五月人形として金太郎に並ぶ人気の桃太郎。
桃から生まれて鬼を成敗したお話は日本男児の誉れ。
一説にはそのモデルとなった人物が実在し、そのお話もいろいろな形で全国に今も語り継がれているとか。
そこで、今回はそんな桃太郎に注目です。
目次
桃太郎、その伝承と変遷
桃太郎は江戸時代から語り継がれる日本五大お伽話のひとつです。
ちなみに五大お伽話とは「はなさか爺さん」「舌きりすずめ」「さるかに合戦」「かちかち山」「桃太郎」の五話。
けれど、桃太郎のお話についてはそのモデルとなった人物が「日本書紀」に記されています。
桃太郎のモデルと物語の背景
桃太郎は七代天皇・孝霊天皇(こうれいてんのう)の寵児、吉備津彦命(きびつひこのみこと)がモデルであると言われています。
吉備津彦命は神武天皇(じんむてんのう)の頃に、吉備国の民を苦しめた温羅(おんら うら)を討伐した伝説の人物。
吉備津彦命は
『日本書紀』に記されている崇神天皇の時代の四道将軍のひとり
家来のイヌ・サル・キジは
犬飼健(いぬかいたける イヌ)・ 楽々森彦(ささもりひこ サル)・留玉臣(とめたまおみ キジ)の3人の家来。
鬼ヶ島の鬼は
百済(朝鮮半島)の王子、温羅。日本の吉備国(岡山県)に渡来。
逆らうものを釜茹でにするなどの悪行を重ね、『吉備冠者』と恐れられていました。
この温羅が拠点とした城は霊峰・鬼城山にあり、民に「鬼の城」と呼ばれ恐れられていました。現在でも鬼城山には鬼ノ城の石垣や土塁が残されています。
温羅討伐
吉備津彦命は現在の『吉備津神社』付近の「吉備の中山」に石楯を築き、陣を張ります。
これが現在の『楯築遺跡』、今も吉備の中山には『中山茶白山古墳』も残されています。
激しい死闘が続き、ついに温羅は吉備津彦命の軍門に降ります。
吉備津彦命は温羅の首をはね、串し刺しにしてこれを晒します。
岡山県総社市には『血吸川』『鯉喰神社』など現在もこの死闘に由縁する名が点在。
また吉備津宮の御釜殿は温羅の霊を祀るものとされ、 霊を『丑寅みさき』と呼び、現在も『吉備津宮の釜鳴神事』として祀られています。
その後
吉備津彦命は吉備国を統率し、281歳まで生きたといわれます。
ちなみに鬼から奪った財宝は
江戸期の文学では、打ち出の小槌、隠れ蓑、隠れ笠、延命袋、金銀、などと記されていたということです。
桃太郎、物語のあらすじ
昔々、ある所におじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
ある日、川上からどんぶらこ、どんぶらこと、大きな桃が流れてきました。
その桃を家に持ち帰り切ろうとすると、桃からなんと赤ん坊が出てきました。
その子は桃から生まれたので桃太郎と名づけられ、あっと言う間に大きくなりました。
ある日桃太郎は「鬼ケ島に悪い鬼が住んでいると聞きました。私が行って退治しましょう」と言いました。
そこでおばあさんはおいしいきび団子を作り桃太郎に持たせます。
桃太郎は鬼ケ島に向けて旅立ちます。
途中、桃太郎は犬に会いました。
「桃太郎さん腰に付けたきび団子、一つください、お伴します」犬は家来になりました。
次に猿がやってきました。
「桃太郎さんきび団子一つください、お伴します」猿も家来になりました。
次に雉が飛んできました。
「桃太郎さん腰のきび団子、ひとつください、お伴します」雉も家来になりました。
鬼ケ島に着くと門前に大きな鬼が立っていました。
まず桃太郎が大きな石を鬼に向かって投げました。猿は城の門に登り鍵を開けました。雉は鬼の目をつつきました。門番の鬼は逃げてゆきました。
城では鬼達の大将が現れ「生意気な小僧。俺様が懲らしめてやる」と鉄棒を振り回し言いました。
桃太郎は鉄棒の上に飛び乗り、鬼の顔面にこぶしをくらわせます。
「アイタタ、ごめん。許してくれ。降参だ」
鬼は泣きながら許しを乞います。
こうして桃太郎は鬼を懲らしめ、鬼から荷車一杯の宝物をもらいました。
桃太郎 物語の変遷
「桃太郎」の物語の由来については諸説存在します。
発祥は室町時代末期から江戸時代初期頃とされます。
以後、江戸時代の『桃太郎』『桃太郎昔話』『桃太郎話』、元禄の頃の『桃太郎昔語り』などの種類が現存しているということ。
内容の変遷
桃太郎の出生に関しては、
19世紀初頭、江戸時代の娯楽本「草双紙」では桃を食べたお爺さんお婆さんが若返って出産。
桃太郎の成長
四国・中国地方で語られる桃太郎は
力持ちで大きな体に育つが怠け者で寝てばかりしていると語られています。
全国に点在するユニークな桃太郎伝説
桃太郎のお話は全国に似た話が点在しています。
その原形には諸説あり、発祥地についてもその候補は数多く存在します。
ただ有力とされるのは上記でご紹介した「吉備津彦」
その発祥地岡山県はゆかりの地として文化庁に認定、遺跡は日本遺産として指定されています
岡山県
桃太郎ゆかりの地、けれどお話の内容については横着な性格で大力を持った寝太郎のような桃太郎。鬼を海中に投げ宝物をとって帰る、鬼に酒を飲ませて退治するという伝承も残されています。
香川県
桃太郎は女の子であったという伝承があります。
おじいさんとおばあさんは川から持ち帰った桃を食べ、若返ったふたりに男の子のように元気のいいきれいな女の子が誕生。そのため鬼にさらわれないよう桃太郎と名づけたというもの。
福島県
桃太郎は山向こうの娘と結婚。
高知県
桃太郎はきび団子の代わりに粟・稗の団子を持ち、石臼・針・馬の糞・百足・蜂・蟹をお供に鬼退治に出かけます。
山梨県
大月市には「岩殿山に鬼が住んでいた」「百蔵山に実った桃が川に落ち、おばあさんが拾って持ち帰った」「犬目で犬、鳥沢でキジ、猿橋でサルを拾った」という「大月桃太郎伝説」が存在するとか
沖縄県
宮古島の古謡「仲宗根豊見親八重山入の時のあやご」では、1500年頃にいた桃多良という豪族が沖縄の桃太郎伝承であったとされています
桃太郎、現代でも人気
「妖怪ウォッチ」ではミニシリーズ「妖怪むかしばなし」で初登場。「モモタロニャンと三匹のお供」として御一行様が活躍しています。
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『鬼灯の冷徹』の桃太郎は桃源郷で薬剤師見習い、モモタローブラザーズの犬、猿、雉は地獄で獄卒として働いています。
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人気シリーズ「桃太郎電鉄」はHUDSONSOFTが発売したボードゲーム、鉄道をテーマにしたスゴロクゲームです。
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桃太郎 まとめ
「桃太郎」のお話に中に延命袋というのがあったというのは初めて知りました。
世の中にお宝を手にいれるお話は世界中にありますが、打ち出の小槌と延命袋、これは最強ですよね(ドラえもんのポケットは別として)
このふたつさえあれば、好きなだけ生きられてほうけていてられる。
ちなみに私はどっちか一つといわれれば延命袋を選びます。なんて、夢を描いてしまいました···(ˊᵕˋ; )