純愛でまずイメージするのは「ロミオとジュリエット」。シェークスピアの代表作です。
けれど、そのモデルともなった、切なく胸打つ有名な物語があるのをご存知ですか?
「トリスタンとイゾルデ」。
トリスタンとは後のアーサー王の円卓の騎士、イゾルデはトリスタンが仕える王の妃となります。
許されないふたりの想いは叶わぬままに終わってしまうのでしょうか?
目次
トリスタンとイゾルデ、愛してはいけない人を愛してしまった、切なく悲しい物語
『トリスタンとイゾルデ』または『トリスタン物語』は、後に円卓の騎士となったトリスタン(Tristan)と、当時トリスタンが仕えた主君マルク王の妃となったイゾルデ(Isolde)の悲恋。
中世の宮廷詩人たちによって広く語り伝えられました。
英語では『トリストラム(Tristram)とイスールト(Iseult)』、フランス語『トリスタンとイズー』
起源はケルト地方の説話、12世紀、韻文の物語としてまとめられ、13世紀に「散文のトリスタン」としてアーサー王物語に組み込まれています。
あらすじ
トリスタンは、リオネスのメリオダス王と王妃ブランシュフルールの子として生まれます。けれど王は他の女性を愛するようになり、王妃は我が子を「悲しみの子」という意味のトリスタンと呼ぶようになります。
成長したトリスタンは叔父マルク王に仕え、文武に優れた憐れみ深い騎士として広く知られてゆきます。
■マルク王の結婚
マルク王は未婚で、跡継ぎになる子の誕生が急がれていました。
ある日、頭上を飛んでいた燕から一本の女性の髪の毛がマルク王の手元に落ちます。
マルク王はこの髪の毛の持ち主を妻にしたいと思うようになります。
トリスタンはかつてアイルランドの騎士モルオルトと決闘し、剣に塗られた毒で重傷をおった時に王女イゾルデに助けられた経緯があります。
そしてその髪がアイルランドの王女イゾルデのものであると気付いたトリスタンは、王女イゾルデをコーンウォールに連れて帰ると宣言し、旅立ちます。
■トロスタンとイゾルデの出会い
その頃アイルランドは龍の襲撃に困り、王は龍を退治したものに王女を与えると御触れを出していました。
トリスタンは龍を退治し、イゾルデを勝ち取り、これまでの旅の経緯を王に説明し、王マルクとイゾルデの結婚の許しを求め、王はこれを了承しました。
コーンウォールに帰る船で、トリスタンと金髪のイゾルデはお互いに愛し合っていることを確信、密かに逢瀬を重ねるようになってしまいます。
■悲しい別れ
それでもマルク王とイゾルデの婚儀は行われ、3人はそれぞれに主従の関係と夫婦としての信頼関係を保ちます。けれどマルク王はついにトリスタンとイゾルデの不貞に気づき、処罰を与えることを決意します。
トリスタンは処刑から逃れ、イゾルデを救出。二人は森へ隠れ、マルク王に発見されるまでの日々をそこで過ごします。けれど、トリスタンはイゾルデをマルク王に返し、自身はコーンウォールを去るという条件で王と和解を決断。
トリスタンはブルターニュへ赴き円卓の騎士として功名をあげるようになります。
そしてそこで美しく先の恋人と同じ名前を持つ、ブルターニュ王の娘、白き手のイゾルデと結婚。けれど白き手のイゾルデとは契りを結ぶことはなかったと伝えられています。
■ふたりの最期
ブルターニュが戦禍に合い、トリスタンは瀕死の重傷を負います。
最期の時を感じたトリスタンは使者にイゾルデから貰った金の指輪を託し「一目会いたい」と告げます。会えずして息を引き取った後にイゾルデは到着、悲しみのあまりイゾルデもトリスタンの後を追うように死んでしまいます
名作になった トリスタンとイゾルデ
ワーグナー戯曲「トリスタンとイゾルデ」
1857年〜1859年、リヒャルト・ワーグナー作曲の楽劇。3幕の構成。
- 第一幕「アイルランドからコンウォールに渡る船の中」
- 第二幕「コンウォールのマルク王の城」
- 第三幕「ブルターニュのトリスタンの城」
3つの舞台の中で、究極の愛の賛美が演じられます。以降何世代にも渡って様々な分野の芸術家に多大な影響を及ぼす作品として知られています。
『悲恋』、1943年公開。トリスタンとイゾルデ伝説をもとに、巨匠ジャン・コクトーがストーリーと台詞を書いた悲恋。監督ジャン・ドラノワ、主演ジャン・マレー
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出典:blogs.yahoo
2006年公開、ケビン・レイノルズ監督作品「トリスタンとイゾルデ」。
主演のトリスタンにジェームズ・フランコ(スパイダーマンシリーズ)、イゾルデはソフィア・マイルズ(サンダーバード)。サブタイトルは「あの日に誓う物語」。まさに純愛、悲恋の王道です。
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トリスタンとイゾルデ まとめ
「ロミオとジュリエット」が若いふたりの3日間の激情を描いた物語なら「トリスタンとイゾルデ」は叶わぬ想いを秘めた切ないふたりの物語。
間違いなく泣けるお話です。