「かぐや姫」の意外にも思えるような一面、「竹取物語」に隠れた側面、イメージとは違うように思える物語の裏側に触れてみたいと思います。
ジブリ映画の記憶もまだ新しい「かぐや姫」。「かぐや姫」でイメージするのが、美しすぎることが女性にとってそんなに‘徳’になる訳ではないようにみえるところ。
決して美談とは言い難い「かぐや姫」の物語、罪深いのは誰?
目次
罪深いのはだ〜れ?「竹取物語」にみるストーリーの結末
「竹取物語」は平安時代初期、9世紀後半から10世紀前半頃に成立したとされる、日本最古の物語です。詳しい成立年、作者は不明。
「かな」で書かれた初期の物語の一つです。
現在語りつがれている「竹取物語」のあらすじ
「昔、竹を取ることを生業にしていた竹取の翁(おきな)とその妻がいました。
ある日、光り輝く竹を見つけ近づいてみると、竹の中に三寸(9cm)ほどの女の子がいます。そこで、夫婦はその娘を自分たちの子供として育てることにしました。
娘が居た竹の中からは毎日、金を見つけることができて夫婦は豊かになってゆきます。
そして、娘はみるみる育ち、3ヶ月ほどでこの世の者とは思えないほどの美しい成人の女性となりました。そこで盛大に成人式の祝宴を催し、名を「やよ竹のかぐや姫」としました。
絶世の美女の悲哀
姫の噂を耳にした世の男達は姫の姿を一目見たさに翁の邸の前をうろつき、邸内に侵入する者もおりました。
(そのことから、求婚することを「よばひ」と言うようになったといわれています)
姫は特に強く求婚を望んだ5人に「もしこれを手に入れられたならお仕えいたします」という課題を託しました。
- 石作皇子(いしづくりのみこ)には「仏の御石の鉢」、
- 庫持皇子(くらもちのみこ)には「蓬莱の玉の枝」、
- 右大臣阿倍御主人(あべのみうし)には「火鼠(ひねずみ)の裘(かわごろも)」、
- 大納言大伴御行(おおとものりみゆき)には「龍の首の珠」、
- 中納言石上麻呂(いそかみのまろ)には「燕の子安貝」。
どれも手に入れるのは不可能と思える珍しい貴重な宝物です。他の4人は偽物を差し出しましたが、中のひとり石上麻呂は道中の事故が原因で死んでしまいます。
姫の噂は帝にも伝わり、帝は翁に「姫を仕わせれば官位を与える」との約束を交わします。翁は喜び、取りなそうとしますが、「無理にお仕えさせるなら消えてなくなります」と強く姫に拒まれてしまいます。
そこで帝は企み、狩にゆくという口実で邸を訪れ、無理矢理に姫との対面を果たします。強引に連れ帰ろうとすると、姫はついに姿(実体)を影(光)に変えてしまいました。
連れ帰れない存在であることを悟った帝はそれ以降、3年の歳月を和歌を取り交わすことで思いをつないでいました。
月に帰るかぐや姫
8月の満月が近づく頃、姫は翁に自分は月の都人で近く月に帰れなければならないことを告げます。
老夫婦はそれを激しく拒みますが、大空から人が雲に乗って舞い降りその中の王と思われる人が「さあ、かぐや姫、穢れた地上にこれ以上長居する必要はありませんよ」と言うと、締め切っていた戸や格子が即座に開きます。
翁はそれをただ泣き伏して見るばかり。それを見かねたかぐや姫は翁に不老不死の薬と天の羽衣の入った箱を贈りました。
翁の痛ましさに心を痛めるかぐや姫に天人は天の羽衣を着せます。
というのも天の羽衣はこれを着た人は物思いがなくなってしまうというもの。かぐや姫は憂いも消えて月に帰ってゆきました。
かぐや姫は帝にも不老不死の薬と和歌を送ります。帝は深く悲しみ、「姫に会うことのできない悲しみの続くわが身に不老不死は必要ない」と嘆き、不老不死の薬を一番天に近い山の山頂で焼いてしまうように使いのものに命じます。
そしてその山を「ふじの山」と名付けます。
鬼か天女か、「竹取物語」の「かぐや姫」
「かぐや姫」を語るならやはり2013年公開高畑勲監督スタジオジブリ制作「かぐや姫の物語」。 制作費50億円、8年の歳月を費やした巨編。これまでのジブリ映画同様、映画ファンならずとも外したくない感動作です。
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「GOD WARS 日本神話大戦」では、アマテラスやスサノウ達、日本神話にはお馴染みのキャラクターと共に活躍します。
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「NARUTO」では「兎の女神」または「鬼」として恐れられていた大筒木かぐや。
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年配の方にとってはやはり「愛染かぐや」。「スーパーゼウス」と同じく、今もプレミアムのつくコレクターには貴重なアイテムとなっています。
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「竹取物語」「かぐや姫」まとめ
出典:deviantart
死人まで出してしまったかぐや姫の求婚者への課題が「罪深い」とみる視点もあります。けれど筆者個人としては、竹取物語にあるのは「無理矢理にでも思いを遂げたい」という業の深さと、それを持つ人間の住まう地上を「穢れた所」と言い切る天の王の一言が印象に残ります。
そして、かぐや姫はこれまでの記憶もなく天に帰ってしまう結末も意外です。
罪深いのはだ〜れ? やっぱり「カインの末裔」の私たち人間?
これはやっぱり、戒めの物語のように思えます。