ファイナルファンタジーシリーズの召喚獣の中で、恐ろしくも美しいシヴァはヒンドゥー教のシヴァ神がモデルであると伝えられています。
けれど、ヒンドゥーのシヴァ神は男神。破壊と芸術を司るトリムルティ(三神一体)。
額にある第3の目の光線で全てを焼き尽くし、死体の上で勝利のダンスを踊る、ヒンドゥーの最高神シヴァ神に注目です。
目次
破壊神シヴァ
出典:Wikipedia
シヴァ神(Śiva、शिव)はヒンドゥー教で最高神として崇められているブラフマー「創造」、ヴィシュヌ神「維持」と並ぶ三大神(トリムルティ)の一柱で、モンスーンを神格化した破壊を司る神様です。
霊峰カイラーサに住まい、妻はヒマラヤの女神パールヴァティー。2柱の間には学問の神ガネーシャと軍神スカンダが生まれます。
トラの皮をまとい、首にコブラを巻き、乳白色の牡牛ナンディンが騎乗獣。
武器は先が3つに分かれた槍トリシューラ。
若い頃は悪鬼たちを従え、ヴァラナシの火葬場を棲家として暴れまわった鬼神。
怒れば額の第3の目から出る炎で世界を焼き尽くし、敵対する者全てを殺戮。その死体の上で勝利のダンスを踊ります。
けれど、イギリス人のインド学者、サー・モニエル・ウィリアムズは「シヴァ」の名は「吉祥な」「慈悲深い」「親切な」というような意味を持つとしています。
「シヴァ」の「シ」は「内に全てを擁するもの」を意味し、「ヴァ」は「優雅さ」を意味する、慈悲深い一方で、恐ろしいエピソードも多く語られる神。
シヴァ神は1000を超える異名で表される多種多様な性格を持つ神でもあります。
第一の修行者(アディヨーギーAdiyogi)とも称され、ヨガ、瞑想、芸術の守護神。
仏教では大自在天(だいじざいてん)。自在天外道の主神、色界の頂に住する三千世界の主。
トリムルティ(三神一体)の破壊神
出典:Wikipedia
シヴァ神はヒンドゥー教の最高神、ブラフマー、ヴィシュヌと並ぶ三神一体(トリムールティ)の1柱。
ブラフマー神がこの世界を創造し、ヴィシュヌ神が維持、シヴァ神は再生の為の破壊を担います。
ヒンドゥー教ではこの三柱が宇宙を作り、維持し、破壊することを繰り返すことで世界が回っていると考えられています。
そしてこの世界が終焉をむかえる時、シヴァ神は「破壊の舞を踊り、この世を滅ぼす」そのため「踊りの王」を意味する「ナタラージャ」という異名を持つとされます。
起源
シヴァ神のルーツについては未だに多くの謎が残されています。
一説には紀元前1万年以前、先史時代の壁画に描かれているものがシヴァ神であるとされます。
定説としては古代インドの聖典「リグ・ヴェーダ」に記されている暴風雨を司るルドラ神がジヴァ神の前身。
暴風雨は、自然を破壊し風水害をもたらしますが、同時に、土壌を肥し、植物を育てるという二面性を持ちます。このよう対照的なあるいは多面的な性格は、シヴァの特徴として語られます。
容姿
シヴァ神の髪は伸び、上半身は裸、虎の皮を腰にまとっただけの苦行者の姿をしています。
全身に灰を塗り、腰にはナーガ龍をベルト代わりとし、首に大蛇を巻き、聖牛ナンディンを乗騎獣とします。
- 額には第三の目。 額の三本線の真ん中に縦に第三の眼があります。怒ればこの眼から欲望(カーマ)を焼き尽くす炎の光線が放たれます。
- 髪の毛 長く伸び放題の髪は丸められ、山のような形の螺髪(らほう)となり、三日月型の髪飾りでとめられています。その頂上からはガンジス河(ガンガー)の始まりの水が噴水のように噴き出ています。
- 腕 腕は2本、あるいは4本。その手にはトリシューラ(三叉戟)やときにはピナーカ(弓)などの武器と、楽器ダマルー(両面太鼓)を持ちます。
- 肌は青。この青い肌は、本来は黒。黒い肌は、西インド地方の土着の神を表しています。ただし、ヒンドゥー教では黒は不浄の色、神に適した色ではないので、青色で表現されています。
妻 サティ(パールヴァティー)とシヴァ神
出典:Wikipedia
サティーはブラフマーの息子ダクシャ仙の娘。シヴァ神の最初の妃です。
けれど、ダクシャ仙は父ブラフマーを崇拝していたため、シヴァ神を嫌い、娘との結婚に反対。結婚後も重要な儀式の場にもシヴァ神は招かれず、その扱いに怒った娘サティーは、ついに焼身自殺してしまいます。
妻の死に激怒したシヴァ神はダクシャ仙を斬首、ダクシャの祭祀を破壊し尽くします。
そして、焼け焦げたサティーの遺体を抱いて世界中を放浪。
腐敗したサティーの死体からは災いが飛び散り、世界は闇に閉ざされてしまいます。
みかねたヴィシュヌ神はサティーの死体を細かく切り刻み、肉片を遠い各地にばらまきます。
死体を失ったシヴァ神はようやく正気に戻り、自分の行いを反省し、長い苦行の道に入ります。
その後、肉片が撒かれた土地はシヴァ神の聖地となり、サティーの屍からは多くの女神が誕生。転生した女神たちは皆、シヴァ神の妻となります。
現在シヴァ神の正妃であるパールヴァティーも、ヒマラヤに飛来したサティーの遺体から転生した女神のひとり。
シヴァ崇拝
シヴァ派はヴィシュヌ派、シャクティ派、スマールタ派と並びヒンドゥー教四大宗派のひとつ。
シヴァ派にとってシヴァは普遍的な存在であり、ブラフマン(宇宙の根理)です。
そのシヴァ神は「リンガ」という形に象徴化され信仰されます。
これはシヴァ神が女性と交わってこの世界が誕生し、それが我々の住む世界であると解釈されたもの。
仏教のシヴァ、日本のシヴァ
シヴァ神は真っ黒な姿となって世界を滅ぼすとされるところから《大いなる黒》という意味で「マハーカーラ」とも呼ばれます。
これが「大黒天」と漢訳され、中国密教と仏教に取り入れられ、
- 真言宗では「護法善神」(ごほうぜんじん)(天の神々)の一柱。
- 大黒さまとして七福神の一柱。
- 「大黒」と「大国」が同音であるところから、大国主(オオクニヌシ)と同一視されます。
その大黒天は穏やかな豊穣の神、屋敷神として祀られ、財と幸運の神として信仰を集るお馴染みの存在。
仏教においてのシヴァ神は、漢訳仏典に「大自在天」(マヘーシュヴァラ)と表記されています。
大自在天はシヴァ神本来の破壊神としての性格を持つ善神「護法神」です。
やっぱりシヴァ神は氷の召喚獣?
「ファイナルファンタジー」シリーズのシヴァは「Ⅲ」から登場。新生FF14でのシヴァはエオルゼアの神々。定の物質を依代とすることで顕現する「憑依型蛮神」
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人気ソーシャルゲーム「グランブルーファンタジー」のシヴァはなんと炎の属性を持った男神の召喚石
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「妖怪ウォッチ3」のシヴァラクはレジェンド妖怪の一人。「シヴァラクお待ちください。」という表記が出る程に凄まじいらしい戦いぶりの戦神
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シヴァ神 まとめ
いつも思うのですが、ヒンドゥーの神々はスケールが大きすぎて、人間の私ごときの想像の域を超えてしまって、イマイチよくわからない存在のようにも思います。
ただ、破壊神でありながらひとりの女性を一途に愛し抜く姿には畏敬の念を覚えます。