ガブリエルは数多くの天使の中に立つミカエルに次ぐ大天使。聖母マリアにイエスの懐妊を告げ、モーゼの十戒の制作を助け、預言者マホメットにコーランを口述する神の代弁者。
高潔な女性の姿で描かれることも多いガブリエルに注目です。
最高位の大天使、ガブリエルのこれまでの功績とは。
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目次
ガブリエル、神の左に座する大天使
ガブリエルはユダヤ教、キリスト教、イスラム教において最も偉大な天使のひとり。神の言葉を伝えるという役割を担います。
大天使長ミカエルの次席、『神の左に座す者』。生まれ変わる魂を導き、子宮の中で育まれる胎児を守護します。
ユダヤ教においては『ダニエル書』の中で、預言者ダニエルの幻の中に現れ、幻の意味を諭します。
ユダヤでは主人の左の位置を占めるのは女性であるため、『神の左に座す』天使ガブリエルは多くの場合女性の姿で描かれています。
ガブリエルは「神の代弁者」といわれるように、多くの場で神の言葉を告げています。
受胎告知(じゅたいこくち)
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受胎告知は新約聖書に記された聖告(せいこく)。生神女福音(しょうしんじょふくいん)ともいいます。
ガブリエルが、処女マリアが聖霊によってキリストを妊娠したことを告げます。そして、それをマリアが受け入れる出来事が記されています。
受胎告知の時、ガブリエルは手に純潔を表わす白いユリを持っていたと伝えられおり、多くの絵画で百合を持つガブリエルの姿が描かれています。
ちなみに、3月25日はカトリック教区では、現在も聖母マリアの受胎告知の記念日とされていています。
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ガブリエルはまた、キリストの洗礼を行った祭司ザカリアの前にも現れ、洗礼者ヨハネの誕生を告げています。ヨハネ誕生の後にも現れ、ヨハネに神の言葉を伝える役割を担っていたのもガブリエルであったと伝えられています。
最後の審判のときにはラッパを鳴らし、死者を甦らせるという使命を果たす天使でもあります。
モーゼの守護
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ユダヤの伝承『タルムード』において、ガブリエルはヤコブの11番目の息子、太祖ヨセフに道を示しています。ヨセフは兄たちの妬みを受け、エジプトで奴隷として売られながらも、宰相となってエジプトを飢饉から救ったと伝えられています。
またモーセの死後その遺体を運んだのもガブリエルであるとされています。
『タルムード』の中の『アガーダ』に記された伝説では、モーセは地上で後一日しか生きられないと告げられ、十三巻の文書を一気に書き上げることになります。そのため、神は太陽の動きを遅め、日が沈むまでに書き終えられるよう救いの手を差し伸べます。
十戒を書き終えたモーセのもとにガブリエルが現われ、その文書を天界へ届けます。
ガブリエルは死の床にあるモーセを慰め、その遺体にはミカエルが紫色の布をかけたと伝えられています。
エデンの園の統治
17世紀の叙事詩、ジョン・ミルトンの「失楽園」ではガブリエルはエデンの園の統治者と記されています。
ガブリエルの目を逃れ、サタンは蛇に化身し、イヴに禁断の果実を食べるように誘惑します。
サタンの誘惑に負けたアダムとイヴの所業に神は怒り、ガブリエルやその他の天使たちはみな天界に帰り、ここから人間の苦悩が生まれます。
マホメットに聖典の口述
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イスラム教に残る伝説では、ガブリエルは預言者ムハマドの前に現れ、神の言葉としてイスラム教の聖典「コーラン」を口述し、ムハマドに筆記させたとされています。
アラビア語でガブリエルはジブリールと呼ばれます。
イスラム教に登場するジブリールは大きな緑色の翼を持つ天使。その顔には「アラーの他に神なし、ムハマドは神の預言者である」という言葉が刻まれていたと伝えられています。
ロボット、戦士、ボスキャラにもなる、変幻自在なガブリエル
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「女神転生シリーズ」のガブリエル、「真・女神転生」では金色の鎧を着た天使、『真・女神転生II』で両手に剣と百合を持ち、他の天使とともに四大天使としての登場です。
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対戦型格闘ゲームシリーズ「ギルティギア」では士官ポチョムキンの上司、ツェップの大統領、純粋な人類一番の実力者となって登場です。
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ゴシックホラーアクションゲームの原点といえる「悪魔城ドラキュラ」では「キャッスルヴァニア ロードオブシャドウ」シリーズで、神に仕え、悪を滅ぼすという使命を掲げる燈光教団の戦士の一人ガブリエル・ベルモンドとして登場です
ガブリエル まとめ
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聖母マリアの受胎告知やモーセへの使者、コーランの口述など、人々に神のお告げを与えるガブリエル。人間にとって誠にありがたい天使様です。
百合を持つ女性として描かれることも多い、慈愛の天使というイメージを持ちます。
けれど、最後の審判においてはラッパを吹き、死者を蘇らせるという怖いような使命を持つ天使でもあるガブリエル。
やはり、ただ、優しいだけの存在ではなさそうです。