シルフはスイスの錬金術師パラケルススの提唱する四大精霊の中の風の精霊。
空気と同化し、森を吹き抜ける風になります。
普段なら目には見えない精霊ですが、人間と恋をすることも可能。水の精霊と同じく人間と結ばれると魂が宿ると伝えられています。
人魚姫も原作では最後に風の精霊になったと伝えられるシルフに注目です。
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シルフ、森の妖精
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シルフは、森と風を司る精霊。森に吹く風はシルフの語り声であると伝えられています。
シルフの語源は、ラテン語の「sylva(森)」と、精霊を意味するギリシア語のニンフ『Nymph(精霊)』の組み合わせ、あるいはチョウに変身する昆虫を表すギリシア語Silpheに由来するともいわれます。
美しい女性の姿でイメージされることが多いようですが、シルフShylphは男性の精霊、シルフィードShylpeedは女性の精霊と区別されます。
一般的に民間伝承での精霊は「性別をもたない」「人間でも神でもない存在」。
けれど、一説にはシルフは人間と妖精のハーフ、男女両性の特徴を持つ存在とも考えられていました。
そして次第に、束縛されぬ自由なイメージから、風を身にまとう乙女の姿と考えられるようになります。
シルフは物体と形を持たないものの中間的存在で、自由に姿を作ったり消すことができるといいます。
元は魂を持たない存在ですが、人間と恋をして結ばれれば魂が宿ると伝えられます。
水の精霊ウンディーネと類似していますが、ウンディーネは恋をした人間の心変わりは許されないのに対し、シルフにはそのような罰は無く、自由に恋愛が出来るといいます。
伝承のひとつに貞節な人は死後シルフになるとも伝えられています。
けれど、イギリスの詩人アレキサンダー・ポープは1712年出版の擬似英雄詩『髪盗人』の中で、シルフは神秘的、化学的に凝縮された気難しい女性の体液であるとしています。
虚栄に満ちた女性の魂は天に昇ることができず、霧となり、死後にシルフになるともされています。
シルフの容姿
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シルフは翼を持った美しい女性、または幼い少女の姿。
「空気」や「風」「森」を司る、あるいは象徴する精霊のイメージからか、多くの場合、緑色の衣服を身にまとっています。
また、鳥獣と共に行動するイメージから、背中から羽が生えているよう表現されます。
その羽は羽根のある翼のようなものでなく、トンボのような薄い二対の翅。
元は男女の区別がないものとされていましたが、水の精霊ウンディーネの影響からか、女性とされる場合が多くなります。
ただ、ウンディーネは成熟した女性ですが、シルフは幼女であることが多いようです。
シルフは風の如く、自由に素早く飛び回ります。
けれど、風と同化しているためその姿は透明で、多くの場合人間には見ることができません。
シルフとの出会い方
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ヨーロッパにおいて四大精霊は長い間その存在が信じられていました。
そのため、中世の魔法書には「シルフとの出会い方」という記述が多く残されています。
それによると、風の精霊であるシルフと出会うためには高いところ「教会の尖塔に登る」、「山の頂上で逆立ちをする」というようなものも記されていたようです。
作品になったシルフ
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シルフもウンディーネと同じく多くの作品に登場しています。
シェイクスピア最後の作品『テンペスト(嵐)』の中では、復讐を果たそうとするプロスペローの手下となって魔法を操るエアリエルという名の風の精霊として重要な役割を担います。
ポーランドの作曲家、「ピアノの詩人」と呼ばれるショパンもシルフをモチーフにした「レ・シルフィード」というバレエ作品を創作。
アンデルセンの「人魚姫」では、王子様を殺せずに海に身を投げた人魚姫は風の精霊となって昇天してゆきます。
現代でも多くの場合、シルフはまんまシルフ(?)
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アニメ「ゼロの使い魔」でのシルフは魔法使いタバサの使い魔イルククゥという風韻竜として登場しています。イルククゥは全長6mの古代の幻種に属するドラゴン。
ソーシャルゲーム「幻獣物語2」では、空気と同じ体を持つ風を司る精霊シルフィード
「アナザーエデン・時空を超える猫」では34章のボスキャラ、「シルフの幻霊」として登場。
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「FF14」のシルフは「黒衣森」に住まう人形のような可愛い小柄な蛮族。雌雄はなく、姿を消したり変化したりする幻術に属する魔法を得意とします。
>風の精霊シルフ、まとめ
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シルフはまさに自然の風や清しい空気に舞う精霊というイメージ。妖精らしい妖精をイメージします。
高台で風を感じる時、精霊であるとすれば、その存在も信じたいと思えます。