梅雨入り目前のこの季節、穏やかな気候が続き、新芽の成長の変化が楽しめる季節。
バラや芍薬、あやめなどの花々が咲き誇ります。
こんな気候の休日には、近くの公園に咲く花を愛でる、心の余裕も持ちたいもの。
畦道に咲く野花も鮮やか、まだまだ山菜採りのシーズンでもあります。
目次
「小満」
「小満(しょうまん)」は二十四節気の8番目。気候も安定し、吹く風も心地よく、秋に植えた麦が穂をつけます。野山の植物や花々も眩い季節です。
現在の定気法では太陽黄経が60度のとき。
2024年の小満は、5月20日(月)、および芒種(6月5日の前日)までの期間をいいます。
「小満(しょうまん)」とは、秋にまいた麦の種などがちょうど穂をつける頃、穂のついた麦を見て少し満足するということの意味で「小満」。あるいは芽生えた小さな草木が満ちる季節であることを意味しているともいわれています。
『暦便覧』にはこの季節を指して「万物盈満(えいまん)すれば草木枝葉繁る」という記述があります。盈満(えいまん)とは「満ち溢れること」の意味。
「万物が満ち溢れ、草木に枝葉が茂る」季節であると言い表しています。
西日本では、走り梅雨がみられる頃。田植えの準備を始める頃でもあります
「走り梅雨」は、または「梅雨の走り」、梅雨に入る前の雨をいいます。この後晴れた日が続き、その後、本格的な梅雨に入ります。
梅雨
梅雨は雨季の一種。梅雨の時期が始まることを梅雨入りや入梅(にゅうばい)といいます。
その範囲は台湾・中国・朝鮮半島・東アジアを含みますが、北海道はその範囲から外れるため北海道には梅雨はありません。
** 梅雨の名の由来は **
諸説あります
- 中国では梅の実が熟す頃が雨期にあたることから「潰ゆ(つゆ)」が「梅」の字を使うようになった
- この時期の雨は木々に露がつくところから「露(つゆ)」が「梅雨(つゆ)」
- この時期は湿度が高くカビが生えやすいことから「黴雨(ばいう カビの雨)」、同じ音の「梅雨」となった
- この時期は「毎」日のように雨が降るから「梅」という字が当てられた
など
** 梅雨の別名 **
- 梅の実のなる頃の長雨「梅霖(ばいりん)」
- 旧暦の5月頃に降る雨「五月雨(さみだれ)」、
- 麦の実る頃である「麦雨(ばくう)」
ちなみに、5月に晴れる日をいう「五月晴れ(さつきばれ)」、本来は梅雨の晴れ間のことをいいます。
小満の頃の七十二候
初候(5月21日頃〜5月25日頃) 蚕起食桑(かいこ おこって くわを くらう) ― 蚕が桑を盛んに食べ始める
かつては「おかいこさま」と呼ばれるほど珍重され、日本でも盛んに養蚕が行われていました
次候(5月26日頃〜5月30日頃) 紅花栄(こうか さかう)―紅花が盛んに咲く
鮮やかな紅色の花は染料として、加工して紅花油として今も食卓に並びます。
末候(5月31日頃〜6月4日頃) 麦秋至(ばくしゅう いたる) ― 麦が熟し麦秋となる
穂が熟すこの頃に吹く風は麦嵐、降る雨は麦雨と呼ばれます。
「二十四節気」とは
二十四節気は、一年を春・夏・秋・冬の季節に分け、それぞれをさらに6分割した24の期間に名前をつけたものです。現在でも季節の節目を示す言葉として使われています。
二十四節気の名称は、中国で考案された当時のものがほぼそのまま使われています。考案当時の文明の中心であった黄河の中・下流域の気候を反映しており、日本よりも寒冷で大陸的な気候のため、日本の気候とは多少ずれがあります。
太陽黄経が30の倍数であるもの(春分・穀雨など)を中(中気)、そうでないもの(清明・立夏など)を節(正節、節気)と言い、節気から次の節気の前日までの間を一ヶ月とする月の区切り方を節切り、その月を節月と言います。季語の分類も主として節切りで行われています。
夏至・冬至の二至、春分・秋分の二分を併せて二至二分といい、立春・立夏・立秋・立冬を四立、二至二分と四立を併せて八節と言います。二十四節気をさらに約5日づつの3つに分けた、七十二候という分類もあります。
小満の頃の行事
** 山菜採り **
今の季節は山菜取りにも最適なころ
- うどー4月頃から
- ふきのとう・ぜんまいー3月〜5月
- うるい・セリ・たらの芽―4月中旬位から
- わらび…4月〜7月(5月に入った頃がピーク)
- みょうがの芽…5月〜6月
** 小満の頃に咲く花 **
「小満」は様々な花々が咲き誇る季節。
- バラ バラは店頭では一年を通して楽しめる最も愛される花ですが、本来の開花期は春と秋。
- ツツジ この時期、庭先や街頭には満開のツツジが咲き誇ります。
- カーネーション 5月の母の日には欠かせないカーネーションも開花期は5月。それぞれに意味のある色とりどりの美しい花を咲かせます。
- 芍薬 日本美人をたとえる言葉に「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」といわれます。日本美人に例えられる程に美しい芍薬も今が旬。
- 藤 日本古来、いにしえの古式豊かな雅を堪能する藤棚も、この頃満開の花を咲かせています。
小満まとめ
「小満」の頃には「梅雨入り」の声も聞かれるようになってきます。
それまでのわずかな残りの春を充分に吸収しておきたいものです。
小雨の降る街頭も風情を楽しめるとはいうものの、自然に親しめる残りわずかな猶予。