ウィリー・ポガニー作
アニメやゲームではお馴染みの最強武器ゲイ・ボルグは元はケルト神話の英雄クー・フーリンの愛槍。
クー・フーリンでなければ扱うことができないといわれるほど威力も形状も巨大な伝説の凶器です。
今回はそのゲイ・ボルグに注目です。
歴史に名を残す名器の実態とは
目次
ゲイ・ボルグ 、クー・フーリンにしか扱えなかった愛槍
J・C・ライエンデッカー作
ゲイ・ボルグとは
ゲイ・ボルグ(GáeBolg)は「破裂する槍」「雷の投擲」「蛇腹状の投槍」などの名を持つ、アイルランド神話最大の英雄とされるクー・フーリンの愛槍。
太古、紅海において二頭の海獣クリードとコインヘインが争い、戦いに敗れたクリードの頭骨を用いボルグ・マックベインが造った槍が「ゲイ・ボルグ」です。
予言者で戦士でもある魔女スカアハの手に渡り、武芸の指南を受けたクー・フーリンに与えられました。
(または、魔法戦士である女神アイフェから与えられたという説もあります。)
クー・フーリンはこの槍を用いてコンラ、ローホ・マク・エモニシュ、フェルディアといった戦士を死に至らしめています。
コンラはクー・フーリン自身の息子。
ローホ・マク・エモニシュは敵の刃を跳ね返すほど硬化する皮膚の持ち主、
けれど、その皮膚で守られていない肛門をゲイ・ボルグで貫かれて死亡。
フェル・ディアドもローホと同様に硬化する皮膚の持ち主であり、クー・フーリンとは影の国の戦士スカサハに武術を共に学んだ親友。
ゲイ・ボルグで肛門を貫かれて死亡しています。
ゲイ・ボルグの形状
出典:deviantart
ゲイ・ボルグは凶暴な戦士と化したクー・フーリンにしか扱えなかった槍であったと伝えられています。
その重さは成人男性5人の人間が持ってしか運べないほどの重量があり、長さも巨大化したクー・フーリンの身長と同じほどにあったとされています。
穂先は稲妻のような切れ込みがある銛(もり)のような形状。
一説には、7つの穂先それぞれに7つの棘があったとされます
クー・フーリンは足でこの槍を敵に投擲したとも伝えられており、「ゲイ・ボルグ」の名はこの投擲法から付けられたともいわれています。
ゲイ・ボルグの威力
デビッド・マレー・スミス作
「破裂する槍」の名の通りその殺傷力は凄まじく、
- 投げれば30の矢じりとなって降り注ぎ、突けば30のトゲとなって破裂する、
- 敵軍の全ての兵に逃さず命中し、敵をまとめて貫く。
- 刺された相手は必ず一撃で致命傷を負って死に至る。
- 稲妻のような速さで敵を貫き、全身の細胞に毒を蔓延させ、内臓と血管の隙間に大釘を残す。
- どんな防具も貫く、
- 奇妙な軌道で突き刺さる、無数に枝分かれして刺さる。
- その痛みも激しく、この槍で射抜かれた傷は治らない、刺されたものは必ず死ぬ
- 肉を切りさくことによってのみ、体から取り出すことができる
などなど、
通常の武器では考えられない威力を持った凶器であったと伝えられています。
ゲイ・ボルグ、現代でも最強アイテム、
「ファイナル・ファンタジー14」でのゲイ・ボルグは竜騎士の古の武器。ジョブクエスト『蒼の竜騎士』レベル50と『伝説の武具職人』をクリアして、『蘇る古の武器』を受注し、入手。
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『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』の伝説の武器「地槍ゲイボルグ」は十二聖戦士が遺した聖遺物の1つ。
ダーナ砦の奇跡」で、槍騎士ノヴァが神から授かった宝槍。レンスター王家に代々受け継がれる「使い手に悲しみをもたらす不吉な槍」
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『Fate/stay night』ではランサークー・フーリンの宝具。ただし表記は「ゲイ・ボルク」。
「突き穿つ死翔の槍」「貫き穿つ死翔の槍」「刺し穿つ死棘の槍」「蹴り穿つ死翔の槍」「抉り穿つ鏖殺の槍」などの同系統の宝具があります。
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ゲイ・ボルグ まとめ
スティーブン・リード作
ゲイ・ボルグは身体を貫き、敵を最大限に痛め苦しめて死に至らしめる武器。
己が意志ではないとはいうものの、クー・フーリンはこれを用いて我が子や親友を殺してしまうことになります。
たとえ敵であろうと、痛い思いはできるだけさせないように死なせてあげたいと思うもの。
まして親友や我が子をゲイ・ボルグのような凶器で自らが殺してしまった。
英雄のあまりにも哀しい定めが垣間見えます。