サロメはオスカー・ワイルドの作品で有名な物語。
元は洗礼者・ヨハネの首を求め死に至らしめた、聖書で語られる実在した人物とそのエピソードです。
感情が優先する乙女心が満たされずに生まれる悲劇。
個人的には好きな作品のひとつです
目次
サロメ、数多くの作品を生んだ物語
サロメとは
サロメ(Salome)は、イエスに洗礼を授けた洗礼者ヨハネの首を望んだ古代ユダヤの王女。
福音書で語られる、実在した少女です。
多くの作品の中で「サロメ」として登場していますが、聖書の中では彼女の名は伝えておらず、「ヘロディアの娘」と呼ばれます。
義理の父は古代パレスチナの王ヘロデ・アンティパス、実母はその妃ヘロディア。
サロメは義父ヘロデの催した宴席で舞踊を披露するご褒美として洗礼者ヨハネの首を所望。
ヨハネを死に至らしめています。
その逸話の特異性から、中世以降、多くの芸術作品となります。
絵画では、中世ルネサンス期バロック期にかけて、ヨーロッパでで数多くの作品が誕生。
1893年にはオスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』が出版。
義父や周囲の男性に慕われる妖艶な女性が、預言者ヨカナーン(洗礼者ヨハネ)に焦がれ、拒絶され、ヨカナーンを死に至らしめる。
妖艶なサロメの人物像がありありと描かれる内容となっています。
その後、演劇や文学、バレエ、オペラなど、様々な分野でその物語が語られています。
聖書の中のサロメ
サロメの実父はヘロデ・アンティパスの兄弟ヘロデ2世。
ヘロデ2世の妻であったヘロディアはヘロデ2世の間にサロメをもうけた後、離婚。ヘロデ・アンティパスと再婚しています。
サロメにとってヘロデ王は義理の父であり、叔父にあたります。
フラウィウス・ヨセフス(ローマ・ユダヤ人の歴史家、軍事指導者)は
この後のサロメを「叔父のテトラルキア王フィリップと結婚。西暦34年に夫が亡くなった後、従兄弟のカルキスのアリストブロスと再婚。小アルメニアの女王となった」としています
マルコによる福音書
古代イスラエルの領主・ヘロデは、兄弟ピリポの妻ヘロデヤを娶ります。
けれど、ヨハネはヘロデを「兄弟の妻をめとるのは、よろしくない」と批判。
ヘロデはヨハネを捕えて投獄します。
再婚を批判された妃ヘロデヤはヨハネを恨み、彼の抹殺を望みますが叶わずにいました。
それはヘロデ王が、実はヨハネは正しく聖なる人であることを認め、彼を恐れていたからでした。
ある日、ヘロデは自分の誕生日に、ガリラヤの高官や有力者を招いて祝宴を催します。
そこでヘロデヤの娘が舞踊を披露、ヘロデをはじめとする人たちの歓声を得ます。
その褒美として、王はこの娘に「ほしいものはなんでも言いなさい。」と王の名にかけて告げます。
これは、ヨハネを恨む妃ヘロデヤによい機会を与えます。
娘は母に「何をお願いしましょう?」と尋ねると、母は「バプテスマのヨハネの首を」と答えます。
そこで少女は王に「盆にのせたバプテスマのヨハネの首を」とこたえます。
王は誓った言葉を違え、少女の願いを退けることはできないと判断。
王は衛兵にヨハネの首を刎ね、盆に乗せ、持って来るように命じます。
衛兵の持参した首は娘に与えられ、娘はそれを母に渡します。
オスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』
オスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』は1893年にパリで初版本が出版されています。
聖書で語られる物語を元に、「サロメ」を主人公として展開。
1894年には、翻訳:アルフレッド・ブルース・ダグラス、挿絵:オーブリー・ビアズリーの英語版が出版されています
預言者ヨカナーン(洗礼者ヨハネ)に魅せられた妖艶なサロメが、サロメを拒絶するヨカナーンを死に至らしめ、その首にくちづけするという衝撃的な内容のもの。
その公演は1896年にパリで初演。
最後の場面の背徳性からイギリスでは1931年まで上演が禁止されています。
あらすじ
ユダヤの王エロドは、実兄の前王を殺し、その妃を奪い結婚。王の座に就きます。
けれど、妃の娘王女サロメに魅せられて、邪な想いをつのらせています。
その視線に嫌悪するサロメは、宴席をはなれ、預言者ヨカナーン(洗礼者ヨハネ)が閉じ込められている井戸に向かいます。
ヨカナーンは王の結婚を批判、不吉な言葉を喚き散らして、妃から疎まれ、投獄される高名な預言者。
サロメは見張り番のシリアの青年に妖艶な魅力で禁を破らせて、預言者に対面。
ヨカナーンに激しい恋心を抱きます。
けれど、預言者は彼女の境遇をなじるばかり。
拒まれたサロメはヨカナーンに口づけすると誓います。
宴席に戻ったサロメにエロドは何でも好きなものをほうびにとらせると約束し、舞踊の披露を求めます。
サロメは妖艶な7つのヴェールの踊りを踊り、その踊りに魅せられたエロドにヨカナーンの首を所望。
エロドは預言者の力を恐れ、それを断りますが、サロメはがんとして聞き入れません。
ついにエロドは折れ、ヨカナーンの首をサロメに与えます。
斬首され、銀の皿にのって運ばれてきたヨカナーン。
その唇にサロメは口付けし、その想いを語ります。
これを見たエロドはサロメを殺します。
サロメ、現代でも人気のモチーフ
オスカーワイルドの今風サロメ
ケンラッセルノ制作1987年公開作品『サロメ』
イギリスで上演禁止となった『サロメ』をワイルドの男娼の館の仲間が彼の為に上演。
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2013年公開『サロメ』はアル・パチーノ監督作品。オスカー・ワイルドの戯曲を現代風舞台劇にアレンジ。
アル・パチーノが脚本、監督、ユダヤ王エロドを演じています。
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現代のサロメは
『ウルトラセブン』ではにせウルトラセブンを使っての地球侵略を企む異星人、サロメ星人として登場。
その女性リーダーヘロディア嬢は次元の狭間にある惑星チェイニーを拠点に、宇宙侵略計画を企てます。
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『壱百満天原(ひゃくまんてんばら)サロメ嬢』はバーチャルYouTuberグループ「にじさんじ」に所属するバーチャルライバー。
「ですわ」口調で語るトーク力、話題の多さで登録者数100万人突破の人気キャラ
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サロメ まとめ
感情が優先する乙女なサロメが殺してでも手に入れたいという感情を抱く、オスカーワイルドの着眼点は的を得てると思います。
乙女でなくとも、多くの人間は心のどこかにそんな闇を抱えている。
それを実行すれば犯罪になる、けど。。。
だから多くの作品が生まれる。