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ウンディーネ、水の精霊。人間と結ばれることで魂を得る悲恋の精霊

更新日:

ギュラ・ホップナー 作

ウンディーネは水の精霊。 

人間と同じ容姿を持ち、愛を得て初めて魂が宿るとされる女性。 

アンデルセンの「人魚姫』や、小説や歌劇、バレエなど多くの作品にもなっています。 

魂を得ても、悲しい定めの水の精霊。 

 

その、ウンディーネの定められた結末とは。 

 


 

ウンディーネ、さまざまな作品になった悲恋の精霊

エヂュアルド・スタインブルック作 1843年

ウンディーネとは 

ウンディーネ(Undine )はパラケルススが提唱する四大精霊の中の水を司る精霊 

ラテン語の unda (ウンダ、波)と女性形の形容詞語尾 -ineが組み合わさって「波の乙女」「波の娘」を意味します。 

フランス語でオンディーヌ(Ondin)語でアンダインまたはアンディーン(hUndine)、イタリア語でオンディーナ(Ondina)。 

  • ネレイデス、海のニンフ
  • リムナド、 湖のニンフ
  • ナイアデス、泉、井戸、川のニンフ
  • マーメイド、人魚 

などに属するとされる湖や泉に住まう女性の姿を持った精霊 

美しい歌声が水音に混じって聞こえることもある、人間には見えない、ただし霊能力者には虹色に輝く姿が見えるとされます。 

デンマークの童話作家・ハンス・クリスチャン・アンデルセンよる『人魚姫」、ドイツの小説家フリードリヒ・ド・ラ・モット・フーケによる『ウンディーヌ』など、人間との悲恋の物語がさまざまに伝えられています 

 

パラケルススの水の精霊とは 

四大精霊は、16世紀の医師であり錬金術のパラケルススによって提唱された四大元素(風・土・水・火)を象徴する精霊 

パラケルススは『妖精の書 (Liber de Nymphis..et de caeteris spiritibus)』の中で 

四元素の、それぞれのアストラル界(カオス)には、四種の精霊 

の、(人間界との)境界上の生物が存在するとしています 

 

四大精霊には基本的には性別も魂もありません。 

ただし、その中のウンディーネはニンフ(妖精)とも称され、ウンディーネに限っては、多くの場合、美しい女性の姿をしているとされます。 

人間の愛を得ること、あるいはその人間との子供を持つことで不滅の魂を得ることができます 

またウンディーネから生まれた子供にも人間の魂が与えられます。 

ただし、 

  • 水のそばで夫に罵られると、愛を失ったとされ、水に帰らなければならない。 
  • 夫が他の女性を愛した場合、裏切った夫を殺さなければならない。 
  • 水に帰れば魂を失う。 

の定めを受けます。 

 

さまざまな作品になるウンディーネ

アーサーラッカム 作

パラケルススの『妖精の書』でのウンディーネは、 

シュタウフェンベルクの町に現れ、男を誘惑し結婚 

けれど男はやがて水の精を悪魔だと冷たく扱い、別の女と結婚してしまいます。

ウンディーネは婚礼の宴の席に現れ、眠ると死に至る呪いをかけ、3日後男は死んでしまいます 

 

◾️1811年ドイツの小説家フリードリヒ・ド・ラ・モット・フーケが、この伝承を元にウンディーネという小説を執筆。 

後の多くの作品に影響を与えています。 

◾️1837年、デンマークのハンス・クリスチャン・アンデルセンもこの物語を元とした『人魚姫』を制作 

詳しくは→ 

 

その他、ウンディーネを題材とした作品としては 

◾️1939年に フランスの戯曲家ジャン・ジロドゥは戯曲『オンディーヌ』を発表、ブロードウェイで上演。 

詳しくは→ 

◾️チャイコフスキーのオペラ『ウンディーナ』、 

◾️ホフマンのオペラ『ウンディーネ』、 

◾️ドビュッシーのピアノ曲『プレリュード』第2集第8曲「オンディーヌ」、 

◾️ラヴェルはピアノ曲『夜のガスパール』の中で第1曲「オンディーヌ」、 

◾️バレエ『オンディーヌ』、ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ作曲、フレデリック・アシュトン振り付け 

詳しくは→ 

などがあります。 

 

フーケ(中編小説)『ウンディーネ』

フーケの『ウンディーネ』

「ウンディーネ」は作品によってそれぞれに描写や設定に違いがあります 

フリードリヒド・ラ・モット・フーケの1811年の小説『ウンディーヌ』は水の精霊ウンディーネと騎士フルトブラント、漁師の娘ベルタンダが描く悲恋。 

 

あらすじ 

森を探検する騎士・フルドブランドは漁師小屋に辿り着きます 

漁師夫妻にもてなされ、気まぐれな18歳の漁師の養女ウンディーネに出会います 

漁師は幼い娘を湖で失い、翌日現れたウンディーネを実の娘として育ていました。 

ウンディーネはフルドブランドに森を訪れた訳を尋ねます。 

フルドブランドは公爵の養女ベルタルダに森を探検してくれば手袋をもらえる約束で森を訪れ、奇妙な霊に遭遇し、漁師の家へと辿り着いたことを説明。 

そうしているうちに外は嵐となり、嵐がおさまるまでフルドブランドは漁師の小屋に滞在することになります。 

そんな中フルドブランドとウンディーネは恋に落ち、二人は結婚。 

式の翌朝、ウンディーネは優しく穏やかな人柄となり、フルドブランドに自分が水の精霊であることを打ち明けます 

フルドブランドはウンディーネが精霊でも見捨てることはないと誓います 

嵐が収まり、ふたりはフルドブランドの故郷へ出発。 

 

ベルタルダはフルドブランドが既婚者になったことに落胆しますが、優しく穏やかな人柄になったウンディーネと親しくなります。 

ウンディーネの叔父で水の精霊のクーレボルンが現れ、ベルタルダのことを警告。 

祝宴で、ウンディーネはベルタルダを喜ばせようと本当の両親のことを明かし、漁師夫妻との再会を計ります 

ベルタルダは、彼らが溺死したと思っていた子供だったのでした。 

けれど、ウンディーネが期待していた喜びの再会とは裏腹に、ベルタルダは自分が農民の子供であったことを恥じ、彼らを罵倒、ウンディーネを魔女と呼び蔑みます 

そんなベルタルダの行動を怒った養父母と実父母はベルタルダを勘当 

行き場を失い、困惑したベルタルダはウンディーネに許しを請い、ウンディーネはベルタルダを城に迎え入れます。 

 

ある日、ウンディーネは召使たちに城の中庭にある井戸を封印するよう命じます 

フルドブランドが訳を尋ねるとウンディーネは、水の中からから現れるクーレボルンの悪意から城を守っているのだと説明 

そして、水辺にいる時、絶対にウンディーネを怒らないよう。さもないと水界に連れ去られてしまうと説明。 

フルドブランドは決してそのようなことはしないと誓います 

 

ある時、三人はドナウ川沿いにウィーンまでの旅をします。 

クーレボルンが現れ、嵐や波、恐ろしい幻影で彼らを困らせます。 

ウンディーネがこれらの攻撃をかわしますが、その様子を目の当たりにした船員や召使たちは彼女を訝ります。 

そして、水の精霊がベルタルダの金の首飾りを盗み、ウンディーネは代わりに水の中から珊瑚の首飾りを取り出し、ベルタルダに贈ります。 

これを見ていたフルドブラントは、ウンディーネが精霊と共謀しているのだと考え、首飾りを海に投げ捨て、ウンディーネを魔女だと非難。 

悲しみに打ちひしがれ、ウンディーネは川の中へと消え去ります 

 

フルブランドはウンディーネが死んだものと思い悲しみますが、時が経つにつれ、ベルタルダとの中が深まり、そして結婚が決まります。 

そんなある日フルブランドは、もしフルブランドが他の女性と結婚すれば、ウンディーネは彼を殺さざるを得なくなるとウンディーネとクーレボルンが海の下で話している夢を見ます。 

そして、ウンディーネが井戸を封印して水の精の侵入から城を守ってきたこと、もしフルブランドが井戸の封印を解けば破滅すると警告。 

けれど、フルドブランドとベルタルダの結婚は行われ。ベルタルダは井戸の封印を解いてしまいます 

召使いたちが井戸の蓋を開けると、そこから泣きじゃくるウンディーネが出現。 

フルドブランドを涙で溺死させます 

 

 

ウンディーネ、敵にも味方にもなる水の妖精

オオカミ姫」のウンディーネはドラゴンリーグの世界からやってきた水の精霊。湖に棲み、人間を魅了。 戦いでも全ての敵を誘惑して攻撃を受け付けない異質な存在感を放ちます。

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ロマサガユニバース」のウンディーネは知力の高い、冷属性のアタッカ―。冷弱点の敵にトップクラスのダメージを与えます。

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アナザーエデン 時空を超える猫」のウンディーネはボスキャラ「オンディーヌの幻霊」として登場。

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ウンディーネ まとめ

アーサーラッカム作『窓辺のウンディーネ』(1915年)

ウンディーネも『男に愛され、裏切られ、復習する』物語の主人公。 

よくある悲恋の定番物語です。 

 

けど、もし逆に、男性の魂のない精霊がいたとしたら、女性に愛され、捨てられ、けど、復習するかなぁ〜(する男もいると思うけど)。 

その辺り、男と女の愛情に対する受け止め方の違いが微妙にあるように思うのですが。。。 

 

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