夏至、夏に至る季節の到来。
日本列島の多くは梅雨に入り、雨に濡れる菖蒲や紫陽花、睡蓮が見事に咲き誇るころ。菖蒲や紫陽花はいにしえの宮中をイメージさせる花。日本の風情を満喫できる季節なのかもしれません。
雨の日の休日、何か新しいことを始めるきっかけの時でもあるように思います。
目次
「夏至」
夏至(げし))は二十四節気の10番目。
太陽が黄道上最北にある夏至点を通過する時刻、これを含む日を夏至といいます。
北半球では、昼の時間が最も長く、夜の時間が最も短い日。冬至と比較すると、昼間の長さは4時間以上。この日を境に次第に昼が短く、夜が長くなってゆきます。
現在の定気法では太陽黄経が90度のとき。
2024年の夏至は、6月21日(金)、および小暑(7月6日の前日)までの期間をいいます。
北海道を除く日本のほとんどの地域は、夏至の前後およそ20日、梅雨の期間を迎えます。
農家では田植えに繁忙を極める頃。
夏至より11日目にあたる半夏生(はんげしょう)、または半夏(はんげ)、田植はこの日までに終わらないと、「半夏半作」といって収穫が半減するという古くからの言い伝えがあります。
沖縄では、この頃に吹く季節風を「夏至南風」といい、この風が吹くと梅雨が明けて本格的な夏が訪れるといわれています。
夏越の大祓
「夏越の大祓(おおはらえ)」とはその名の通り半年間の穢れを落とす行事。半年後の12月には「年越の祓」が行われます。
全国の多くの神社では6月30日「夏越の大祓」、12月31日「年越の祓」が行われます
「茅の輪くぐり」
お祓いの参拝者は神社の境内に作られた大きな茅の輪の中をくぐります
この時、唱え歌を唱えながら、8の字を書くように3度くぐり抜けます。
茅の輪をくぐることで、この半年間の穢れを祓い、後の病気や災いを免れることができるとされています。
「夏越の大祓(おおはらえ)」の起源は
この「大祓(おおはらえ)の起源は古く、天地創造の時代にまで遡ります。
黄泉の国から戻った伊耶那岐命(イザナギ)が黄泉の穢れを落とすために行った「禊の祓い」に由来しています。
人形(ひとがた)で厄祓い
人形(ひとがた)とは、紙の形代(かたしろ)。人形(ひとがた)に切り抜いた人形に名前や年齢などを書き、それに触れたり息を吹きかけることで罪やケガレを移し、神社に納めます。
それを篝火で焚いたり川に流すことで厄を落とします。
「水無月」を食べて厄落とし
昔、宮中では旧暦6月1日には「氷の節句」が行われていました。
冬にできた氷を口にして夏の健康を祈るというもの。
けれど、氷など口にはできない庶民のために、氷をかたどった生地に厄除けの小豆を散らしたお菓子「水無月」が出来上がります。
現在でも、夏越の祓の日の和菓子として親しまれています。
夏至の頃の七十二候
「夏至」の頃、七十二候においては下記のように表現されます
初候(6月21日頃〜6月25日頃) 乃東枯(ないとう かるる):
「靫草(うつぼぐさ)」「夏枯草」(かこそう)とも呼ばれる花が枯れる頃。夏の花が開花するという時期に、枯れていく花に思いを寄せた古人の風情が表現されています。
次候(6月26日頃〜6月30日頃) 菖蒲華(しょうぶ はなさく):
昔は「アヤメが咲けば梅雨入り」と考えられていました。ちなみに、アヤメと同じに見える花にカキツバタ、花ショウブがあります。違いは花びらの根元に複雑な編み目模様があれば「アヤメ」、花びらの根元に白い線があれば「カキツバタ」、黄色い模様があれば「ショウブ」です。
末候(7月1日頃〜7月6日頃) 半夏生(はんげ しょうず) :
「半夏生」は夏至から数えて11日目、田植えを済ませた農家が休息を取る日。半夏(烏柄杓からすびじゃく)が生える頃であり、半夏生の名をもつ草の葉が白く染まる頃でもあります。
「二十四節気」とは
二十四節気は、一年を春・夏・秋・冬の季節に分け、それぞれをさらに6分割した24の期間に名前をつけたものです。現在でも季節の節目を示す言葉として使われています。
二十四節気の名称は、中国で考案された当時のものがほぼそのまま使われています。考案当時の文明の中心であった黄河の中・下流域の気候を反映しており、日本よりも寒冷で大陸的な気候のため、日本の気候とは多少ずれがあります。
太陽黄経が30の倍数であるもの(春分・穀雨など)を中(中気)、そうでないもの(清明・立夏など)を節(正節、節気)と言い、節気から次の節気の前日までの間を一ヶ月とする月の区切り方を節切り、その月を節月と言います。季語の分類も主として節切りで行われています。
夏至・冬至の二至、春分・秋分の二分を併せて二至二分といい、立春・立夏・立秋・立冬を四立、二至二分と四立を併せて八節と言います。二十四節気をさらに約5日づつの3つに分けた、七十二候という分類もあります。
夏至の頃の行事
二見興玉神社 夏至祭
出典:pinterest
三重県伊勢市二見興玉神社では夏至祭が行われます。古くから二見浦一帯は、伊勢参宮を控えた人々が心身を清め、禊祓した霊験新たかな聖地。
夏至の前後1ヶ月は夫婦岩の間から朝日が昇る季節でもあります。
『夏至祭』は夏至の日の出と共に禊をする祭典として夫婦岩の前で、日の出の時刻(午前4時40分頃)に合わせて禊行事が行われます。
日本各地に残る夏至に行われる風習や言い伝え
- 関東地方 新小麦で焼き餅を作って神に供える
- 島根県、熊本県 小麦で団子やまんじゅうを作って神に供える
- 大阪 稲の根が地面に広がりつくようタコを食べる(夏至から半夏生まで)
- 熊本県阿蘇(あそ)地方 「チュウはずらせ、半夏は待つな」、田植は夏至よりすこしあとに、半夏を過ぎないよう行うようと伝えられています。
- 熊本県 夏至の日に馬に青草を食べさせてはいけない。
- 秋田県 半夏の日に草で目を突くと盲目になる。
夏至 まとめ
「夏至」が過ぎれば陽のさす時間が短くなる、もう、今年も後半に入るのだなっと思います。
どんどん一年が短くなる、年をとるのがはやくなります><。。