北欧神話の天地創造と創造主ユミルのご紹介です。
世界の多くの神話は神々の争いの中で始まっています。
ゼウスは父クロノスに呑まれるのを免れ、父を倒し主神の座に就きます。 イザナギは禊の儀で三貴神を生みます。
そして、北欧神話のユミル、神々の祖となったその由縁を探ります。
目次
北欧神話の天地創造
出典:Wikipedia
ユミルは北欧神話『スノッリのエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』や『古エッダ』で語られる原初の巨人。
巨大で空虚な裂け目ギンヌンガガプで、世界の南の果てにある灼熱の国ムスペルヘイムの熱と、ムスペルヘイムの北方にある氷の国ニヴルヘイムの寒気がまじわって生まれました。
ユミルの誕生
「古エッダ」「巫女の予言」の中で世界の創造が語られています。
北欧神話においての生命の始まりは火と氷。
まだ海も天空も大地もない、ただ大きな淵だけがあった太古。
この大きな淵ギンヌンガガプ(世界の裂け目)は、氷の世界のニフルヘイムと炎の世界のムスペルヘイムの間にありました。
そしてある時、氷と炎はぶつかって、氷は白い霧となります。
霧は蒸気になり、蒸気は水の雫と変わります。
その水の雫に生命が宿り、雌雄同体の巨人ユミルと、彼を乳で養う雌牛アウズンブラが生まれます。
ユミルの子供達
雌牛の乳房から4本の乳の川が流れ、ユミルはこの川を飲み、強さを得ます。
ユミルが眠っている間に脇の下の汗から男女の巨人、こすり合わせた足からもヨトゥン「霜の巨人」と呼ばれる巨人族の男子が生まれます。
この時、ユミルの身体から何人もの巨人が産み出され、その中には奇怪な姿の巨人もいたとされています。
アウズンブラの乳はユミルを酔わせ、眠りにつかせます。
その間、牛のアウズンブラは塩の岩を舐め、最初の神ブーリを出現させます。
1日の後、アウズンブラが舐めたその岩から人間の髪、2日目に頭、3日目に完全な人間の体が現れます。
そして、ブーリは名の無い巨人と交わりボル(ブル)が生まれます。
ボルは霜の巨人ボルソルンの娘ベストラと結婚し、オーディン、ヴィリ、ヴェーの3人の神が生まれます。
天地創造
巨人達は非常に乱暴で神々と常に対立していました。
巨人族の王となったユミルはボルの息子たち、オーディン、ヴィリ、ヴェーの3人の神に倒されることになります。
ユミルが倒された時、ベルゲルミルとその妻以外の巨人はユミルの血で溺れ死んでしまいます。
そして、ベルゲルミルとその妻は箱舟に乗って血の洪水を逃れ、唯一生き残った霜の巨人として、新たな巨人族の祖先となります。
オーディンらボルの息子たちは倒したユミルの身体から世界を作ります。
まず。ユミルの身体をギンヌンガガプの中央に置き、大地が作られます。
骨は山々、血は湖と海と川、脳から雲、歯と骨から岩石、髪から草花を作ります。
頭蓋骨で天空を造り、ノルズリ・スズリ・アウストリ・ヴェストリ(北欧神話の「北」「南」「東」「西」を意味する小人)が共に支えます。
灼熱の国ムスペルヘイムが発する火花と燠から太陽と月、星々を配置。
残りの体に湧いた蛆(うじ)に人の型と知性を与え、妖精に変えます。
ユミルの肉から生まれた大地には生き残った霜の巨人の住まうヨーツンヘイムと、ユミルの睫毛から海岸に沿った防壁、それに守られた地ミズガルズを造ります。
そしてトネリコとニレの2本の木の幹から男女を形作り、生命、思考、五感、会話する能力を与え、ミズガルズに住まう人間を造ります。
ユミル、現代でも変幻自在?
「進撃の巨人」
進撃の巨人に登場するユミルはエレンと同じ104期生のひとり。北欧神話の巨人と神との戦いがもとになっているとはいうものの、「人間を捕食する巨人」はあくまで作者諫山 創氏の想像上の世界での設定であるようです。
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「モンスターストライク」
ユミルは神化・巨人化系モンスターとしても登場しています。
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「聖闘士星矢Ω」
ユミルは女神パラスに仕える女性のパラサイト。メトネとの双子の姉。カギ爪『マックスブリリアント』を武器に、アテナを守る聖闘士を抹殺する為にユナと羅喜に戦いを挑みます。
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ユミル まとめ
世界の始まりというにはあまりに生々しい北欧神話の創世期。
そのあとにも、妖精や魔女、怪獣と勇者の物語に続いてゆきます。
北欧は、まずバイキングをイメージします。荒くれ者で力で他者を制圧する。
良くも悪くもファンタジーの本場といったところですね。