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悪魔払い、エクソシスト、憑依、日本のエクソシズムは

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作者不明

やさぐれエクスシストがなんとミカエルを打ち負かす『コンスタンティン』。

イケメン俳優の魅せる展開も魅力の、韓国版エクソシスト『プリースト 悪魔を葬る者』ディヴァイン・フューリー/使者』。

ヤラセ配信の悪魔祓いに本物の悪魔が取り憑いてしまう『バトル・インフェルノ』。

Z級にまで登場する「悪魔祓い」は、今でもホラー界では欠かせないテーマ。

 

そこで、エクソシズムとそれに立ち向かうエクソシストの実態を探ります。

 

娯楽作品にしてしまうのは不謹慎に思える悪魔祓い、エクソシストの実像とは。

 

 

悪魔払い、エクソシストと悪魔との対決は

フランシスコ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス作

悪魔払いとは

悪魔払い悪魔祓い)、英語ではエクソシスム(exorcism)

悪魔・悪霊、魔神などを祈祷・儀式などによって祓うことをいいます。

悪魔祓いは古代から世界各地の宗教や信仰において、様々な形で行われてきました。

現在でもアメリカや日本のような先進国も含め、様々な悪魔祓いが世界各国で行われています。

それらの儀式の中ではブードゥー教などのように骸骨や人形、生贄などの呪物や、霊力や聖なる力を持つとされる様々な道具を用いエクソシストやシャーマンと呼ばれる祈祷師が悪魔や魔神、悪霊を払うための祈祷を行います。

 

シャーマン

祈祷や儀式を行う者は祈祷師、シャーマン (shaman)と呼ばれます。

ネイティブアメリカン・ニューギニア・東南アジアなどの多くの先住民たちにはそれぞれの部族ごとにシャーマンが存在していました。

彼らは薬草によって治療を行う呪術医を兼ねた能力を有し、自然霊との交信を行い、悪霊を払います。

 

キリスト教の悪魔払い

ガブリエル・メレスキルヒャー作 (1474)作

キリスト教にも悪魔を祓うエクソシズムの儀式があります

 

新約聖書の中でも悪霊を祓うイエスが記述されており、キリスト教では16世紀には悪霊祓いを正式な教義として制定。(20世紀半ばには公式には廃止されています)

悪霊祓いの方法は「祓魔式」としてローマ典礼で定められ、司祭の行う準秘蹟となっています。

プロテスタントでも悪霊祓いは儀式として認められ、主に牧師の職務とされています。

 

エクソシスムの原語(ἐξορκισμός)は誓言する」「厳かに呼びかける」を意味します

儀式の主な内容は、悪魔や悪霊に取り憑いた身体から出ていくよう諭し続けるというもの。

 

カトリックでは、イエスの御名において(イエス自身の意味)、プロテスタントでは、父・子・聖霊の御名において(与えられた権威により)悪魔に命じます。

 

これを完遂するには、強く根付いたものには長い期間(何年もの歳月)悪霊祓いを続ける必要があると考えられています。

 

聖書の中の悪魔払い(レギオン)

ギュスターブ・ドレ作(1865年)

新約聖書『マルコによる福音書』『ルカによる福音書』『マタイによる福音書』の中で、イエスが悪霊を祓っていることが記されています。

イエスは悪霊に憑依された男に出会い、取り憑いた悪霊を呼び出し、名前を問います

悪霊は「レギオン」という集団であると名乗り、イエスを恐れ、豚の群れに送り込むように懇願します。

レギオンは豚の群れに取り憑き、断崖から落ち、溺死します。

 

エクソシスト

フランシスコ・デ・ゴヤ作、1788年頃)

キリスト教の慣習では、悪魔祓いを行う者はエクソシストと呼ばれ、カトリックでは叙階(任命・公式に認め流)され​​た司祭でなければならないと定められ、エクソシストには下級叙階の地位が与えられています

 

儀式ではイコン、聖水や塩、聖書などの聖具、十字架を用います

エクソシストは祈りを唱え、イエスの名、聖母マリア、聖人、ミカエルをたたえる聖句を唱え、悪魔祓いための力と助力を請います

 

祈りの中でも「聖ミカエルの祈り」は、悪魔に対抗するカトリック教会の最も強力な祈りとされ、聖水はミカエルへの祈りに含まれるもの

ロザリオはその執り成しによって救いを与える神秘の力を秘めたもの

エクソシストはそれらの力をもって悪魔・悪霊に退去を命じます。

 

ちなみに、英国国教会は現在も悪魔祓いを専門とする一団は存在しているとしています。

 

悪魔憑き・憑依とは 

憑依される人間 

多くの正教徒は「邪眼」を信じています。

これは、他人に激しい嫉妬や羨望を抱く者は、呪いに似た感情を持ち、このような感情が悪魔に取り憑かれるとされます。

 

悪魔に憑かれた人間の人格

エクシシストは悪魔祓いを治療とみなしています。

悪魔に取り憑かれたとされる人々の怪異な行動は、悪魔による不本意な操作であり、個人に責任があるとはみなされません。

儀式では取り憑かれた者に肉体的な障害が生じないよう、その可能性がある場合、儀式は対象者を縛り付けて行います。

 

悪魔憑きの特徴

1630年代、フランス・ルーダンで起きた「尼僧集団憑依」事件では、尼僧たちに悪魔が取り憑き、その祓いを行うために修道士が派遣されましたが、その修道士自身も憑依されてしまいます

その際の出来事を後に修道士や尼僧は

卑猥な言葉や神をあざける言葉を口にする自分と、それを止めることができず嘆くもうひとりの自分がいた」と語っています。

 

超常現象・オカルト作家のリン・ピクネットは悪魔憑きのそれ以外の特徴として

  • 憑依の中には、性格が異なる悪霊が複数存在し、言葉ごとに別人になったかのように見える
  • その人が通常の状態ならば絶対に知っているはずのない言語や情報を語る

などを挙げています

 

現実に起こった惨劇

⚫️1634年にはフランス・ルダンで『ルダン憑依事件』といわれる魔女裁判が行われています。

ウルスラ修道会の修道女たちが、悪魔に憑かれたと主張。

司祭ユルバン・グランディエが悪霊を召喚したとして告発され、有罪となり、火刑に処せられています

 

⚫️ルーマニアでは、2005年に正教会の神父によって修道女が悪霊祓いの儀式を受け死亡するという事件が起きています。(『汚れなき祈り』として映画化)

 

⚫️アフリカの先住民たちの間では「悪霊」が部族の1人に取り憑くと災いが起こると信じられてきました。

そのための悪魔祓いは古くから行われています

近年も、ナイジェリアで牧師を名乗る男やその妻によって子供たちが悪魔払いとして虐待を受けたり、殺害されるという事件が起こっています

 

日本の悪魔払い

日本においての「悪魔払い」は修験道や神道で行われる儀式に相当します。

払い」は、神道での「祓い」、穢れを払い、災厄を防ぐための祈祷儀式として行われてきました。

 

これとは別に、悪魔の存在は仏教と共に日本に伝来、本来は修行を妨げる悪神を意味していました。

 

祈祷師

安田靫彦作「卑弥呼」

神道

太古から日本では神と対峙し、祈祷を行う存在として巫女と呼ばれる人々がいます。

邪馬台国を統治した卑弥呼も巫女であったというのは一般にも知られるところ。

 

古神道から始まり、現在でも神道の巫女も邪気や穢れを払う祈祷を行っています

また、日本には梓巫女(あずさみこ)と呼ばれ、各地を渡り歩き託宣や呪術をもって、霊を自分に憑依させ、その意思を語る「口寄せ」を行う祈祷師が存在しています。

 

仏教

仏教でも、真言宗を中心に祈祷は頻繁に行われるようになります

 

陰陽道

やがて、奈良時代から平安時代にかけて、道教、陰陽五行、八卦、風水、「気」などの概念が統合され、陰陽道という学問に集大成されます。

行政官庁にも陰陽寮が設置され、多くの陰陽師たちが天皇・皇族・貴族のために祈祷を行っています

 

ただし、日本においては人間に取り憑くのは悪魔ではなく、実体を持たない悪霊や怨霊などの『霊』とされています。

 

 

悪魔祓い、エクソシスト、ホラー界では欠かせない永遠のテーマ

エクソシスト』は1973年公開、ウィリアム・フリードキン監督作品。映画界では時代を超えた不朽の名作。身体が宙に浮いたり、首が真後ろに回ったり、数々の名場面が生まれています。

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ザ・ライト・エクソシストの真実』アンソニー・ホプキンス主演、2011年公開作品。実話を基に作られた作品。主役の「マイケル神父」「ルーカス神父」も実在するエクソシスト。実話であるところの色々な細部が興味深い作品です。

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悪魔祓い、エクソシスト まとめ

エウジェニオ・ルーカス・イ・パディーヤ作「エクソシズムの場面」

古から世界各地で悪魔や悪霊が取り憑いたために起こる様々な事件が、我々一般市民の知らないところで多発しているのかもしれません。

最近よく見る事故物件や心霊スポットもその一例。

「見てみたい」と思い気持ち、よくわかります。

だからこんなにSNSや映画やドラマで作品化されてる。

 

余計な好奇心は身を滅ぼす、のかもしれませんが

 

 

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