waqwaq

ケルト神話・伝説 怪獣・魔物・妖精

ディーナ・シー、妖精になったケルトの神々ダーナ神族(トゥアハ・デ・ダナーン)

更新日:

アーサー・ラッカム 作

妖精とは精霊が形になったものというイメージがありますが、アイルランドの神話ではトゥアハ・デ・ダナーンという神々が妖精ディーナ・シーになったと伝えられています。

「マビノギ」とともにケルト神話を代表する「ダーナ神族」がなぜ妖精になったのか、そして神族がなった妖精ディーナ・シーとは

 

 

英雄妖精ディーナ・シー

アーサー・ラッカム 作

ケルト神話を大別すると、イギリスウェールズ地方の存在する「マビノギ」、そして、アイルランド神話として語られる「ダーナ神族」「トゥアハ・デ・ダナーン」とに分かれます

ダーナ神族とはアイルランドに上陸した4番目の種族。5番目の種族ミレー族との戦いに敗れ、海の彼方に逃れディーナ・シーとなって、「ティル・ナ・ノーグ(常若の国)」「目に見えぬ妖精の国」を地下に作り、移り住むことになります。

 

ディーナ・シー 

ディーナ・シー(Daoine Sídhe)はアイルランドの妖精の総称

「小さな人々」を意味し、「ディーナ・オシー(Daoine o'sidhe)」「ディーナ・ベガ(Daoine Beaga)」とも呼ばれます。

ミレー(マイリージァ・人間)族にアイルランドの主権を奪われた後、アイルランドにとどまったトゥアハ・ディ・ダナーン(Tuatha De Danann)は、妖精となって丘陵や地下に逃れ、多くの妖精伝説が生まれます

 

ディーナ・シーの特徴

スティーヴン・リード 作

アイルランドにはマイリ-ジャ(ゲール族)と呼ばれる目に見える種族と、シーと呼ばれる目に見えない種族の2種類が存在すると伝えたれています。

シーとは本来は「土の塚」「丘」を差す言葉、けれど次第にその下に棲む不思議な存在を指す言葉として使われるようになってゆきます。

 

ディーナ・シーは、シー(細長い塚)、湖、森、海に住まいます。

人間に似た姿で、時には人に見えない存在となり、天候を変えたり、植物の生命を操り、不思議な治癒力を持つといわれます。

性格は気まぐれで、時として乱暴で戦いを好む英雄妖精。人間の花嫁や赤子をさらうなどの悪行を起こします

人々はそれを防ぐため牛乳を捧げ、彼らをなだめます。

 

ディーナ・シーは王と王女が支配する、群れをなす妖精

宴会やパレード、踊りを好みます。

彼らの世界には年に3回の大きな祭りがあります。

ベルティネ祭、ヨーロッパの5月の宵祭りには収穫を祈り、出来の良い穂を争います。

聖ヨハネを祝う盛夏の宵祭りには全ての丘にかがり火をともし、サウィン祭(ハロウィンの前夜祭)には、妖精たちは幽霊と一緒に踊り、冬の始まりを知らせます。

 

「英雄妖精」ディーナ・シー

スティーヴン・リード 作

ディーナ・シーは戦闘能力に長けた典型的な「英雄妖精」

一説ではトゥアハ・デ・ダナーンの勢力が衰えて、フィアナ騎士団の英雄となり、妖精になったと考えられるとおり中世の騎士に似た行動をします。

騎士と同じ様に馬に乗って妖精行列を行い、歌や踊りを好む、ダーナ神族の持つ要素を受け継いだ妖精と思われます。

 

ディーナ・シーの容姿

アーサー・ラッカム 作

『アイルランドの妖精譚と昔話』(W.B.イェイツ:著)では、「美しく、羽を持つものもあり、人間と同じほどの背丈。騎士のように馬に乗り、妖精行列を行う。歌や踊りを好み、陽気で時に残酷」な妖精と伝えています

ディーナ・シーは、一見中世ヨーロッパの王侯や貴族や騎士のようないでたち

時には人間と同じ大きさであったり、それ以上の大きさになったりもしたといいます

けれど、アイルランドにキリスト教がもたらされた後、妖精らしいの大きさに縮小。体長20~30cmの高貴な妖精たちとなったとされています。

 

ディーナ・シーの騎馬行進

ディーナ・シーの騎馬行列” フェアリー・ライド(妖精の騎馬行)”はアイルランドではしばしば目撃されています。

夜間に、くつわがなる音や、ひずめの音、妖精たちの歌声が聞こえてくることもあるといいます。

王を先頭に、黄金の縁取りのある緑の外套で着飾った騎士達が続きます

彼らは黄金の槍を持ち。銀の蹄鉄に金のくつわをした素晴らしい馬を従えます。

ラース(円形土砦)や、トゥアハ・ディ・ダナーンの墓地、巨石の丘に向かい、そこで彼らは夜が明けるまで歌と踊りに興じます

 

トゥアハ・ディ・ダナーンディーナ・シーになるまで

アーサー・ラッカム 作

ケルト人の祖ミレー(マイリージァ・人間)族にアイルランドの主権を奪われた後、ミレー族とダーナ神族は契約を交わします。

これは地上はケルト人(人間)が支配し、ダーナ神族は地下を支配するというもの。

トゥアハ・ディ・ダナーンは、この契約によって、神として崇拝されることになります。

けれど、他説でのディーナ・シーは天から追放された堕天使であるといわれています。

悪意のないいたずら程度のものなので、地獄にまで堕ちなかったものたち。

人間が創造されるずっと以前に、地上や海に落ちて神となったものたちであると伝えられています

 

 

今どきのギャルになったディーナ・シー

ソーシャルファンタジーカードバトル「精霊ファンタジア」のディーナ シーは魔物退治の冒険に挑戦する萌え擬人化された美少女精霊

ーーーーーーーーーーー

ソーシャルゲーム「マビノギ」のディーナ・シー ・シーは、力を失い、長い歳月を経て妖精族となった、かつてエリンを治めていたトゥアハデダナン。戦場の仲間として誰より頼れる助言者となる存在です。

ーーーーーーーーーー

エレメンタルストーリー」のディーナ・シーは木属性を持ったスピリット種族。30000マナ召喚・クリスタル召喚で入手。

ーーーーーーーーーー

ディーナ・シー まとめ

アーサーラッカム 作

ケルト神話でまず思い浮かぶのがアーサー王の物語。騎士道やナイトがまずイメージされます。けれど、ケルト神話も他のギリシャ神話や北欧神話と同じ様に、妖精や怪獣、魔法が効力を発揮するダークでファンタジーな世界観が存在します。

「ほのぼの」をイメージさせるかもしれない本来の「マビノギ」も英雄妖精「ディーナ・シー」も同じ様に戦いの物語。平穏とは言い難いですよね。

 



** 関連記事 **

Copyright© waqwaq , 2024 All Rights Reserved.