マッハはケルト神話に登場するダーナ神族の戦いの女神、そして魔女。
モリガン、ネヴァン(バズヴァ)とともに「三人のモリグナ」と称され、恐れ崇められています。
戦場に現れ、戦士たちを勝利への導く「赤い鬣(たてがみ)のマッハ」、転生を繰り返し、豊穣の女神、王権を司る神と崇められるマッハ。その軌跡を辿ります。
恐怖! マッハが食した「マッハの木の実」の実体とは。。
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赤毛のマッハ 転生を繰り返す戦いの女神
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「赤毛のマッハ」、「赤い鬣(たてがみ)のマッハ」の異名を持つマッハ(Macha)はモリガン、ネヴァン(バズヴァ)とともにダーナ神族に属する戦いの三女神の一柱。
古アイルランド語ではヴァハ、その名は「戦」や「怒り」を意味します。
文学の神デルバイス(Delbaeth)神と女神エルンワス(Ernmass)の間に生まれ、姉のモリガン、ネヴァン(バズヴァ)三姉妹共に主神ヌアザの妃。
14世紀の写本『レカンの黄書』はこの姉妹を「三人のモリグナ」と称しています。
戦場でのマッハは
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マッハは‘オオガラス’または‘カンムリガラス’を好んで姿し、戦場に現れます。
赤い髪に真っ赤なドレスとマントに身を包み、赤い一本足の馬に引かせた戦車で現れ、他の姉妹とともに恐ろしい叫び声を上げ戦場を駆け巡ります。
戦士達に戦闘の狂気を与え、守護する者たちを勝利へと導きます。
モリガンは魔法と槍で戦いますが、マッハは魔法だけを武器とします。
そして倒れた戦士の血をすすり、肉をついばみます。
戦死者の首を食べると考えられ、マッハへの供物として、切り取った敵の首を「マッハの木の実」と名付け、門柱に打ち付けたと伝えられています。
転生を繰り返す神話の中のマッハ
マッハは戦いの女神であると同時に姉妹の中でも特に馬、戦い、豊饒、および王権を司るといわれる女神です。
アイルランドの伝説上の民族フィル・ヴォルグ族との戦いでは、魔法を駆使してトゥアハ・デ・ダナーン(ダーナ神族)を勝利に導きます。けれど、アイルランドの巨人族フォモール族との戦いで、魔神バロールにヌアザと共に敗れ、討ち死。
その後ネヴェズ族の族長の妻、ミレ族の王女、クルンヌッフ(クルンチュー)の妻と転生を繰り返したと伝えられています。
** ネヴェズ族の族長の妻 **
マッハはまずアイルランドに三番目に入植したネヴェズ族の族長、神聖なる指導者の妻として転生します。
このマッハには予言の力が授けられ、アルスター王国とコナハト王国の争い「クアルンゲの牛捕り」を予感し、その恐怖のために死亡したとも伝えられています。
** ミレ族の戦士 **
第二のマッハはアルスター王国のエイド王の娘、ミレ王国の王女として生まれます。優秀な戦士、女性として唯一のアイルランドの上王となります。
父王エイドにはディオトバとキンボイスという二人の兄弟がおり、7年ごとに王権が変わる仕組みで、三人で王国を治めていました。父王亡き後、兄弟の二人に王権を奪われたマッハは、戦いをもって二人の叔父を制し、そのひとりキンボイスと婚姻し女王となります。ディオトバは追放、息子5人はマッハの配下となります。マッハはアルスターの地にエヴァン・マッハの都を築きます。
** クルンヌッフ(クルンチュー)の妻 **
ある日独身の農夫クルンヌッフのもとにマッハが訪れます。昼は家事仕事をこなし、夜は床を共にするマッハをクルンヌッフは妻にします。やがてマッハは身ごもります。
ある日クルンヌッフは首都で開かれる大集会に参加することになり、マッハに妻の名前を口にしないように約束し、出かけます。
そしてその集会で催される競馬に出場する王の馬とその騎手を見て、マッハの方が早くに走れる(あるいは乗りこなせる)と思い、思わずそのことを呟いてしまいます。
その結果、マッハは身重の身体で競馬に参加することになり、勝利します。けれど、ゴールと同時に瀕死の状態に陥り、双子を出産。アルスターの男たちを、民衆が「最も強さを必要とした時、同じ苦しみを味わいことになる」と呪い、死亡。
その後アルスターの街はマッハの双子を意味する「エウィン・マッハ」と呼ばれるようになり、苦境で双子を産んだマッハを豊穣の女神と崇めるようになります。
マッハ、現代でも冷酷な女戦士?
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『パズル&ドラゴンズ』の灼手の争女神マッハ、攻撃性能が強力なモンスターとして登場しています。
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『カードファイト!!ヴァンガード』に登場する漆黒の乙女マーハはグレード2のシャドウパラディンに属するユニット。任務遂行のためなら仲間や部下をも犠牲にする冷徹さを持つシャドウパラディンの天才指揮官。
マッハ まとめ
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マッハ、勝利のためなら非情になれる女神というイメージです。
戦いに倒れた戦士の血を飲み、肉を食らう。恐ろしいけれど、そのパワーを吸収する、そんな目的もあるのかもしれません。
非情になる、そう成れること自体スゴい! もちろん、サイコパスは対象外です