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オンディーヌ、戯曲、バレエになった水の精霊ウンディーネ

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オンディーヌは水の精霊ウンディーヌのフランス語。 

ウンディーヌは愛されることで不滅の魂が得られるという美しい女性の妖精。 

さまざまな作品の中で、微妙に異なった物語が展開しています。 

アンデルセンの童話『人魚姫』もウンディーヌの悲恋を元に生まれています。 

そして、オンディーヌも戯曲やバレエ、絵画の題名となって世に知られています。 

そこで、その戯曲とバレエで語られるそれぞれの物語をご紹介。 

 

さまざまに描かれる『オンディーヌ』とは 

 


 

オンディーヌ、戯曲、バレエ、それぞれに違う悲恋の物語 

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス作

オンディーヌとは 

オンディーヌ(Ondin)はパラケルススが提唱する四大精霊の中の水の精霊・ウンディーネのフランス語読み 。

美しい女性の精霊で、人間と結ばれることで不滅の魂を得ることができるとされ、さまざまな悲しい結末の作品となっています 

 

パラケルススのウンディーネは 

  • 1811年フリードリヒ・ド・ラ・モット・フーケの小説『ウンディーネ』
  • 1837年、デンマークの童話作家・ハンス・クリスチャン・アンデルセンの『人魚姫』 

となり 

その後もフーケの『ウンディーネ』の物語を元に、戯曲、オペラ、ピアノ曲などさまざまな作品が生まれています 

フーケの『ウンディーネ』→

 

戯曲『オンディーヌ』

1965年

1938年、フランスの劇作家ジャン・ジロドゥによる戯曲 

水の精霊オンディーヌと騎士・ハンスとの悲恋 

婚約者からに出るよう命じられた放浪の騎士・ハンスは森の中で水の精霊オンディーヌと出会い、悲しい結末の物語が生まれます、 

1939年、パリのアテネ劇場で初演。 

1954年にはニューヨークでオードリー・ヘプバーンがオンディーヌとなった舞台が上演。幾つものアワードを受賞しています。 

 

あらすじ 

第1幕 

雷雨となった夜の森。 

養女・オンディーヌの帰りを待つ、湖畔の漁師小屋に住む老夫婦のオーギュストとユージェニーのもとに、宿を求め騎士ハンスが訪れます 

ハンスは王の養女の婚約者 

修業のため森を散策、この小屋に辿り着きます。 

老夫婦がハンスをもてなす中、オンディーヌが帰宅。 

オンディーヌはハンスに一目で恋に落ち、ハンスに求愛 

婚約者のいるハンスの身の上に機嫌を損ねる奔放なオンディーヌのふるまいにハンスはあっけにとられるものの、ハンスもまたオンディーヌに惹かれてゆきます 

老夫婦は、実の娘が生後間も無くさらわれ、湖のほとりで見つけたオンディーヌを娘と思って育てていること。そのオンディーヌは水にまつわる不思議な力を持っていることをハンスに語ります 

そんなオンディーヌの身の上も気に留めることなく、ハンスは老夫婦にオンディーヌとの結婚を申し出ます。 

ふたりの仲を邪魔しようと、水の精たちはハンスを誘惑しますが、オンディーヌはそれを防ぎます。 

水界の王は「その男に裏切られることになる」と忠告。 

オンディーヌの気持ちは変わらず、水界の王との契約が成立します。 

 

第2幕 

その後ふたりは王宮へ帰還。 

結婚に際し、侍従はオンディーヌに式典での礼儀作法を伝えようとしますが、人間界の礼儀を理解できないオンディーヌには伝わりません。 

式が行われる仲、オンディーヌと式に列席しているハンスの婚約者であったベルタは争いとなり、オンディーヌはベルタがオーギュストとユージェニーの子であることを暴露 

ベルタは実の両親と対面。 

けれど、ベルタは二人を下賤な者と蔑みます 

王は、ベルタの態度に失望し、王宮からの追放を命じます 

行き場を失ったベルタはハンスの城で共に暮らすことになります 

 

第3幕 

共に暮らすことになったオンディーヌは姿を消し、ハンスとベルタの中は深まり、ふたりの結婚が決まります 

そんな仲、巷で噂されるオンディーヌの不貞、裏切りを恨むハンスはオンディーヌを告発。 

裁判が開かれることになります。 

そこで水界の王はオンディーヌの潔白を証明し、閉廷。 

オンディーヌは水界の王にハンスの裏切りを認め、自分が先に裏切ったと思わせたかったと告白します。 

水界の王は、ハンスの命はすぐになくなること、そして、水の精たちが3度オンディーヌの名を呼び、三度目に名を呼んだ瞬間、人間界での記憶が消滅することを告げます 

 

ハンスはオンディーヌを訪れ、自分の想いを切々と語り続けます 

その時、オンディーヌの名を呼ぶ第一の声が聞こえてきます。 

ハンスがオンディーヌの許しを求める中で第二の声。 

うろたえるオンディーヌの前でハンスは息絶え、そして第三の声が響きます。 

ベルタの罵りを受けながら、けれどオンディーヌはその時すでに全ての記憶を失っていました 

ハンスの遺体を見て、オンディーヌは水界の王にこの人を生き返らせることはできないのかと尋ねます。 

水界の王は「無理」と返答。 

オンディーヌは「すごく残念。きっと好きになったのに」と言い残し、去ってゆきます 

 

バレエ 

ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ作曲、フレデリック・アシュトン振り付けの『オンディーヌ』。 

初演は1954年、ロンドンのコヴェントガーデン王立劇場において英国ロイヤルバレエ団によって行っています。     
    

        

あらすじ 

昔々、パレモンという騎士がいました。 

ベルタ姫を慕うパレモンは宝石のついたお守りをささげてベルタに想いを告白。 

けれど、ベルタはバレモンの求愛を無視します。 

失意のパレモンのもとに水の精オンディーヌが現れます 

美しいオンディーヌに魅入られたパレモンはオンディーヌを抱擁 

パレモンの心臓の鼓動にふれたオンディーヌは、驚いて神秘の森へと逃げ去ってしまいます。 

オンディーヌを追って駆け出すバレモン。 

その様子を見ていたベルタも嫉妬にかられ、ふたりの後を追います。 

 

オンディーヌの虜となったパレモンはオンディーヌに求婚、ふたりは結ばれます 

けれど、地中海の王ティレニオは、パレモンはオンディーヌを裏切り、オンディーヌはパレモンを殺さなければならなくなると反対。 

水の世界には、人間の男が水の精を裏切れば、精は自ら裏切った男を殺さなければならない掟があるのです。

けれど、ふたりはティレニオの反対を押し切って結婚 

 

夫婦となり、船に乗るふたりを追って、ベルタも船に乗り込みます。 

パレモンがかつてベルタに贈ろうとしたお守りをオンディーヌに与えたことで、嫉妬心に駆られたベルタが逆上、船上でのいざこざが起こります。 

オンディーヌの不思議な力に恐怖した水夫たちはオンディーヌを海に投げ込み、地中海の王ティレニオは嵐を起こし、オンディーヌを連れ去ってしまいます。 

嵐で船は沈没。 

パレモンとベルタだけが助かります。 

 

オンディーヌに去られたパレモンはベルタと結婚 

オンディーヌは掟に従ってパレモンの命を奪わなければならなくなりました

パレモンのもとに現れたオンディーヌに、パレモンは自分が愛しているのはオンディーヌであることを悟ります。 

深い悲しみの中、オンディーヌは死の口づけでパレモンの命を奪います

そして、水の世界でオンディーヌはパレモンの亡骸をいつまでも抱きしめていました。 

 


 

オンディーヌ、手塚治虫も手がける戯曲 

オンディーヌは手塚治虫も1981年から1982年にかけて連載された『七色いんこの20話で登場。 

主人公「七色いんこ」はどんな役もこなす、代役専門の舞台俳優で毎回有名な演劇を披露。 

20話でジャン・ジロドゥの戯曲『オンディヌ』を演じています。

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オンディーヌ 海辺の恋人 2009年公開。コリン・ファレル、アリシア・バックレーダ主演作品。  

貧しい漁師のシラキュースはある日、網にかかったオンディーヌと名乗る美しい女性を引きあげます。 

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オンディーヌ まとめ 

イラストレイテド・ロンドン・ニュース

恋愛って、立ち位置や言動でもどちらが加害者でどちらが被害者なのかなんて変わってくるように思います。 

悲恋も裏切られた当人の心の持ちようでハッピーエンドにもなる。 

 

けれど、やっぱ簡単に心変わりするってのはいただけません。 

失いたくなければ放さなければいい、で上手く手綱を操る賢女もいるのでしょうけど。 

 

私自身は、浮気(戻ってくるを前提に)を許せるか否かはケースバイケース。 

基本的に許せないタイプなんで、成就させるのは至難の業。 

そんなタイプが大半なんじゃないかな、、難しい課題です。 

 

で、個人的には、この物語の核心は「オンディーヌの恋人は裏切れば死んでしまう」を知っていたか。 

知らずに死ななければならなくなったのなら御愁傷様です、って思います。 

まあ、自業自得ですけどね。 

 

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