド・サガ」は『アイスランド人のサガ』の中、『赤毛のエイリークのサガ』の内容をもとに描かれています。ちなみに主人公トルフィンのモデルとされるのは初めてグリーンランドに入植した赤毛のエイリークの子供ソルフィン・カルルセフニ
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エッダとサガ まとめ
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「ヴィンランド・サガ」や『ヴァイキング〜海の覇者たち〜』など、最近、ヴァイキングをテーマにしたアニメやドラマをよく観ます。
イカツイヴァイキングたちは皆、信心深く、エインヘリャル(勇者の魂)となってヴァルハラに迎えられる栄誉ある死を誇りにしています。
北欧に限らず、かつては神々が今よりずっと身近な存在であったのだろうと思い知らされます。
科学が発達し、信仰も薄らいで、不思議の存在が軽視されてゆく現代、神々からみれば、さぞ今の人間たちはバチあたりな生活をおくっていると思われることでしょう。
いつか、その報いが来るのでしょうか? もしかして今来ているのかも。。。