キリスト教の七つの大罪「嫉妬」を代表する悪魔・レヴィアタン。
英語表記であるリバ(ヴァ)イアサンは、ピューリタン革命を生きたイギリスの思想家・ホップズの著作名としても有名です。
「学校の歴史の授業で聞いたことがある!」という方も多いのでは?
今回は、そんな海中の悪魔・レヴィアタンをご紹介。
そのスケールの大きさに驚愕、恐怖の終末の時のリヴァイアサンは
目次
リヴァイアサン(レヴィアタン)とは
リヴァイアサン(レヴィアタン)は、『ヨブ記』『詩編』『イザヤ書』などの旧約聖書に登場する海蛇のような怪物。「ねじれた」「渦を巻いた」というヘブライ語が語源。
時代が進むにつれ、悪魔としてとらえられるようになりました。
聖書の中のリヴァイアサン(レヴィアタン)、海の怪物
リヴァイアサンはユダヤ教の神話にでてくる「とぐろを巻いたもの」を意味する巨大な蛇。
終末の時、 この蛇の珍味な肉が振舞われるといいます。
「旧約聖書」の中でのリヴァイアサンは天地創造の5日目、神はベヒモスと2頭1対として造ります、そして、リヴァイアサンが海、ベヒモスが陸をつかさどる、すべての生物の頂点に立たせました。
当初、神はリヴァイアサンのつがいを作ります。けれど、雌雄いたのでは繁殖し、危険であると判断。メスのみを生かし、不死身とします。
ベヒモスをオス、リヴァイアサンをメスとしたとも考えられています。
リヴァイアサンは恐怖を感じることがありません。
「奢り高ぶるもの全てを見下し、誇り高い獣すべての上に君臨している」存在。
「最後の審判」の日には人々を滅ぼす存在となります。
その後、神に殺され、ベヒモスととも生き残った人々に食料として与えられる運命です。
最終的に食料となるかわり、終末の日が来るまでは、最強の存在となっているのです。
『ヨブ記』41節によれば、あらゆる攻撃をはね返す強固な鱗を持ち、眼から光を、口からは炎を放つと伝えられています。
心臓は石のように堅く、槍でも突き刺すことはできません。性格は凶暴で冷酷無情。
大きさは、巨大すぎて、泳ぐだけで海が荒れ狂うといいます。
リヴァイアサン(レヴィアタン)、七つの大罪「嫉妬」を司る悪魔
出典:prcm.
リヴァイアサンは大蛇というイメージから、次第にアダムとイブを堕落させた蛇と同一視されるようになりなります。
そして、中世以降、教会によって神に敵対する、地獄に追放された存在。地獄の支配者の一員となります。
中世ヨーロッパでのリヴァイアサンは「高慢なる者の王」という称号を持つ、悪魔の9階級において、サタン・ベルゼブブに次ぐ第3位の地位を持つ強大な魔神。
嫉妬は動物で表されると「蛇」となるところから、大蛇であるリヴァイアサンは七つの大罪の「嫉妬」を司る悪魔となります。
元のリヴァイアサンが何物の攻撃も受け付けない強固な鱗に覆われているところから、悪魔としてのレヴィアタンも、どんな悪魔祓いも通用しない魔神。
人に(特に女性に)取り憑く、大嘘つきであると伝えられています。
リヴァイアサン(レヴィアタン)の起源
リヴァイアサンは、他の神話から語り継がれた怪物です。
シリアのカナン地方で誕生したウガリット神話においては、死神モートの使い魔「リタン(ロタン)」。7つの頭を持つ海のドラゴンとして描かれています。
バアル神とモート神の戦いを描いた『バアルとアナト』の中で、シャリートあるいはリタン(ロタン)という怪物として登場。
7つの頭を持つ凄まじい怪力のドラゴンでしたが、バアル神に倒されます。
このウガリット神話がユダヤへ伝わり、シャリートが『旧約聖書』のレヴィアタンになったと推測されています。
ユダヤ教では海の化け物のことをさすようになり、カバ、大魚、サメ、ワニなどの姿をしていたといわれます。
他説、メソポタミア神話の女神・ティアマト、イスラエル人の信仰する蛇神ネフシュタンに由来するとも考えられています。
トマス・ホッブズの『リヴァイアサン』とは
歴史の授業でも紹介される、英国哲学者のトマス・ホッブズの1651年に発行された政治哲学書に『リヴァイアサン』という題名のものがあります。
これは、国家(コモンウェルス)を「大怪物」としてのレヴィアタン(リヴァイアサン)になぞらえたもの。
ホッブスは、怪物リヴァイアサンに「強い国家」の姿を重ね、社会や宗教、国家に対する主義・主張をまとめています。
創作物でも怖れられ? リヴァイアサン(レヴィアタン)
大塚英志の漫画『リヴァイアサン』では、主人公が5人分の死体をつないで造られたレヴィアタン(リバイアサン)という設定。終末の東京を舞台に、主人公たちの戦いを描きます。
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スマホアプリ「アークオーダー」のリバイアサンは特性「嫉妬の心」で仲間とともにバフを盛りながら戦う戦法が得意な、魔攻が高めのアタッカー。
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『ファイナルファンタジー』シリーズでは、召喚獣として登場。巨大な海のドラゴンの形態をしています。
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リヴァイアサン(レヴィアタン まとめ
悪魔のレヴィアタンも最終的には、食べられちゃうというのがなんとも。
けれど、刃物で切れない鱗や、堅い心臓なんて、どうやって調理するんでしょうか。火であぶる?
あまり、美味しそうには思えません。。。