出典:deviantart
アイルランドがエリンと呼ばれ、5つの小国に別れていた頃、それぞれの国を守るためフィアナ騎士団は存在していました。
アーサー王と円卓の騎士達の原型になったケルト神話に登場する騎士団です。
英雄フィン・マックールやその子オシーン他、多くの不思議な能力を有した戦士が集います。
ケルト版 凄腕レンジャー、フィアナ騎士団のご紹介です。
目次
フィアナ、エリン(アイルランド)を守る騎士団
スティーブン・リード作
フィアナ騎士団とは
フィアナ(Fiana)は、ケルト神話に登場する騎士団。
フィアナとはフィアン(戦士・狩人・兵士)の複数形。
フィオナ、フェーナとも呼ばれる戦士で狩猟集団。
アイルランドの伝説「フィアナ物語」の中で語られています。
フィアナの起源は鉄器時代(紀元前15世紀)から中世初期にかけてとされます。
舞台はクー・フーリンが活躍したアルスター伝説の300年後。
当時エリン(アイルランドの古称)にはマンスター、レンスター、アルスター、コナハト、ミースの5つの王国が存在し、 それぞれの国にフィアナ(兵士)騎士団が存在していました。
王家の権力に縛られない活動で国を守る集団。
後のシャルルマーニュ十二勇士やアーサー王率いる円卓の騎士の原型になったとされています。
初期の物語では、フィアナが狩猟戦士として放浪する冒険と英雄譚が語られ。
後期の物語は上級王に仕えるフィン・マックールとその騎士団の活躍が描かれています。
初期、幾つも存在するフィアン(fían)の物語が語られますが、後期フィアナ騎士団はフィンのフィアンのみを指す名と変化してゆきます。
活動、実態
アーサー・ラッカム作 『アイルランド童話集』挿絵 (1920年)
フィアナの騎士は騎士団長とエリンの上王に忠義を尽くします。
騎士達は多くの時間エリンを旅しながら狩猟生活をおくります。
食料は狩猟によって調達、そのため団員は戦士であると同時に優れた狩人でもありました。
伝説では、フィアナ騎士達は猟犬より速く走り、一日でエリンの南西端から東海岸までを駆けることができたと伝えられています。
フィン・マックールが騎士団長を務める騎士団
3世紀頃、フィン・マックールが騎士団長を務める騎士団は、コルマク・マッカートがエリンの上王であった頃が全盛期であったと伝えられ、その規模は4000人の兵士を有していたといいます。
フィアナ騎士団内にはフィン・マックールが率いるバイスン氏族と、ゴル・マク・モーナが率いるモーナ氏族があり、両団は対立。
フィンの騎士団が全盛期であった頃には和睦を結びますが、上王が代わることで状況は一変します。
新しい上王は英雄として名高いフィンの存在を嫌い。上王派とフィンの騎士団派とに分裂し、戦争が始まります。
戦いの末に両派は相打ちとなり、騎士団は自滅。
フィン・マックールもその戦いで亡くなっています。
団員たちの出自
フィアンの多くは地所有者として定住するために必要な財産をまだ相続していないアイルランドの貴族、あるいは自由出生の若者
大人になる過程での通過儀礼のようなものとして存在していたとも語られています
入団試験
スティーブン・リード作「ケルト民族の神話と伝説」挿絵(1911年)
家柄や身分に左右されず入団は誰でもが可能。
ただし厳しい試験に合格する必要がありました。
1, 身長と同じ高さの枝を飛び越え、ヒザと同じ高さの枝を潜り、足に刺さったトゲを走る速度を落とさず抜いて疾走する
2, 髪を三つ編み20本に束ねられ、全裸。森の中、武装した騎士の中を逃げ切ります。傷を負った、捕縛された、三つ編みの束の一つでもほどけた、試験終了時憔悴していた等は失格。
3, 両手に盾とハシバミの枝を持ち、下半身は動けないよう地面に埋められた状態で、9人の敵を相手に応戦。少しでも傷を負うことがあれば失格。
4, エリンに伝わる物語や詩篇を20以上暗記している
騎士団の任務と規則
ベアトリス・エルヴェリー著『フィオン』
フィアナ騎士団の主な任務はエリンの国内の治安を守り、外部からの侵入者(主には海賊の襲撃)から国を守ること。
入団の際下記の規則を守る誓いをたてます
- エリンの上王と騎士団長に忠誠を誓う
- 他人の牛を略奪しない
- 助けを乞われたら拒まない
- 劣勢でも味方が9人いる内はけっして退却しない
- 婚姻の際は持参金を受け取らない
主な団員
ステーブンリード作
フィアナ騎士団には団長フィン・マックールをはじめ魔術師や動物と交流できるなど、様々な能力を有する者など優れた騎士が在籍していました。
騎士団長。ヌアザの孫娘マーナと先代団長クールの息子。 叡智を授ける魔法の親指を持つ英雄
フィンの息子。優れた狩人にして詩人。ティル・ナ・ノーグ(異界)の王として3年、地上では300年を過ごします。
オスカー
オシーンの息子。勇猛果敢な戦士。ディルムッドの親友。ガウラの戦いの傷が致命傷となって死亡。
キールタ・マック・ロナン
フィンの甥。俊足、竪琴の名手。動物と交流できる。
最強の戦士。美貌の持ち主で、妖精王オェングスが育ての親。フィンの妻に愛され、非業の死を遂げます。
ゴル・マック・モーナ
隻眼の戦士。フィンの父であるクールを討ち取り、フィンに座を譲るまで団長の任についています。
コナン・マウル
ゴルの兄弟。皮肉屋で巨漢・禿頭・貧欲。けれど勇敢で識者、フィンの側近として忠誠を尽くします。
ディアリン・マクドバ
予知や千里眼の能力を有する騎士。
ルガイド
魔術師にして戦士。海神マナナン・マクリルの娘オイフェの恋人
リア・ルケア
見るもおぞましい巨体の戦士。騎士団の出納係で宝物庫を預かる番人
フィアナ騎士団、現代でも騎士
「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ナイツ・オブ・フィアナ」の「フィアナ騎士団」は物語の主人公となる小人族の女神。
人類が初めて『大穴(=ダンジョン)』に到達するまでの軌跡が描かれています、
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Fateシリーズではフィン・マックールとディルムッド・オディナがランサーとして登場しています。「Fate/GrandOrder」でのフィン・マックールは槍と癒やしの力を宝具とする残忍なイケメン的な側面もあるナルシスト。「Fate/Zero」では老年の騎士として登場しています。
ディルムッド・オディナは「Fate/Zero」の一番槍のランサー。恋する乙女、嫉妬深い男が苦手。右目下の泣き黒子が女性を魅了する力を宿す『魔貌』の異名の持ち主。
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ソーシャルパズルゲーム「エレメンタルストーリー」ではフィン・マックールは光属性、フィアナ騎士団団員ダーマットは水の属性、グラーニアは木属性で参加しています。
フィアナ騎士団 まとめ
出典:deviantart
魔法や妖精などが数多く登場するケルト神話。
その中でフィアナの物語はなるほど騎士達も不思議な能力を持つ者が集結しています。
動物と話せる、予知能力、千里眼、魔術、俊足。
ケルトの凄腕レンジャー。
もっといろんなメディアで注目されてもおかしくない部隊ですね。