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ギリシャ神話・伝説 怪獣・魔物・妖精

カリスト、アルカス。おおくま座・こぐま座になった悲しい経緯

更新日:

フランソワ・ブーシェ作  1763年

ギリシャ神話の妖精ニンフは時として強引に迫る男神から逃げられない可哀想な存在、そんなイメージを持ちます。

なかでも極めつきなのがカリスト。

主従の関係にある女神アルテミスに変身したゼウスと関係を持ったため、哀しい末路を辿ります。

神の奔放な感情に翻弄される、カリストとその息子アルカスの結末とは。

 


 

カリスト、主人の信頼を失った薄幸の美女

ティツィアーノ・ヴェチェリオ作 『ディアナとカリスト』 (1559)

カリストとは

フランソワ・ブーシェ作「ジュピターとカリスト」、19世紀

カリスト(Callisto)は、その名は「最も美しい」を意味するアルテミスの使徒のニュンペー

一説にはアルカディアーの王リュカーオーンの娘とされています。

カリストの物語については多くの伝承が残されています。

細部で

  • ゼウスはアルテミス、あるいはアポロンに変身してカリストに近づいた
  • カリストを熊に変えたのは ゼウス、ヘラ、アルテミスである
  • リストを殺したのは 息子アルカス、あるいはアルテミス

などの違いを持って語られています。

 

アルテミスとカリスト

ピーター・パウル・ルーベンス作

オリュンポス12柱のひとり女神アルテミスは狩猟を好みます。

ニンフを従え野山を駆け巡るのを常としていました。

アルテミスは処女神、供のニンフたちもまたアルテミスに一生の純潔を誓っていました

 

そのニンフの中に一際美しいカリストがいました

カリストは身を飾ることや色恋にはまるで興味を示さず、忠実さと狩りのうまさとでアルテミスのお気に入りのニンフでした。

けれどある日、リストは主神ゼウスに見初められてしまいます

ゼウスは恋愛に興味を示さず、純潔の誓いを立てたカリストに近づくため、なんとアルテミスに扮します

そして、首尾よくカリストに近づき、思いを遂げます

 

カリストはゼウスの子を身籠もります

けれど、自分を恥じたカリストは、無理強いされたとはいえ男と交わってしまったことをアルテミスに打ち明けられずにいました。

ある日、狩りの途中一行は沐浴することになり、ついに妊娠していることがアルテミスに知られてしまうことになります。

アルテミスは怒り、カリストを追放しました

 

ゼウスとカリスト

フランソワ・ブーシェ作『ユピテルとカリスト』(1744年)

カリストはやがて男児アルカスを生みます

けれど、このことがゼウスの妻のヘラの怒りをかうことになります。

カリストの白く柔らかい肌は黒い剛毛で覆われ、細くしなやかな手足は湾曲して鉤爪が伸び、愛らしい口元は獣の顎となって、おぞましい唸り声しか出せないようになってしまいます

カリストが熊に変わったことのいくつかの説では

  • ヘラが嫉妬のために変えた
  • アルテミスが怒りと罪を罰するために変えた
  • ゼウスがヘラの嫉妬からカリストを守るために変えたというもの

また、

  • 熊に変わった後ヘラがアルテミスに命じてカリストを猛獣として殺させた、
  • またはアルテミス自身が成敗したとも伝えられています。
  • ゼウスがカリストの遺体から子供を取り出した後、天に上げておおくま座に変えたという説も伝えられています。

 

アルカスとカリスト

ヘンドリック・ゴルツィウス作

カリストとゼウスの子アルカスはマイアに育てられ立派に成人しました。

ある日、アルカスは狩りをしていて、1頭の牝熊に出会います

その牝熊は姿を変えられた母親カリストでした

アルカスは槍を牝熊に投げます。

それを目にしたゼウスはふたりを憐れんで、カリストが射殺される前に天にあげ、カリストをおおぐま座、アルカスをこぐま座としました

 

けれどヘラはその結末に納得せず、大海の支配者でミズヘビの神オケアノスにカリスト母子を海に入らせないように命じます

そのため他の星座とは違い、おおくま座とこぐま座だけは海に入って休息することができない星座となりました

 


 

カリスト、現代では戦う乙女

ソーシャルゲーム「刻のイシュタリア」では大熊へと変身した美しき獣姫。

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エレメンタルストーリーでは星5つのモンスター「恋慕のカリスト」となって登場します。

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ギリシア神話


星と神話 物語で親しむ星の世界

 

 



カリスト、アルカス まとめ

ヤコポ・アミゴーニ作 「ジョーヴェとカリスト」

ギリシャ神話の神々とはなんと感情のままに振る舞える特権階級なのだろうと呆れるばかりです。

弱者は虐げられる、これは神々の世界でも現代でも変わらないようで。

 

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