節分の翌日は立春、暦の上ではこの日から春のスタートです。
最も寒さが厳しい時期であるというものの、梅の花も咲き始め、ウグイスも鳴き始める頃。
満開の桜の、春爛漫な時期もいいけれど、こんな早春のうららかな日差しも清しいです。
目次
「立春」
立春(りっしゅん)は二十四節気の1番目。
現在の定気法では太陽黄経が315度のとき。
2024年の立春は、2月4日(日)、および雨水(2月19日の前日)までの期間をいいます。
『暦便覧』では「春の気たつを以て也」春の気配の立つ頃。
暦の上では立春から立夏の前日までが「春」。
旧暦ではこの日が一年の始まりとなる日。春が正月と重なっていたため、現代でも正月を「新春」「迎春」と表現するのはその名残。
この季節に吹く南寄りの暖かい突風を「春一番」といいます。
二十四節気の最初の節気であるため、立春を基準にさまざまな節目が数えられます。
- 八十八夜…立春から数えて88日目。この日に摘んだお茶の葉は霜の影響を受けないため、良質なお茶になるといわれています。
- 二百十日…立春から数えて210日目。この日は台風が来る可能性が高くなる日。収穫前の農家にとっては要注意な厄日です。
- 二百二十日…立春から220日目。二百十日と同じく、台風が来る可能性の高い日。
** 立春大吉 **
立春のこの日、禅寺の入り口には「立春大吉」と書いた紙札を貼る習慣があります。これは文字を縦に書くと左右対称であるところから、「話を分け隔てなく聞き、公平に接することで、大きな災難に巻き込まれない」という謂れのもの。「厄除け」のお札として各家庭でも使用されます。
** 立春と節分 **
節分は本来季節を分ける節目をいいます。その季節を分ける日は一年に4回、「立春」「立夏」「立秋」「立冬」。これらの始まる日の前日が「節分」。文武天皇の時代、宮中で、特に新しい年の始まりとなる立春の前日に厄を払うための豆まきが行われるようになったことが今日に至っています。
** 立春とひな祭り **
3月3日のひな祭りに飾られる雛人形。片付けは早い方が良いといわれていますが、飾る時期については立春を過ぎた頃からが良いというのが一般的。これは節分で厄を払った後に飾るということになるため。
「雨水」に飾ると良縁に恵まれるという言い伝えもあります。
** 2月8日 事始め **
年末12月8日の事納めと同じく、2月8日は、新たな年の営み「事始め」を迎えます。
この12月8日と2月8日を「事八日(ことようか)」といい、針供養をしたり、お事汁を食べ、その年の無病息災を祈います。
「立春」の頃、七十二候
初候(2月4日頃〜2月8日頃) 東風解凍(はるかぜ こおりを とく):東風が氷を解かし始める頃
春の風が張り詰めていた氷も溶かし始め、春の気配を感じられる頃。
次候(2月9日頃〜2月13日頃) 黄鶯睍睆(うぐいす なく):鶯(うぐいす)の鳴く声が聞こえ始める頃
ウグイスの鳴き声は日本の春を告げる風物詩。その年の一番初めに聞くウグイスの声を「初音(はつね)」といいます。
末候(2月14日頃〜2月18日頃) 魚上氷(うお こおりを のぼる):氷が割れ、その間から魚が飛び出る姿が見られる頃
暖かくなった水温に魚の動きも活発になって、氷の合間からその姿も見られるようになる頃。
「二十四節気」とは
二十四節気は、一年を春・夏・秋・冬の季節に分け、それぞれをさらに6分割した24の期間に名前をつけたものです。現在でも季節の節目を示す言葉として使われています。
二十四節気の名称は、中国で考案された当時のものがほぼそのまま使われています。考案当時の文明の中心であった黄河の中・下流域の気候を反映しており、日本よりも寒冷で大陸的な気候のため、日本の気候とは多少ずれがあります。太陽黄経が30の倍数であるもの(春分・穀雨など)を中(中気)、そうでないもの(清明・立夏など)を節(正節、節気)と言い、節気から次の節気の前日までの間を一ヶ月とする月の区切り方を節切り、その月を節月と言います。季語の分類も主として節切りで行われています。
夏至・冬至の二至、春分・秋分の二分を併せて二至二分といい、立春・立夏・立秋・立冬を四立、二至二分と四立を併せて八節と言います。二十四節気をさらに約5日づつの3つに分けた、七十二候という分類もあります。
立春の頃の行事
涅槃会(ねはんえ)
2月15日はお釈迦様がお亡くなりになった日。
お釈迦様は紀元前383年、80歳でなくなったと伝えられています。この日、全国の寺院では厳かに「涅槃会」が執り行われます。
涅槃会は仏教において三大年中行事のひとつ。
涅槃とは、一切の煩悩(ぼんのう)から解脱(げだつ)した境地をいいます。
この日、入滅のときが描かれた涅槃図が公開され、「仏遺教経」が読経されます。
涅槃図は、頭を北に向け、心臓のある左側を上にし、西を向いて横たわっているお釈迦様の涅槃のときを描いた貴重な仏教美術。
その姿から、西には「西方浄土」があり、亡くなった故人を「北枕」で寝かせることになったといわれます。
特に奈良の興福寺の涅槃会は紀元750年頃から行われている、長い伝統のある法要として有名です。
梅祭り
この季節、日本各地で早春を彩る日本の美、満開の梅が咲き誇ります
** 静岡県 熱海梅園 **
約1万4000坪の園内には、早咲きの梅から遅咲きの梅まで、樹齢100年を越える梅の古木を含め、60品種・469本の梅が見頃を迎えます。
園内を流れる初川には漸佳・迎月・雙眉・駐杖・香浮の「梅園五橋」が架かり、古式豊かな日本の美を堪能です。
- 見頃は1月中旬~3月上旬
- 静岡県熱海市梅園町8-1
** 山梨県 不老園 **
不老園は甲府盆地北側山麓に位置する、山梨県屈指の梅の名所。
富士山や南アルプスを一望できるロケーションの中、樹木や奇岩の間を迷路のように進む遊歩道を歩きながら、見事な梅の開花を堪能です。
- 見頃は2月上旬~3月下旬
- 山梨県甲府市酒折3丁目4-3
** 京都府 下鴨神社**
京都「下鴨神社」は世界文化遺産にも登録されるお社。境内を流れる御手洗川には朱塗りの橋「輪橋」が架かかり、「光琳の梅」の名称で親しまれる見事な紅梅が楽しめる梅の名所でもあります。
その他、京都には「北野天満宮」や「二条城」など、梅の名所も点在します。満開の梅を求めて京の街を散策するのも楽しいですっ。
- 京都府京都市左京区下鴨泉川町59
** 天満宮 **
学問の神様菅原道真公を祀る天満宮は梅の名所としても有名です。
全国に1万社以上あるといわれる天満宮の中でも、京都の「北野天満宮」、福岡の「太宰府天満宮」、山口県の「防府天満宮」、東京の「湯島天満宮」などが梅の名所としても知られています。
立春 まとめ
立春の頃、節分、バレンタイン・ディー、ひな祭りと、催し事が続く時期、いつの間にか、気付けば春。
毎年そんな春の訪れを迎えています。
一年で一番寒い時期とはいうものの、梅の花も咲き始め、畑や畦道にはつくしや、ふきのとうも顔を出しています。ちょっと自然を散策すれば、ウグイスの鳴き声も期待できるかも。
当たり前なことですが、「立春」、やはり、春が立つ、早春を体感できる季節です。