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大寒(だいかん)寒仕込み、厄払いとは。大寒の頃の風習や行事。

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冬の季語で氷が張りつめる音を「氷の声」と表現します。霜は「霜の声」、雪は「雪の声」。

いかにも霜や雪や氷の妖精の話し声であるようにイメージします。

大寒、寒極まる時期。けれど、この時期だからこそ見られる自然も少なくはありません。

大寒の早朝、窓の外では霜の妖精がおしゃべりしている声が聞こえています。

 

 

「大寒」

大寒(だいかん)は二十四節気の24番目。

現在の定気法では太陽黄経が300度のとき。

2024年の大寒は1月20日(土)および立春(2月4日の前日)までの期間をいいます。

『暦便覧』では「冷ゆることの至りて甚だしきときなれば也」、冷ゆるのがはなはだしい時。

大寒は寒の内。最も寒さが極まるこの時期、けれど早咲きの梅、寒梅かんばい)は美しい花を咲かせます。

三寒四温この季節、3日寒い日が続くと次の4日は暖かくなる、春が近づいてきていることを告げているようにも思えます。

 

その他

  • 水の音や、風の音を寒声(かんせい)
  • 風がなく穏やかな天気を寒凪かんなぎ)
  • 降る雨を 寒の雨(かんのあめ)
  • 雷を寒雷(かんらい)
  • きびしい寒さを極寒(ごっかん・ごくかん)

など、寒中の気候を表現する多くの言葉があります。

 

** 寒の水 **

寒の内に汲み上げた「寒の水」は、雑菌が少なく、薬になるといわれるほど、力が宿っていると信じられていました。

寒の頃には日本酒や味噌など、「寒の水」を利用した多くの食材が仕込まれます。
また、寒の入りから九日目は「寒九」と呼ばれ、効果が増すといわれた時期。この日に降る雨は「寒九の雨」といい豊作の兆しとされます。

 

** 寒仕込み **

寒の頃の低温下では発酵もゆっくりで、日本酒や味噌のような発酵食品時間をかけて旨みを引き出すことができます。

寒の水は江戸時代の頃から“最高の日本酒造り”に欠かせないと、酒蔵では今も寒仕込み(寒造りの伝統が受け継がれています。寒仕込みが仕上がるのは、秋から年が明けた翌年の大寒の頃。

その他、魚の干物や寒天、凍り豆腐のような寒晒しのほか、寒卵」「寒蜆」「寒海苔など、寒の時期のものは上質で栄養価も高いといわれています。とくに大寒に産まれた卵は「大寒卵といい、珍重されています。

 

厄払い 

出典:pinterest

厄年(やくどし)は、厄災が多く降りかかるとされる年齢のこと

男性の厄年は数え年で、25歳、42歳、61歳、女性の厄年は19歳、33歳、37歳

の前後1年間に本厄と同様に注意が必要とされる前厄・後厄の期間があります。

厄払いの主な方法としては、厄除けで有名な寺院・神社に参詣して厄除け祈願を行うのが一般的。

厄払いの時期は

年の節目である新年の元旦に行う(一番祈祷)。または、年の節目を旧正月と考え、年始から節分までに行うものと考えられています。

いずれにしても、厄は「数え年」で計算し、厄払いは厄年となる誕生日の1週間前までに参詣するよう。

また、厄年を越えた後のお礼参りも忘れないよう心掛けます。

 

「大寒」の頃、七十二候

初候(1月20日頃〜1月24日頃) 款冬華(ふきのはなさく) : 蕗の薹(ふきのとう)が花を咲かせるころ

雪に埋もれた大地からもふきの花が咲き、春の訪れを感じさせます。

次候(1月25日頃〜1月29日頃) 水沢腹堅(さわみず こおりつめる) : 沢に氷が厚く張りつめる

最も気温に低くなることの多いこの頃水温も低く沢には厚い氷で張りつめられます。

末候(1月30日頃〜2月3日頃) 鶏始乳(にわとり はじめて とやにつく) : 鶏が卵を産み始める

春の気配を感じた鶏が卵を産み始める頃。

 

「二十四節気」とは

二十四節気は、一年を春・夏・秋・冬の季節に分け、それぞれをさらに6分割した24の期間に名前をつけたものです。現在でも季節の節目を示す言葉として使われています。

二十四節気の名称は、中国で考案された当時のものがほぼそのまま使われています。考案当時の文明の中心であった黄河の中・下流域の気候を反映しており、日本よりも寒冷で大陸的な気候のため、日本の気候とは多少ずれがあります。

太陽黄経が30の倍数であるもの(春分・穀雨など)を(中気)、そうでないもの(清明・立夏など)を(正節、節気)と言い、節気から次の節気の前日までの間を一ヶ月とする月の区切り方を節切り、その月を節月と言います。季語の分類も主として節切りで行われています。

夏至・冬至の二至、春分・秋分の二分を併せて二至二分といい、立春・立夏・立秋・立冬を四立二至二分四立を併せて八節と言います。二十四節気をさらに約5日づつの3つに分けた、七十二候という分類もあります。

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大寒の頃の行事

** 寒稽古 **

寒の時期に武道や芸事の修練を行うことをいいます。

寒さに耐えながらの稽古は、精神の鍛錬にもつながるものと、特にこの時期の修練は重要視されています。

** 寒行(かんぎょう) **

仏教において僧は、寒の 30日間,寒さを忍んで坐禅,托鉢,誦経,などの修行を行います。その他寒の期間の明け方念仏を唱える寒念仏,同じく寒の30日間参拝を続ける寒参り, 冷水を浴びる寒垢離 (かんごり) などの荒行も行われます。

 

奈良県 若草山焼き 1月25日(第4土曜日)

古都奈良の早春を告げる伝統行事。若草山で行われる冬の代表的行事です。若草山の全体が燃え、冬の古都の夜空を赤々と染め上げ、夜空を焦がす壮観さは圧巻です。

 

大寒 まとめ

日本には四季があります。春は桜、初夏は新緑、秋は紅葉、冬には雪景色。

毎年繰り返されるとはいうものの、移ろい行く季節はその時々で鮮やかで美しい。

ただ、それを愛でる心に余裕がないのが残念です。

 


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