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コカトリス、バシリスクから生まれた中世ヨーロッパの幻獣

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出典:deviantart

コカトリスは雄鶏と蛇の尻尾をあわせたような姿を持つ伝説上の幻獣です。

しばしばバジリスクと混同されるこの幻獣はルネサンス時代まで、神話や伝説にだけでなく、実在する動物だと思われていました。

今回は伝説に語られてきたコカトリスのご紹介です。

 

 

コカトリス 目で殺す混成幻獣

ニューヨーク  ベルヴェディア城

コカトリス( Cockatrice)は、中世ヨーロッパの伝承に登場す伝説上の幻獣。コッカトライス、フランスではコカドリーユとも呼称されます

バシリスク同様石化能力を持つ、バシリスクを元にして生み出された怪鳥

様々に伝えられているコカトリスですが、中世の聖書の中にはコカトリスが登場するものもあり、当時の多くの人々はコカトリスが実在すると信じていたと伝えられています。

 

コカトリスの容姿

出典:deviantart

その姿はさまざまに語られていますが、おおむね大きな鶏冠を持った雄鶏の首と胴体に、蛇の尻尾を持ち、コウモリのような羽が生えた混成幻獣として描かれることが多いようです。

また、雄鶏の頭に細身のドラゴンの身体(タツノオトシゴのような)を持っている姿、

白い斑点のある黄金の羽毛に覆われ、先端が3角形に尖った毒の尾をもつ4本足の雄鶏とも伝えられています

 

コカトリスの誕生

出典:deviantart

コカトリスの誕生については神秘的な言い伝えが残されています。

7歳の雄鶏が産んだ卵をヒキガエルが9年間暖め、シリウス(おおいぬ座の恒星)の昇った日に誕生。

飼い主から少しずつ血を吸って成長し、その人間をやがて死に至らしめるといわれます。

 

コカトリスの能力と習性

出典:deviantart

バシリスク同様、飛翔能力を持ち、炎を吐く怪鳥

甲高い声で鳴き、見たものを石に変え命を奪う死の凝視を持ち、頭上を飛んでいる鳥でさえにらみ殺してしまいます。

吐く息は疫病の元となる猛毒。その威力は人に槍で襲われるとその槍を伝って襲った人間を死に至らしめ、乗っているウマまでも殺すと言われます。

水を飲んだだけでその水場は長期間毒で汚染され、さらにはコカトリスの臭いを嗅いだだけでも死に至ります

そこにいるだけで周囲の土壌を汚染し、草は焼け、岩は砕けてしまいます

けれど意外にも草食性主食とする草だけはコカトリスの毒に耐性があるためその草だけが生い茂っている地域は、近くにコカトリスがいる警告でもあるとされました。

 

コカトリスの発祥

毒蛇を食べるマングース。実はこれがコカトリスと大きなかかわりがあるのです。

コカトリスの名はエジプトのマングースに由来すると伝えられています。

古代ギリシャでは、エジプトのマングースを「イクネウモーン(後を追うもの)」呼ばれていました。

これがラテン語のカルカトリクス「Calcatrix」、古フランス語のコカトリイス「Cocatris」を経てコカトリス(Cockatrice)になったと言われます。

イクネウモーン(エジプトマングース)は本来は蛇を食する動物ですが、中世にはバジリスクと混同され逆に蛇の怪物として、名称にコック(雄鶏)が付いていたために頭部が鶏冠のついた雄鶏となったとされます。

ちなみに、他説にはクロコダイル(Crocodile)が訛ってコカトリス(Cockatrice)となったというものもあるとか

 

コカトリスとバジリスク

同じくゲームや映画に登場するバシリスクとは同種、雌雄であるという説もあります。

14世紀にイングランドの詩人ジェフリー・チョーサーによる著書「カンタベリー物語」の中でバリリスクがバシリコック (Basilicok)という名前で登場したのがきっかけで、次第にコカトリスに変化していったともいわれています。

その姿も胴体が蛇であったものが、首から上と下肢は雄鶏、胴と翼はドラゴン、尾は蛇と変貌してゆきます。

バシリスクの進化系がコカトリス、またはCock(雄鶏)は予知能力を持った、バシリスクを殺せる鳥であるとされたことから、バシリスクに対抗する存在としてコカトリスが生まれたという説も存在します。

 

ちなみにコカトリスが更に進化した種として、コカトリスにドラゴンのイメージも加えられたアムフィシーンという怪鳥も生まれています。この怪鳥は口から猛火を吐く特徴を有します。

 

ゲームの中のコカトリスとバシリスク

出典:deviantart

バジリスクとコカトリス、両者ともゲームの中では蛇と鶏が混ざった姿で登場します。

けれど、蛇に近いものがバジリスク、鶏に近いものがコカトリスとイメージされます。

数多くのゲームやアニメを彩ってきたコカトリスではありますが、相方とも言うべきバジリスクが「ハリー・ポッターと秘密の部屋」などで堂々たる悪役ぷりを見せていることを考えると、昨今のコカトリスの扱いは少し不遇されている気もします。

二体の語られる殺傷能力に違いはないのですが、蛇の王とも言われ神話級の大蛇の姿で描かれるバジリスクと、牧歌的な鶏の部分がクローズアップされてしまうコカトリスでは、やはりバジリスクの方が強敵として描きやすいのかもしれません。

 

 

コカトリス  ゲームの中では意外とザコ?

ゲームやアニメにもたびたび登場するコカトリス。多くの場合は敵として、それもあまり強くはない敵としてあらわれます。

有名なRPGシリーズである「ファイナルファンタジー」にも敵キャラとして各作品に登場しています。「ファイナルファンタジー15」では、大きな体と長く毒のある尻尾を使い主人公たちを苦しめます。

しかし羽は退化していて飛ぶことはできないようです。

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スマートフォン向けのゲームアプリ、「ぷよぷよクエスト」や「モンスターストライク」にもコカトリスは登場します。

どちらも鶏の要素が強調されており、コミカルな印象のキャラクターになっていますが、石化の息をはいたり、毒の衝撃波を放ったりと、本来の特性は損なわれていないようです。

 

 



コカトロス まとめ

ギリシア・ローマ神話に特に多い、実在する動物を混ぜ合わせた混成幻獣たち。その中でも特に恐ろしい能力を持つコカトリス。

メソアメリカの神話に出てくる羽毛のある蛇、ケツァルコアトルは人々にトウモロコシと知識を与えた英雄的な神様です。同じような姿で描かれるコカトリスは倒すべき凶悪な敵……。

ところ変われば神話も幻獣もさまざまに変わっていきます。

それがおもしろいところではありますが。

 

 



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