ファンタジーではおなじみの武器、ブリューナク。
ですが、「元ネタが何なのか?」と問われると首をかしげてしまう方も多いのでは。
ブリューナクは、実はケルト神話の太陽神・ルーの持ち物。ダーナ神族の四神器といわれるほどに伝説的な武器。
今回はブリューナクと太陽神ルーについてご紹介します。
ブリューナ、ケルトの秘宝と太陽神ルー
光の神ルーはトゥアハ・デ・ダナーン(ダーナ神族)のひとり。工芸・武術・医術・魔術などの全般に優れ、サウィルダーナハ「百芸に通じた」という意味の別名を持ちます。
ルーは医術の神ディアン・ケヒトの孫であり、フォモール族の「邪眼のバロール」の孫、
英雄クー・フーリンの父としても知られています。
ルーはブリューナクを所持していたため、「長腕のルー」という二つ名がありました。
ブリューナクを使った有名なエピソードが、マグ・トゥレドの戦いで祖父・バロルを殺害し、アイルランドに平和をもたらしたというもの。
巨人族の王・バロルは、「いつか自分の孫に殺される」という予言を受け、娘・エスリンを塔に幽閉して誰とも会わせないようにしていました。
しかし、ダーナ神族のキアンという神が塔に忍びこみ、エスリンを妊娠させます。生まれた子どもはバロルによって海に投げこまれたものの、末子のルーは生き残り、海神のマナナン・マクリルに育てられました。
一方、ダーナ神族は戦いで腕を失った王・ヌアザに代わり、ブレスという男が王になっていました。ブレスは暴政を敷き、人々を苦しめますが、回復したヌアザが再び王となったことで、追放されます。
王に返り咲こうと、巨人族の父を頼り、バロルを後ろ盾にしたブレスはダーナ神族に戦いを挑みました。この時、ダーナ神族に味方したルーは、見るだけで相手を殺す魔眼を持つバロルの眼をブリューナクで射抜き、見事勝利しました。
ブリューナク、ケルトの秘宝
ブリューナクとは、ケルト神話に登場する太陽神・ルーの所持する魔槍です。
穂が5つに分かれており、5つの切っ先から放たれる光は一度に5人も倒したと言われます。
「貫くもの」という意味で、「持つと必ず勝利する」意思を持つ血に飢えた槍。投げると稲妻となり、敵を焼き殺すなどの能力があると伝えられています。
ブリューナクはルーが所属する神々の一族であるダーナ神族の四神器のひとつ。アイルランドの北方にあるゴリアスという都市で守られていました。
ダーナ神族がアイルランドに上陸した際、ルーにもたらされたといいます。ちなみに、他の3つの神器は真の王を決める運命の石であるリア・ファル、戦神・ヌアザの剣、ダーナ神族の最高神で豊穣をつかさどるダグザの大釜です。
ブリューナクの名は日本産?
ちなみに、「ブリューナク」という名前ですが、これは日本人が創作したものだといわれています。
ケルトの当時の文献には、単に「ルーの槍」としか書かれておらず、固有名詞はありません。日本でブリューナクの名前が最初に出たのは、1990年に出版された『虚空の神々』という世界の神々を紹介したガイドブックです。
それ以降、「聖剣伝説」「ファンタシースターオンライン」などのゲームがこの名前を採用し、ルーの槍として広まりました。
名前だけでなく、槍の先端が5つに分かれているなどの形状に関しても日本独自で、ルーが持つ他の武器と混同された結果だといわれています。
槍だけじゃない、巨大兵器にまでなるブリューナク
さまざまな世界と種族が登場するRPG「サガフロンティア」では、武器として登場。遣い手の意思に反応して敵を貫き、手元に戻ってくる性質を持っています。ゲーム内ではレア中のレアアイテムです。
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「ファイナルファンタジー零式」では、巨大な魔導アーマーとして登場。一撃で一国を沈めるほどの強力兵器です。この兵器を倒さなければ、プレイヤーは先に進むことが出来ず、難解な敵の兵器として扱われています。
その他、ファイナルファンタジーシリーズには度々登場。FF14では竜騎士の武器、アラガントームストーン禁書と交換できるウェザード・ブリューナクと、それを強化することで手に入るブリューナクがあります。
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聖剣伝説 シリーズ3ではリースの武器。リースはローラント国王女で、ローラントの女性兵士部隊「アマゾネス」の隊長を務めます
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ブリューナク まとめ
まさか、ブリューナクが日本発祥だなんて驚きですよね!
そう考えると、海外で「ルーの槍」という意味でのブリューナクは通じないのでしょうか。
いくら日本の後付設定とはいえ、それはそれで悲しいものがありますね……