遥かいにしえの時代、日本の最初の女王と伝えられる「卑弥呼」の為人(ひととなり)を探ってみたいと思います。
「卑弥呼」は邪馬台国を治めた女王、これは誰もが日本史で学んでいます。
けれど、遥かな太古になぜ女性が国を治めることができたのか。不思議に思います。
そして、鬼道で国を治めた巫女って、なんか如何にも曰く因縁がありそう。
さてさて、謎多き最古の女王、卑弥呼とは
目次
卑弥呼、謎多き邪馬台国の女王
卑弥呼の存在は他国、中華(中国)の史書「魏志倭人伝(ぎしわじんでん)」に倭国の女王『親魏倭王』と記されています。
ちなみに「魏志倭人伝」は中国の歴史書「三国志」の中で、魏の国からみた倭人(日本人)の習俗や地理などについて書かれたもの。
『親魏倭王』は魏の皇帝から授かった封号(ほうごう 称号)です。
** 推定される卑弥呼の略歴 **
- ― 出生 不明
- 189年 倭国の王として即位
- 鬼道の巫女として国を統治
- ― 新羅に使者を派遣 詳細不明
- 238年〜239年 難升米を魏に派遣、金印と銅鏡を皇帝から授かる
- ― 卑弥呼死去 (242年〜248年の間)
卑弥呼の謎
卑弥呼が存在した時代は弥生時代から古墳時代にかけての頃と推測されます。
卑弥呼は当時、日本列島にあった国のひとつ「邪馬台国(邪馬壱国)」の女王。約30の国からなる倭国の都に住居していました。
けれど、日本の歴史書には「卑弥呼」を記した書物はなく、その存在は中国の「魏志倭人伝」で伝えられています。
そして、「卑弥呼(卑彌呼)」の名も中国の称で、日本での呼び名は不明。
そのため、これまでに天照大神や宇那比姫命(うなびひめ)、神功皇后など、幾柱の神々の卑弥呼説が残されています。
卑弥呼は常に宮殿の奥で鬼道に従事し、生涯未婚を貫き通します。
王となった後も、1000人の女奴隷を従えていましたが、卑弥呼に会えるのはただ弟のみ。
人前に出ることも少なく、行政や身の回りの世話に至るまで、「弟」が行なっていたと伝えられています。
(ちなみに卑弥呼の弟もまた、月詠命や神武天皇であったという説があります)
鬼道の巫女
卑弥呼の存在は『三国志』魏書東夷伝倭人条に、「輒灼骨而卜、以占吉凶」(骨を焼き、割れ目を見て吉凶を占う)と記されています。
つまり卑弥呼は卜占(ぼくせん 占い)術を行うシャーマン。
夫を持たず、神に使える巫女として「鬼道(きどう)」と呼ばれる呪術によって神の御告げを民に伝え、国を統治していました。
卑弥呼の功績
『三国志』魏書東夷伝倭人条に、「倭国は元は男王が治る国であったのが、国家成立から70〜80年後に国が乱れ、戦乱の後、「卑弥呼」という名の女子を王として共立」と記されています。
なぜ、女性が王に共立されたか、それがなぜ卑弥呼であったのかなど、肝心な部分の多くが謎として残されています。
たた、魏志倭人伝によれば、2世紀の後半、大きな戦乱が起こった倭国を、卑弥呼が女王に即位することで、内乱を治め邪馬台国の30の諸国を統治したこと。
また、景初2年、238年には、卑弥呼は魏の国の皇帝に使者を送ります。
そして金印、金貨とともに「親魏倭王」の称号を授かります。
これによって卑弥呼は邪馬台国の王であることを魏の国に認められています。
卑弥呼の死
卑弥呼の死もまた多くの謎に包まれています。
当時、邪馬台国は狗奴国(くなこく 倭人の国のひとつ)と対立、戦乱の最中に卑弥呼は亡くなっています。
卑弥呼の死については、中国の史書にただ「卑弥呼、以て死す」の記述が残されているのみ。
当時「以て死す」とは、何らかの理由で殺害されている場合が多く、卑弥呼も狗奴国との敗戦の責任を問われる、あるいは、「鬼道」の力の衰えを疑われ殺害されたのかもしれないと思われます。
卑弥呼は約50年、半世紀の期間、倭国を治めていたことになります。
死亡したとき、卑弥呼はすでに70歳以上の高齢であったと考えられます。
その埋葬に際しては、直径二百余歩もある大きな塚を作り、奴婢百余人を殉葬したとされています。
** 卑弥呼の死と皆既日食 **
ちなみに
天文学者斎藤国治は、248年9月5日北部九州で皆既日食が起こり、それが卑弥呼の死に関係すると提唱。
日本史研究家の安本美典は、247年3月24日にも北部九州で皆既日食が起こり、その日食が原因で卑弥呼の魔力が衰えたために殺害。248年の日食の影響で壹与(とよ 卑弥呼の宗女)が卑弥呼の跡を継ぎ、即位したと提唱しています。
かわいい河内弁の「卑弥呼」、アリ、です
無比OROCHIシリーズに登場する「卑弥呼」は身長143cmと小柄、なぜか関西弁のキュートな少女。陽気で楽観的、邪馬台国の卑弥呼とはなんとなく真逆なイメージと思えるキャラで登場しています。
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そしてやはり、手塚治の名作「火の鳥」『黎明編』。
女王「卑弥呼」は新しい国づくりを考える弟スサノオと対立、永遠の命と若さを得るために火の鳥を捕獲しようと考え猿田彦にその命を託します。
日本神話の神々が漫画界の神様手塚治によって新しいストーリーを演じます。
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「ねこねこ日本史」第一話にも登場しています。
「ねこねこ日本史」はそにしけんじ原作、NHK Eテレで放映中のアニメ。歴史上の人物に扮した猫がコメディータッチで歴史上に起こった出来事を紹介します。その第一話が「卑弥呼」。聖徳太子、聖武天皇、藤原道長、源頼朝と続きます。
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卑弥呼 まとめ
個人的には、弥生時代から古墳時代というのは、文明の発達もほどほどで、人はまさにナチュラルに生きていられた時代のようにイメージします。
けれど、卑弥呼という女王が神のお告げによって人々を統治していた。そして、能力が衰えたために人知れず抹殺された、なんて、まんま「火の鳥」の世界。
いかにもダークファンタジーな歴史が繰り広げられていた、しかもそれがノンフィクションなのかもしれないなんて、スゴイ、というしかありません。。。