突然ですが、トトロもムーミンも同じトロールだったってご存知ですか?
そういえば、ズングリムックリでいかにもトロそうで人の良さそうなところが似ているようにも思います。
なのに、最近ではトロールハンターなる映画に出演のトロールはかなり怖い。
かと思えば、雪アナのトロールは小さくて丸っこい。
今回は作品ごとに変貌するトロールについてその実態を探ってみたいと思います。
トロールの思いがけない新事実に辿り着くか?
トロール(トロル)、北欧に伝わる妖精
トロール(troll)は北欧に伝わる妖精の一種。ノルド語の「Troll」は怪物や妖精を意味します。
北欧諸国に存在し、様々に語り継がれています。
トロル、トロルド、トロールド、トラウ、トゥローなどと呼ばれ、ちょっと怖い妖精のことをいい、各国それぞれ独自のトロールがイメージされてきました。
トロールの外見
出典:deviantart
一般的に民話の中のトロールは巨人をイメージされますが、伝承によってその姿形は様々。
「毛むくじゃらの巨人」や、「小柄な老人」、時には「赤毛の美人」であることもあります。
ほとんど人間と同じ様な外見を持っている者から、角が生えていたり、“一つ目”の巨人の場合もあります。
体型も太って腹が突き出たものや、逆に筋骨隆々で引き締まった肉体を持つもの、痩せて骨と血管が浮き出たような体型の場合もあります。
一般的なトロールについてのイメージとしては
- 身長2m~5m
- 毛むくじゃら
- 怪力
- 再生能力がある
- 変身能力がある
- 醜い
- 知識レベルが低い
- 凶暴・大雑把
- 指が4本
- 大きく長い鼻
などが挙げられます
トロルの特徴
出典:deviantart
トロールは日の光に当たると石になってしまうため、日没から日の出までしか活動できません。
「丘の民(Haugfolk)」とも呼ばれ、丘や塚、岩山、洞窟などの孤立した場所に小さな家族単位で暮らしています
鉱石や宝石を集めるのを好み、地下には金銀財宝を蓄えているといいます。
その他
- ライムギパンを食べると死ぬ
- 十字架には触れられない
- 人間を食べる
- 人間の子供を攫い、「取り替え子」を行う
の特徴があると伝えられています。
また、古代北欧諸国では魔術は「トロッルの審判」と呼ばれ、トロールは姿を自由に変える魔法が使える、変身能力があるとも伝えられています。
トロールは霧の巨人ヨトゥン族、あるいはヴァン親族グッルヴェイグの末裔とされ、女性のトロール「トロールコナ」は魔力を操る能力を持つと伝えられています。
それぞれの国に伝わるトロール
ノルウェーのトロール(トロル)
スウェーデンやノルウェーでは bjergfolk(丘に住む人々)と呼ばれており、人里離れた場所で集団で生活し、女のトロールは美しく長い赤毛をしていると伝えられています。
ノルウェーのトロールは「性悪で毛深いオーグル」ではあるものの、非常に気まぐれで、気に入った家には「富と幸運を授ける」けれど、気に入らなければ「破壊と不運を与える」のだとか。
太陽に照らされると彼らは石に変わってしまうため、活動時間は夕暮れから夜明けまでの間に限られています。
女子供の誘拐や財宝を盗むなどの被害を与えますが、魔法や薬草で怪我をした人間の手当てをすることもあるとか。
ノルウェーでは日常生活でモノが無くなった時にはトロールのいたずらと呼ばれ、トロールは身近に存在する妖精として日常生活に入り込んでいます。
デンマークのトロール(トロル)
出典:deviantart
デンマークのエブレトフトという地域に伝わるトロール(Trold)は「背中にこぶのある、大きな鉤鼻のオーグル(人食い巨人)。、
灰色の上着と先のとがった赤い帽子、長くて白いあご髭を生やし、赤いとんがり帽子をかぶっている老人の姿をしています。
サンタクロースに似た姿ですが、この地方においてはサンタクロースもトロールの家系という考えが主流です。
そして、サンタクロースも子供を脅かしたり怖がらせて楽しむ、ちょっといたずら好きの存在というふうに語り継がれています。
イヌイットに伝わる伝承でのトロールも邪悪な巨人。
夜な夜な徘徊しては人を襲い人肉を食らいます。
現在もこの地方の人々にはトロールは『人食い巨人』として恐れられる存在であり、人々の生活の身近に潜んで時折いたずらをする妖精というふたつのイメージが混在しているといわれています。
その他、
背が高く黒く長い服を着ている、
スコーブ・トロルデ(木のトロール)は「ヒキガエル」の姿をしている、
ベルクフォルク、ビュルク・トロルデと呼ばれる小さなトロールの存在も伝えられています。
アイスランドのトロール(トロル)
出典:deviantart
アイスランドのトロールは「性悪なひとつ目の巨人」。3人で一つの目玉を共有し、順番に使いまわします。アイスランドではクリスマスに街に降りてくる13人の妖精たちが最も有名なトロール。
クリスマス前の毎夜、一人ずつ降りてきて全員が揃ったらクリスマスのお祝いです。
それぞれが「焦げた鍋の底をさらう」「窓から覗き見をする」「肉を盗む」などの名前を持つユニークな妖精たち。
クリスマスの日には良い子にはプレゼントを配り、悪い子はどこかへ連れ去ってしまうという重要な役割を果たしています。
スウェーデンのトロール(トロル)
スウェーデンのトロールはベルグフォルク(丘の人々)と呼ばれ、丘陵地、長塚、土墳などの下に共同体を作り暮らしています。
女子供をさらい、財宝を盗む妖精。
彼らの住処には財宝がいっぱいです。騒音や教会の鐘の音を嫌い、気に入った人間には富と幸運を、気に入らないものには不運と破壊をもたらします。
日の光に当たると石に変わるため、夕暮れ時から明け方までを活動時間とします。
スウェーデンでは彼らにさらわれないために、人も動物もヤドリギの枝を身に付けなければなりません。
フィンランドのトロール(トロル)
出典:deviantart
フィンランドでのトロールは悪魔のような存在。
池にすむ邪悪なシェートロールとして恐れられ、霧が出たり嵐が来るとトロールが池から出てきて人を溺れさせるといいます。
通常は神秘的な石の力によって閉じ込められていますが、霧が出たり嵐になると、石の魔力が弱まるために出没するため人々は外出を控えます。
フィンランド生まれのムーミンは、それまでのトロールのイメージを一掃するために作られたのかもしれません。
ファンタジーの中のトロール(トロル)
雪アナ
『アナと雪の女王』に出てくるトロールは、普段は岩に擬態し、クリストフと家族のような間柄の小人族。小さくて丸っこい生物。しかも「恋愛のスペシャリスト」という設定です。
指輪物語
「ロード・オブ・ザ・リング」「ホビットの冒険」シリーズの中のトロールはその他大勢の雑魚キャラ。
トトロ
『となりのトトロ』はスタジオジブリ制作1988年公開の長編アニメ。昭和30年代の日本にトトロが登場します。
ドラクエ
トロールキング、ボストロール、ダークトロール、トロルボンバーなど、ドラクエには頻繁に登場する中堅クラスの敵キャラです。
ムーミン
原書では「ムーミントロール」と表記されています。作者のヤンソン自身は「トロールと言う名前の別の妖精」であると語っているとか
ハリー・ポッター
ハリーポッターに登場するトビー。残念ながら「ハリー・ポッターと死の秘宝」で殺されてしまいます。
その他、インターネット・トロル
インターネット上の掲示板やブログのコメント欄などに、ネガティブな書き込みを繰り返す行為や人物を「インターネット・トロル」といいます。
また、周囲の迷惑を顧みない人物を「トロル」と呼ぶ事もあるとか。
巨人にもなる戦士にもなるトロール(トロル)
2010年にノルウェーで制作されたモキュメンタリー映画『トロールハンター』では巨大なトロールの動きや細かな描写がリアル感を持って描かれています。
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『ダンジョンズ&ドラゴンズ』では筋骨たくましいクリーチャー。
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1988年作品『ウィロー(Willow)』でのトロールはティル・アズレンの遺跡に住む毛皮で覆われた猿のような生き物
世界の怪物・神獣事典普及版 (シリーズ・ファンタジー百科) [ キャロル・ローズ ]
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トロール(トロル)まとめ
トロールは日本でいう「鬼」や「天狗」のように畏敬の念を持って接するべき何者かなのかもしれません。
ムーミンやトトロも実は妖精だった、うん、納得です。